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元地縛霊が逝く異世界脱出記~入れ替わり令嬢蜂須賀渚~  作者: 茄伊かいん


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敵陣真っ只中

 動きが落ち着いたあたりで恐る恐る周囲を見渡すと、そこは階段の上。


 私が自称女神と情報共有をしている間に一行は下水道を脱出し、紆余曲折あって辿り着いたらしいこの目的地は、こんなアンダーグラウンドな用途に使われるにしては豪華なように見えた。


 とはいえ、プラシドさんに抱えられたままの体勢ではこれ以上のことはわからない。身体も凝ってきたし、早く解放されないものか。


「確か……先生、が待ってるんだったか?」

「ん?ああ。なにするか知んないけどさ、そいつをアタシらに任せてさっさと行っちまってね」

()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「アタシが知るかい。正直こっちも、場所聞かされた時からキナ臭く感じてるんだ」


 慎重に探りを入れるプラシドさんに聞き耳を立てつつ、動くタイミングを図る。仲間がいる様子もなさそうなのだが……


「ねえねえシャルロット」


 悩んでいると、席を外していたらしいテオドールが話しかけてきた。


 聞いてみると、姿を消していたのはやはりマリー達への情報共有のため。いつの間に縁が出来たんだと気になるところではあるが、それは置いておいて。


「しかしまたここに戻ってくるなんてねー。さっき集合場所にしたばっかなのに」

「?」

「ほらあのでっかい教会。ここでプラシドと合流しろってシャルロットからの伝言もらったんだけどさ」

「!?」


 領内の、高層階の存在する、装飾の施された建造物。


 確かに内部のイメージと合致する…………が、しかし信じ難い。さっきのプラシドさんと同じ感想だ。


「マリーに伝えて、憲兵に話してたけどさ、さすがにびっくりしてたよ。とりあえず皆こっち来てるから信じてはいるっぽいけど、突入とか厳しいかも」


 情報源が僕だしね。なんてテオドールが自虐的に言う。それを聞いたプラシドさんの肩から振動が伝わってきた。彼も驚きが隠しきれていないらしい。援軍込みで考えていた敵地潜入だが、一気にアウェーに戻ってしまった感じがある。


 とはいえ援軍そのものは来ているなら、まだやり様はあるかもしれない。また一計を案じる必要がありそうだ。


「しかし上の方は誰もいないな。人払いでもされてるのか?」

「そんなの知らないよ。まあそのくらいするんじゃないのかい」

「先生以外の仲間は待機してないのか」

「そこまでは聞いてないねえ。先生と一緒に動いてた奴らの姿はさっき見えなかったし、捕まってなけりゃあ一緒にいるんじゃ………………ってか、さっきから疑問が多いねお前」

「あー……さっきから登ってばかりで退屈なんだ。どこまで行くんだこれ」

「一番上って言われてるよ。男ならまだまだ行けるだろ?」



 それを聞いて階段の上を見る。まだ最上階まではしばらくかかりそうだ。最善は敵の首魁をとっちめて援軍と合流すること。向こうの事情は分からないが、なんとか突入できる流れにできればいいのだが。


 とりあえず、このあたりで自由に動ける環境を作りたいところだ。

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