Sideルシエラ 真実が白日の下に……?
やって来た先生が話してくださったのは、シャルロット様の事件後の動向。
記憶喪失を隠し通すため、教師の方々の配慮の下そのまま学生生活に戻ったこと、独自に真相を探るなかで先生と協同することになり、今ご実家へ帰られているのもその一環であること。
確かにこれで違和感に説明が付きます。しかし疑問も残っています。
「なぜ話してくださったのですか?シャルロット様不在のなかですのに!」
「そこのクソボケの口が軽いから話さざるを得なくなったがひとつ。お前達2人ならギリギリ大丈夫だろうって信頼でふたつ。もうひとつは……」
「もうひとつは?」
「そろそろ一発痛い目見るべきだろうと思ったからだな」
「なんですって!?」
い、痛い目!?既にシャルロット様は事件に巻き込まれ記憶喪失と、かなり散々な目に遭わされているように感じるのですが!?
驚愕する私をよそに、師弟2人は笑いを堪えていらっしゃいます。少しばかり腹が立ってきましたね。
「だってあいつ、うちの下っ端を襲って滅茶苦茶強引に俺らとの協力関係を結ばせたんだぞ?記憶と引き換えに野蛮さを得てしまったんじゃないかと思ったぞ」
「それは本当にシャルロット様なのですか!?」
「まあ実は別人でしたって言われても驚かないけどな。だが、記憶を失っても元のシャルロットを思わせる部分はちゃんと残ってるもんで」
「わからないではないですが……」
記憶喪失だという前提であれば、むしろよくあの漠然としない程度の違和感に抑えられたものです。
そう呑み込もうとしたところで、今まで黙っていたジャック様が前に出て、
「通りで彼女、僕のことを忘れたりする筈だよ。らしくないとは思っていたけれど。で、その記憶喪失も、その魔法が原因なわけですね?」
そう話題の方向性を戻す。そうです、アンジュさんはそう言いました。
「今わかる情報ではそうかもしれない……いや、関連自体は間違いないと私は思っているよ?だけどね、まだピースが足りないんだよ。ね?セビの字」
「上目遣いでバトンタッチするんじゃねぇよ……要は、あの3人とは症状が結構違うんだ。あくまで彼らが洗脳の被害者という仮定の下で言うが、全く同じ目に遭わされたわけでもなさそうだな」
「そもそも彼女は全ての記憶を失っているからね、この理屈とは結び付かない点もある。ま、事件と直接関係あるのはシャルロットだけ。間違いないと思うってのはそういうことさ」
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『…………ということは、ルシエラ達はその魔法による記憶障害だと思っているってことすか?』
『そのようですねぇ。弟子一号もファインプレーですよ。こんな重大情報押さえといてくれるなんて』
わかるのは弟子一号が居合わせた現場でのことのみだが、その場にいた人間の情報から考えるに、ルシエラとジャックが私のことを探る過程で得た情報なのだろう。
アンジュというのが弟子一号さんの言う研究機関の人間らしいが、ジャックと師弟ということは前に言っていた研究者は彼女か?
『なんというか、申し訳なくなるっすね……真相はこんな斜め上の物なのに』
『ナギサが気に病む必要はありませんわ。しかしルシエラ、ここまで心配してくれるなんて……友人として誇らしい限りです』
シャルさんの気持ちはとてもよくわかる。わかるがルシエラの敬愛は若干重めな気がしてならない。
『シャルさんの言う通りです。彼らの推測が間違いであるとも限りませんので』
確かに、記憶喪失が嘘でもその他の事態は私達にもわかっていないことだらけなのだ。
『なんとか直接協力できないんすかね。ルシエラ達とそちら側で』
『いやー厳しいですねぇ。私の首も危ないですが、そう簡単に信じられることではありませんから、一歩間違えると蜂須賀さんの立場が危うくなりそうです。どうします?偽物として排斥されたら』
…………確かに。偽物扱いまでいかなくとも、妄言だと思われて捜査から遠ざけられるようになるとこれまでの努力が水の泡だ。
皆と一緒に戦えればいいんだがな……。




