騙してごめんね憲兵さん
「は、早く逃げるよ!さっさと先生のとこまで行かないと!」
分断されたグループの西側にいた一味は殴り込んできた憲兵に任せ、私達は先頭を歩いていた女に付いていこうとする。
そんな私達の方を追いに、隊の先頭に立っていた格上らしい男とプラスで数人の憲兵が迫る。が、プラシドさんは私を彼らの方へ突き出し、
「妨害する気なら……わかってるよな?」
さっそく悪人への成り済ましに馴染んだ様子のプラシドさんが宣告する。憲兵達に牽制しつつ一歩づつ後退りして…………
「「…………えっ?」」
いったかと思えば、唐突に感じる浮遊感。
背面に歩いていたプラシドさんがなぜか体制を大きく崩し、背を向けて倒れようとしている。
そこに例の格上っぽい男が一歩踏み込んで仕掛けてくる。剣を抜き、命を取ることも辞さないであろう勢いで来る一撃をすんでのところで避け、私を受け止めるプラシドさん。
攻防によりプラシドさんと男の前後が入れ替わると、プラシドさんは突破しようと横をすり抜けようとし、相手もそれはさせまいと身体でブロックしようとする。その時、
「………………」
「………………!?」
プラシドさんの何らかの囁きに気を取られたのか急に動きを止め、その隙に私達二人は男を突破し、一味の女と共に再び走り出す。
追おうとしているらしい憲兵を男が制止しし、私達は離脱に成功した。
「……追いかけてこなくなったのかね。奴等」
「不意打ちに高火力を浴びせて、混乱に乗じてこの人質を取り返そうって算段だったんだろう。まだ油断はできないが」
急に饒舌になるプラシドさん。同業者だけあって説得力のある解説だが、なんとなくその声色には切なさが滲んでいるように聞こえる。
「まいいさね。こっちは後は先生にその人質を引き渡せば仕事は終わり。このせせっこましい地下を迷子にならなけりゃあ……」
そう言って壁の塗装とにらめっこし辺りを探る女。ひとりでこの地下下水道を見て回った時にも似た物を見たが、どうも現在地示す物らしい。
『…………あーあー、本日は晴天なり!蜂須賀さん、そろそろよさそうですか?』
とそんなところで自称女神からの連絡が。先程途中で終わってしまった弟子一号さんの報告を聞かせてもらえるということか。
『さっきまでそんなマイクテストしてなかったじゃないすか。それより、しばらく大丈夫そうっすよ』
走るプラシドさんに揺られながら頭の中でそう答える。ここから目的地に着くまでは、ゆっくり情報を得る時間としよう。
『弟子一号曰く、これはそちらの国の研究機関の女性が推測したものなのだそうですが…………』
プラシド君が転んだのは、憲兵が出した岩を踏んづけたからです。彼らの定石なのですが描写する流れにできなかったので後書きにて供養。




