012話
その後は、スキルと特性について神(仮)と相談しながら検討を重ね、最終的に以下のスキルを選択した。
空間収納
東京ドーム約3個分の容積を誇る、個人専用の亜空間アクセス・ポータル機能を付与。亜空間内は時間の流れが異なるため、厳密には劣化が進むものの、私の自然寿命の範囲内では品質の変化はほぼ無視できるレベルだという。
生物を入れることも可能ではあるが、稀に変異・変体が発生する可能性があるため、推奨はされなかった。
『このスキルとクラフト系のスキルは自動連動にしておきました。亜空間に保管されている資材が、クラフト時に自動的に消費対象として認識されますので、いちいち出し入れする手間がありません。便利でしょう?』
と、どや顔で神(仮)が言ってきたので、頭を撫でてやったら、急に黙り込んでうつむいた。可愛いなコイツ。
エリアスキャン
自分を中心に半径1500メートルの球体範囲をスキャンする機能。範囲内においては、スキャンの方向をある程度絞ることが可能で、物質・人物・生物・植物などの指定検索にも対応。ただし、得られる情報は「存在の有無」「方角」「距離」のみであり、詳細な解析や解説は行われない。
『できる限り頑張ってみたのですが……上位構造や同型ユニットから文句を言われないギリギリの機能がこれでした。範囲も狭いし情報も限定的ですが、その代わり、この範囲内であればどんな手段を使っても妨害は不可能です。僕と同等の性能を持つ管理ユニットであっても、それは不可能です』
――これは、間違いなく“世界的に絶対性がある”スキルだ。
何せ世界を管理している存在が「法則的に妨害が不可能」と断言しているのだ。
欲を言えば2500メートルが欲しかったが……神(仮)も頑張ってくれたし、こちらも妥協しよう。
鑑定
視認して焦点を合わせた対象に関する詳細情報を、ライブラリーから抽出して提示するスキル。該当情報がライブラリー内に存在しない場合、自動的に神(仮)に情報支援の要請が行くという、なかなかトンデモ仕様。
ただしこのスキルについては、まだ開発中の要素もあるようで――
『条件を“視認と焦点”に設定しましたが、スキャンと併用して対象指定でも発動できるよう、現在改良を検討中です。この機能については、転生後の使い勝手次第でアップデートする予定です。最初から全機能をつけなかったのは、他スキルでのリソース消費が多くて、ちょっと足りなくなりまして……すみません』
ちょっと控えめなトーンが逆に微笑ましい。
マルチプルファクトリー
今回のスキル選定の中でも最大の目玉。
私がざっくりとしたイメージで伝えた構想を、神(仮)が管理者視点で解釈し、勝手に拡張して仕上げてくれた。正直、想定を大きく超えている。
このスキルには、神(仮)を焚きつけて地球から持ち帰らせた、あらゆる情報が詰まったライブラリーのコピーが搭載されている。さらに、この異世界およびその星系の情報を含むライブラリーも組み込まれており、極論すれば「地球と異世界の知識資産すべてにアクセスできる」スキルである。
さらにこのスキルには、恐るべき背景があった。
『このスキルは、管理ユニットが管理子機ユニットを作成するための機能をモデルに、上位存在および同型ユニットに提示したうえで、僕以外の存在が要求した下方修正をすべて受け入れて設計されたものです。僕が貴方に与えられる限界に近い性能を持っています。工夫次第では、新しい世界の創造すら可能かもしれません。有効に活用してください』
おい神(仮)……スキャンにしろマルチプルファクトリーにしろ、よくここまでやったな。大丈夫か、マジで?




