010話
「習得系、レベルアップ系、耐性系、それから体術や武器防具の使用に関する技能……こういうのは、全部パラメーター設定で肉体の特性として組み込むってことで合ってる?」
『はい。その認識で問題ありません。貴方が“スキル”と呼んでいるものは、僕の管理領域においては――
魔法で再現が不可能であり、肉体の成長や努力によっても決して到達できない領域のものを指します。つまり、貴方が言っていた“インチキ臭い能力”ですね』
……わざわざその言い回しを使ってくるとは。
以前、神(仮)が物品を瞬時に生成したり、無茶な要求を平然と実現させたりするのを見て「インチキ臭ぇな」と口にしたことがあった。
どうやらそれを根に持っているか、あるいは気に入っているらしい。
「じゃあ、たとえば――」
私はタブレットに表示された候補リストの中からいくつかを指で囲む。
「“どこでも製造が可能”、“どこでも開発が可能”、“周囲の一定空間を瞬時に解析してフィルタリング検索が可能”、それから“スキルの妨害”と“肉体特性の妨害”。この辺が、実際にスキルとして扱う対象になる?」
神(仮)は軽く頷きつつ、指先で画面の一部をなぞるようにして確認した。
『“製造”と“開発”については、一本化してスキル化する価値があると思います。
武器や防具、それに保守部品や弾薬の製造・管理ができなければ、いくらここで武器を開発しても転生先では使い物になりませんからね。』
『それと、“一定空間のスキャンとフィルタリング”についてですが……これは、管理ユニットには必ず備わっている中核機能であり、現地の魔法では妨害不可能なものです。
完全な形での付与は難しいため、機能を一部制限したデチューン版をスキルとして付与することになります』
……やっぱり、本来の“管理ユニット”って相当ヤバい代物なんだな。
その時――
気が付くと、神(仮)のデッキチェアの隣に小さな木製のテーブルが出現していて、そこには見覚えのある琥珀色の瓶が一本置かれていた。
神(仮)はそれを手に取り、私に軽く掲げてから、ぐいっと一口飲む。
その姿に軽く呆れながら視線を動かすと、私のデッキチェアの横にも、まったく同じテーブルとビール瓶が出現していた。
……あれだけ気弱そうだった神(仮)が、こんなに自然にくつろぐようになるとは。
この短期間で、地球文化が与えた影響って、やっぱり強烈なんだなと実感する。
瓶を手に取って口に含む。
以前は「平均的な物しか作れない」と言っていた神(仮)だったが――
「……美味しいじゃない、これ。ドイツビールっぽい」
本気を出せば、やれるんじゃない。




