立ち位置としては渋谷のハチ公
「事前にお嬢様と話し合っていたのですかー?」
「はい。シャルロット嬢の頼みで公爵家を張り込み、もし誘拐が起きてしまった場合は、協力者が来る筈だから合流地点へ向かうようにと!」
それで先程はあんなことを。しかしその話が本当なら、お嬢様は近い内に再び事件が起きることを察していたのでしょうか?
「しかし忽然と姿を消すなんてどうやって……プラシドさんは、屋敷を出入りする人などは見ていないのですよねー?」
「公爵家の馬車が出ていく所を目撃したことが1度だけありましたね。誰が乗っていたかまでは見えませんでしたが」
「えっ!?」
今日はそのような話はなかったはず。それがわかっていれば真っ先に外出先に確認をとるはずですし、厨房の人間が事前に知らないはずがありません。
「特に不審な点は見られませんでしたし、自分の役割は誘拐発生の事実を確認することでしたからその後も屋敷の周辺にいたのですが……失敗だったかもしれません」
「しかしおかしいですねー。今日は外出される予定はなかった筈なのですが……んー?あれ?」
本気で思い返そうとすると、昨日今日の記憶で何かが欠け落ちたように思い出せないものがある。
ただ、なんとなく今朝お嬢様の外出の準備をお手伝いしたような気も……するようなー…………?
「何故でしょう、記憶が曖昧ですねー。けれどそのような話は屋敷では聞きませんでしたよー。使用人の誰も把握していないなんてあり得ませんしー」
「しかし自分は確かに見て…………いや、そこが重要なのかもしれません。実は自分もシャルロット嬢も公爵家に不審な気配があると聞いてこちらに……あ、この角を左です」
事情を聞きながら走っていて周囲の景色を気にしていなかったが、左折したところで見覚えのある広場に出ました。
「辺鄙な路地裏を連れ回してすみませんね。とりあえず着きましたよ」
「教会ですかー……あなたとお会いしたのもここでしたがー、ここになにかあるのですかー?」
「集合場所というだけですよ。こんなに大きければわかりやすいじゃないですか。さて、どこにいるんでしょうかね協力者というのは」
観光地らしい理由ですね。今日も多くの人で賑わっていますが、この中の誰がプラシドさんの言う協力者なのでしょう。
「待ち合わせている方の容姿など教えていただけますかー?」
「あっ、えーっと容姿は見たことがなく…………おそらく、手にはめるタイプの人形が目印になるはずなんですが」
「不思議な特徴ですねー……そのような方は見当たらないようですが、まだいらしてないのですかねー?」
「まあいるけどね僕。ここに」
「!?」




