024話
ギャラクティカオメガリオンソード
装着部位 股間
攻撃力 頑張ればヒノキノボウと同程度
レア度 珍器
ここは、白と黒と灰色が支配する、神々の領域──。
現実とも夢ともつかぬこの空間で、二体の神が空中に浮かぶ映像を眺めていた。
一体は頭を抱え、もう一体は腹を抱えて爆笑している。
映像の中では、異世界に転生した三十路女──いや、魂は三十路女、肉体は少年という“ねじれた存在”が、とんでもない騒動を引き起こしていた。
「……ああああ、最悪だ……。
死因まで確認してなかった……!
性不一致なのに、性欲が強い個体だったなんて……。
肉体のパラメーターと特性、それに使用可能かどうかしか見てなかった……どうしよう……どうしよう……」
うろたえる神を、隣の神が涙を浮かべながら大笑いしていた。
「バカすぎだろアイツ!
錯乱してたとはいえ、某部位を振り回して威嚇するとかマジかよ!?
あそこ蹴られたら一撃で終わりなのに、武器扱いはねーよ、アホすぎるって!
“ギャラクティカオメガリオンソード”って何だよwww
クソ……腹がよじれる……www」
一頻り、後悔と爆笑を終えた神たちは、どちらも涙目で再び映像を見つめ直す。
一方は後悔の涙。もう一方は笑いすぎの涙。だが、その視線は次第に真剣さを帯びていった。
「……でもさ。
性不一致でも魂が肉体に定着してるってことは、魂そのものがかなり“強い”ってことだよな?
ここまで性の主張が強い肉体に、存在の根源が濃密な魂が乗ってると……。
周囲に“認識異常”が起きても不思議じゃねぇ」
「認識異常……?」
「魂が弱い者には“女”に見えるだろうし、魂が強い者には“男”として知覚される。
で、普通の人間には──“両方の性に見える”ってことだ。
さらに魂の存在力が強い分、肉体の性的魅力が引き出されるから、
どちらの性から見ても“性的に強く訴えかける存在”になっちまってんじゃねぇのか、これ?」
その言葉を聞いた頭抱え神の顔色が、一気に蒼白を通り越して真っ白になる。
「……相乗効果で、たぶんそうなってますね……。
どうしよう……これ、絶対怒られるやつですよね……?」
「え? 別に良くね?
どっちの性にもアピールできるなら、目的の相手に影響を与えやすいし、むしろ有利じゃん」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?
ってことはつまり、男からも女からもアプローチされる可能性がめっちゃ高いってことじゃないですか!?」
「まあ、そうだな。それの何が問題なんだ?」
──その瞬間、神は思い出した。
いや、正確には“爆笑している方の神”の管理領域のことだった。
そこでは文明の進化を効率化するため、性別による社会的構造を極限まで特化させた惑星系が存在する。
男だけで構成された単性国家と、女だけで構成された単性国家。
それぞれがクローン技術や遺伝子変換を用いて、異性という概念そのものを排除したまま、星間戦争を繰り広げているのだ。
爆笑神にとって、“異性”の存在は必ずしも必要条件ではなく、
むしろ無駄を削ぎ落とすべき要素でしかなかった。
そして──その神の隣で頭を抱える神は、そんな価値観の違いに愕然としながら、さらに青ざめていくのであった。




