011話
『この“スキル妨害”と“特性妨害”についてですが……』
神(仮)は少し申し訳なさそうな顔をして、言いにくそうに続けた。
『これは完全に管理権限に関わる内容となるため、申し訳ありませんが付与は不可能です。……代わりと言っては何ですが、スキルの使用を感知する“検知”というスキルと、スキル・特性を含む対象情報を読み取る“鑑定”というスキルを付与できます。これでご納得いただけませんか?』
なるほど、スキルというのは元々、管理者が個体に与える“特別な法則”のようなものだ。
それを妨害するというのは、すなわち管理者と同等の権限を持つということ。
それが無理だという理屈には、納得がいく。
とはいえ、使用を検知できるだけでも戦術上はかなりのアドバンテージだし――
“鑑定”の方は、おそらく先に提示されたスキャン系スキルよりも対象を絞って情報を得る機能に優れている。
むしろ、こちらの方が個別対応の精度としては嬉しい誤算かもしれない。
「うん、それは理解した。問題ないよ。じゃあ次は……そうだな」
私は少し考えてから、ふと思いついて口を開く。
「私が生前に持っていそうな特性を、可能な限り付与してほしい。それと別に、家事全般と裁縫、それから理髪の特性もお願いできる?」
意外だったのか、神(仮)が目を瞬かせ、少し首をかしげた。
『生前の特性……そうですね……サバイバル系、企画開発系……ん? 射撃と歩兵特性……? え、何で貴方こんなの持ってるんですか?』
『それと家事と裁縫はともかく、理髪って……ちょっと変わった特性を希望されますね』
私は肩をすくめて笑った。
「うちの父ちゃん、自衛隊員だったんだ。小さい頃から食料と着替えとシュラフと鉈だけ持って、父ちゃんとキャンプ行ってさ。
鉈で枝を切って、シェルターやベッド台を作ったりしてたのよ」
「あと、射撃や歩兵特性は多分……うちの会社の社長のせい。方針がね、“本物を知らない奴が何を作れる”って言っててさ。
社員旅行で射撃ツアーとかPMC訓練とか、果てはパラシュート降下とか、色々体験させられたのよ。経費で」
神(仮)は一瞬、なんとも言えない渋い顔になり――
どこからともなく新しいビール瓶を取り出すと、ラッパ飲みで半分ほど飲んだ。
『……いや、なんていうか、ですね』
『ずいぶんとその、年齢にしては豊富すぎる人生経験をお持ちのようですが……その方向性が偏りすぎていて、まるで転生に備えて準備してたみたいに見えてしまって……少し驚きました』
それを聞いて、私はケタケタと笑った。
けれどすぐに表情を引き締め、少し冗談めかして言う。
「ねぇ、“神を楽しませた人間には褒美がある”って、神話や宗教ではよくある話じゃない?
さて……貴方からは、何か素敵なプレゼントはもらえるのかしら?」
神(仮)は私の言葉に一瞬固まった後、あからさまに気まずそうな顔になり――
残りのビールを一気に飲み干すと、「げふっ」と大きなげっぷで返した。
……誤魔化すつもりだったんだろうけど、それは無理ってもんよ。




