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元地縛霊が逝く異世界脱出記~入れ替わり令嬢蜂須賀渚~  作者: 茄伊かいん


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目指せ起死回生

 立場逆転、大ボスへ挑む前に捕らえた一味から情報を得るべく尋問を始めた私達2人。


 が、女は知らぬ存ぜぬの繰り返しで難航中。聞く限り下っ端のようだし、重要なことは本当に知らないのかもしれないが…………。具体的には、


「目的地とか知らない。街を出る予定だったのがうまく行かなくてこうなったらしいけどね。この場所も先生に言われた通りに来ただけだし」

「仲間の詳細?聞かされてないよそんなの。覆面ばっかで区別も付かないし。現にお前のことだって気がつかなかったじゃないか」


 と吐き捨てるように言うのだ。


 こちらも彼女が言った通りの理由で薄々勘づいてはいたが、どうもその辺りの情報共有に乏しい一味なようだ。


 プラシドさんも頑張って声を寄せてはいたのだが、凄く似ていたわけでもない。気がつかなかったのは、急拵えの……即席チームだからとかだろうか?


「それならお前自身のことを聞こう。任された仕事とやらについて教えてもらおうか」

「そこのお嬢様を目的地まで連れていくことさね。絶対バレない簡単な仕事だって聞いてたのに……」


 これに関しては相手が悪かったと言う他ないだろう。自称女神やテオドールの存在がなければ誘拐は完遂されていただろう。ファンタジーの世界とはいえ、神や幽霊の介入なんて予想できる筈もない。


 とはいえ。


「貴族令嬢の誘拐が簡単な仕事な筈ありませんのに。捨て駒の闇バイトのようで救いがないというか……」

「なんのことだかわかりませんが、言いたいことはわかります」

「命の保証があるお前らにはわからんだろうね。こっちは今日1日の食事すら危ういから堕ちるとこまで堕ちたってのに」

「あなた方のせいで生命の危機すら感じている現状では、その主張には賛同しかねますわ」


 シャルさんの立場も大変なことだらけだ。貧乏ではあっても飢えはしなかった生前が一番安全だったように思う。いやでもお父さん一回過労と栄養失調でぶっ倒れたことあったな……

 

「じゃあ先生とやらはなんだ?」

「アタシらにいろいろ命令してた奴さ。頭が切れるんで勝手に先生って呼んでる。育ちの良さそうな奴らが側についてたね」

「強いの?その先生」

「強いんじゃないのかい?アタシらと違って軽々魔法を扱ってたし」


 

 ああ、そういえば。


 自称女神に聞かされたこの世界の知識で、魔法の資質は貴族と庶民で大きな隔たりがあるという話があった。暴走の危険があるから誰であろうと学びはするが、燃費が悪く庶民の間では多用はされないと。


「……そうだ、その先生はどのような魔法が扱えますの?例えば…………洗脳であるとか」

「洗脳?どういうことですシャルロット嬢」

「その辺りの詳しい話は後で。で、どうなのです」

「さあね。アタシが見たのは周りを照らすとかその程度で」


 知らないか。まあ私も駄目元で聞いたのみだ。先生とやらなら知っているのだろうが。


 …………とりあえず、信用できるかは置いておいて、一通り話を聞けたとは思うのだが。しかし、


「弱りましたわ。思ったより役立たずでしたわねこの女」

「包み隠しませんね……先生なる存在についてもう少し知りたかったのには同意しますが」

「悪かったねぇ!?」

「まあでもプラシドさん、彼女が死なないようには取り計らって差し上げてくださいね。それでどうします?その先生への突入は。先ほどから黙っているテオドールも知恵を絞って」

「空気読んで黙ってたのにそんな言い種ないじゃん」

「だ、誰と話してるんだい…………?」


 

 困惑している女を置いてけぼりに作戦会議に入る。最近テオドールと話して分かったことだが、そこに幽霊がいると認識しなければ資質があっても声すら聞こえないらしい。多分プラシドさんやルシエラに声が届いたのは私がテオドールに話しかけたからなのだろう。便利。


「下の方の様子はどうです?」

「さっきプラシドと一戦交えてた人が教会の方の兵隊と揉めてたね。教会側がすっごい喧嘩腰なの。証拠はあるのかー!って」

「教会側にもそういう兵がいるというのは初耳ですが、この辺仲が悪いのですか?」

「それはもう。昔いろいろあったらしいので……」


 伝聞らしいが、プラシドさんが遠い目をしている。よくわからないが相当大変なことがあったらしい。それが尾を引いてこんなことになっているのでは迷惑極まりない話だ。


「上にいる一味を抑えつつ援軍を中に引き入れて、一気に叩く。どうにかそれができればいいのですが」

「…………シャルロット嬢、手はありますよ」

「何か思いついたのですか!?」

「ええ。とりあえずシャルロット嬢、あなたにはここで降りていただきます」

「………………へ?」


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