合流から見切り発車へ
「テ、テオドールさん!?」
「もう慣れてよ。こっちが驚くじゃんそんな大きい声出して。ルシエラじゃあるまいし」
「彼女をそんな風に言うのは……というか、もういらしたんですね!?」
「うん、僕もびっくり。こんなに早く着くなんて、幽霊って便利だよね」
「利点があっても素直に羨ましがれないですよ」
協力者……テオドールさんというのでしょうか?と合流したらしいプラシドさん。
合流した…………ので合っていますよね。確かにプラシドさんの話す方には協力者の特徴だという人形がありました。ですが、それだけしかない。
「あのー……すみませんプラシドさん、先程からどなたと喋っているのでー…………?」
恐る恐るそう聞いてみます。ふざけている場合ではないこの状況ですから、ただの冗談ということもないのでしょうが、それにしても謎です。
「えっ、聞こえないんですか?公爵家の侍女を務めることが出来る程なら、魔法の資質の方は大丈夫だと思っていたのですが」
「確かに自信はありますがー、一体何がどういう事なのでー?」
「プラシドが聞こえるぐらいだから、この人も大丈夫だと思うんだけどね」
「その表現は自分の事を舐めているという解釈でいいんですねテオドールさん」
誰かとプラシドさんが張り合っていることは伝わるのですが、旗から見れば不審者にしか見えません。
「ここに生意気な少年の幽霊がいると思ってもう一度耳を澄ましていただけますか」
「生意気な少年がいらっしゃるのですかー」
「知らないのをいいことにその評価で定着させないでよ。生意気な自覚あるけどさ」
「あー……、なんだか聞こえてきましたねー」
姿は相変わらず見えませんが、声は認識できるようになってきました。プラシドさんも見えてはいないようですし、気にする必要はないのでしょう。
というか流してしまいましたが、幽霊ですって?
「聞こえるようになったんだ。そこにいるって認識しないと能力があっても声聞こえないとかあるのかな」
「その辺りはセビーチェンさんの管轄なのでそちらに聞いてくださいね」
会話の流れも理解できるようになってきましたが、素直にこの状況を受け入れてよいものでしょうか。お嬢様が拐われる一大事の真っ只中ですから本題に入るべきなのですが、困惑が勝ってしまって何から突っ込もうかと考えてしまいます。
「時間がないからいろいろ説明はしょっちゃうけどいいよね?シャルロットが捕まってる場所、大まかにだけど伝えとく」
「も、もうわかってるんですか」
「えーっとね、ここの教会から西にちょっと行った辺りに孤児院があって、その地下だってさ」
「孤児院ですかー?あちらに地下はなかったと記憶していますがー」
以前お嬢様に同行して慰問のために訪ねたことがあったので覚えておりますが。別の場所と間違えてはいないでしょうか?
「言っておくけど大まかに、だからね?地下っていうのも伝聞だし参考程度にって言われてるから」
私の疑念を感じ取ったのかそう断りを入れるテオドールさん。情報の出所が気になるところですが、突っ込んでいる暇もありませんか。
「とりあえず行ってから考えましょうか」
「そうだね。犯人また移動するつもりらしいし、早くしないと」




