028話
撃つのは不味い――という事だったので、渋々ライフルをしまった私は、神(仮)に向かってつかつかと歩み寄った。
そして、いきなり柔道の足払いで神(仮)を叩き倒すと、そのままマウントを取ってぼこぼこに殴り始める。
……横ではなぜか、「オレサマの筋肉すごいだろ?」みたいな雰囲気の、目つきの悪い半裸の細マッチョがゲラゲラ笑っていたが、今は無視だ。たぶん通りすがりの変なやつかギャラリー。
ともかく、鬱憤が晴れるまで殴っておく。
どうせ私たち下位存在がどれだけ殴ろうと、実際にダメージが入るわけじゃない。見た目上ダメージを「演出」してるだけなのは、前にも見た。だったら問題ないはず。
『すみません……確かに急ぎでしたが……死因の確認くらいはすべきでした……』
顔を腫らし、唇を切り、漫画のようにボコボコになった神(仮)は、正座して項垂れながら謝罪してくる。
「いやさ……私のせいで遅れたのはわかってるよ? でも、あれはないでしょ。さすがにあれは……」
『ええ、その……まさか自己処理の加減も分からず、ショック死するような突然変異個体がエルフにいるとは、さすがに予想外でして……』
神(仮)は申し訳なさそうに呟いた。
『人間や魔族ならともかく、性欲が希薄な種族のはずのエルフでそんな個体がいるとは……まさかの事態でした……』
「……で、そちらの細マッチョさんはどなた?」
私が顔を向けると、先ほどから笑っていた細マッチョが肩を揺らしながら応じた。
《俺は、あんたらの認識で言うならアラグ=ザイン。別の世界の神みたいな存在だ。簡単に言えばこいつ(神・仮)の同型で、いわばご近所さん。宜しくな、ギャラクティカオメガリオンソード》
「ギャラクティカ?? オメガリオンソード??? なにそれ??」
《なんだ、覚えてないのか?》
『待ってください! ダメです、それはもっとダメです!』
神(仮)の制止もむなしく、アラグ=ザインが指を鳴らすと、空中に映像が投影された。
そこには、私が覚醒直後に大混乱してやらかし散らかしているシーンが、よりによって鮮明な高画質で映し出されていた。
――全裸で腰をツイストさせ、瞳をギラギラさせながら「ギャラクティカオメガリオンソードッ!!」と絶叫し、エルフたちににじり寄る私。
腰の動きは妙にキレがあり、まるで深夜の通販番組で紹介されるダイエット器具のよう。エルフたちは「ヒイッ!」と悲鳴を上げ、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っている。
私はその映像を見た瞬間、全身の血が逆流するような羞恥に襲われ、叫んだ。
「殺せ! 私を殺せ! ぐあああああっ!」
おまけ お仕置きされて凹んでるマレフ=ティオン君




