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元地縛霊が逝く異世界脱出記~入れ替わり令嬢蜂須賀渚~  作者: 茄伊かいん


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その立ち回り忍者が如く

「これは……なんじゃこりゃ。ノギスか何かかな?こっちは…………え本当に何これ。工具?」


 とりあえず今閉じ込められている部屋から探ろうと、ガラケーの明かりを頼りに周辺を漁る。


 湿気がすごいが、狭い部屋に詰められていたのは作業道具らしき山。本来の用途は倉庫か何かなのだろうか?触れてみた感じではどれも長いこと使われていない様子だが。


「とはいえこの部屋はこれっきり……別の場所に通じていたりは、当然ながらしないっすか」


 いずれまた犯人の一味が部屋に来る筈。今の拘束を破った姿を見られたらアウトだし、かといっていつプラシドさんが来るかもわからない。というかちゃんと辿り着けるのかなあの人。





「……全く役得だよな。人質の着替えを任されるとか」

「馬鹿言ってんじゃないよ。()()はアタシだけでやるように言ったろうが。いくら人質だからってねぇ、お前とは初対面だが、そんな発言する奴に剥かれるんじゃ目も当てられないよ」


 

 …………なんかすごく不穏な会話が聞こえてきた。


 男女ペアらしい話し声。さっき聞こえたのとはまた違う人間の物だが、今回の誘拐はシャルさんの第一次の時より大所帯なのか……なんて考えている場合じゃない、この部屋の中来る気だ!


 噂をすればなんとやらというか、懸念通りの危機がこんなすぐに…………!




───────────────────────




「そろそろ起きてやしないかな」

「だとしてもガッチガチに拘束している筈だろう?お貴族様相手なんだから念入りに。そう何が出来るわけでもないさね。さ、あっち向いてろ。覗くんじゃな…………!?」

「どうしたんだよ急に止まって……っておい!もぬけの殻じゃねぇか!」

「ああもう油断した!こんなことならこっちの方を見張っておけばよかったねぇ!さっさと先生に報告するよ!」






 



「…………助かったっすね。気力が保つ内に出ていってくれて」


 賊二人が出ていったのを確認して、慎重に地面に降りる。


 連中が入ってくる時咄嗟に空中に防御壁を張り、ほとぼりが冷めるまで天井近くで待機していた。ハチスカ☆スカイウォークの応用といった感じだが、練習しておいて本当によかった……!



 底に近づいた辺りで壁を消すと、謎の柔らかい物の上に着地した。


「何これ古着……?着替えさせようって言ってたのこれっすか…………ああ」


 連中は私をここからまたさらに移動させて、そこでなんらかの何かを行うつもりだと言っていた。私の見立てではそれこそ向こう側と繋げるための実験か何かだと踏んでいるのだが……


 本格的に移動するために、少しでも身元が割れないよう着替えさせるつもりだったのか。


「私的にも予定外とはいえ、逃げたことになっているなら周辺を見るいい機会っすね」


 実際に逃げるのはプラシドさんか誰かしら味方と合流してからにする計画だ。



『はいはーい、安否確認のテレパシーですよー。蜂須賀さん、動きがあったんですね?』


 いいタイミングで自称女神も話しかけてくれた。


『短時間だと思うっすけど自由に動けそうなんで、そっちで記録頼むっすよ!』

『任されました!周辺の索敵は欠かさないでくださいね!』

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