027話
「お使い様、私のやり方を真似してみてください」
長はそう言って、村の外れにある祠へ私を案内してくれた。
祠といっても、そこはやたらと周囲が綺麗に整備された、巨大な切り株をくり抜いて作られた小屋のような建物だった。
――いや、小屋なんて生易しい言葉じゃ済まされない。
この切り株、馬鹿みたいにでかい。くり抜かれた内部の広さだけで、東京近郊にこんな物件があったら土地建物込みで7500万円くらいは下らないだろうな……と思ってしまう程度には広大だ。
中はまるで「木製で作られたギリシャの遺跡」とでも言いたくなるような、妙に厳かな神殿風の構造。石じゃないのに、この荘厳さは何なのだろう。ウッディーな素材感と場違いな雰囲気のミスマッチに、どこか違和感すら覚える。
神殿中央には青白い火が立ち昇る、まるでオリンピックの聖火台のような装置があり、長はその前で膝をつき、厳かに祈りを捧げ始めた。
「神よ……偉大なるマレフ=ティオン様よ……貴方が撒いた種より生まれし子である我々のために、貴方様は常に――(以下略)」
――うん、無理。覚えられるわけがない。
私は長の肩をぽんぽんと叩き、祈りを中断させる。きょとんとこちらを見た長に満面の笑みを返しながら、聖火台に向かって右手を翳した。
「神よ……貴様をデストローイ!!」
叫んだ、その瞬間――
私の意識は、まるでスイッチを切られたように、真っ白になった。
* * *
『お、お、お帰りなさいませ……お早いお戻りで』
意識が戻ると、あの白と黒と灰色だけで構成された世界に立っていた。
ふと前方を見ると、かなり距離を取った場所に、ライオットシールドのようなものを構え、中腰で身を縮めながら、顔の半分だけを覗かせてこちらの様子をうかがっている神(仮)の姿があった。
私は無言で空間収納を開き、例のチートライフルを取り出す。
――安全装置、解除。
構えかけたところで、悲鳴のような声が飛ぶ。
『待って待って待って、それで撃たれると冗談で済まなくなるので一旦おろして! それはダメです、不味いですって!!』




