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第十二話「境界線」

第十二話です。


今回はちょっと静かめの回です。

戦いはありません。その代わり、境界で人と会います。


敵でも味方でもない、でもどこか繋がってる人たちの話。

こういう回、たぶんこの物語の中でけっこう大事な位置にいます。

第十二話「境界線」


 二週間後の早朝、アスタロトが食堂に駆け込んできた。


「カノン、来い」


 珍しく走ってた。


「何がありましたか」


「境界付近に人間の気配がある。偵察だと思う」


 私はお茶を置いた。


「IMIですか」


「おそらく。少人数だ。大規模な攻撃ではない」


「確認に行きます」


「一緒に来い。ほのかも来てもらう」


 ほのかが立ち上がった。


「行く」


 レイが「……私も」と言った。


「今回はここで待機してもらえますか。何かあったとき、城の守りが必要です」


「……わかった」


「……クッキー持っていく?」とレイが言った。


「いいですよ」


「……持っていって」


 レイがクッキーを一枚差し出した。


「なんで?」


「……食べると落ち着く。向こうで何かあっても」


 受け取った。


 レナがリリスの手を握った。


「私もここにいます」


「お願いします」


 リリスが「……いってらっしゃい」と言った。


「行ってきます」


 リリスが私の袖をぎゅっと引いた。一瞬だけ。


「……かえってきてね」


「帰ってきます」


 リリスが手を離した。


 私は正門に向かった。


 ポケットにクッキーが入ってた。


 レイのクッキー。


 なんかそれだけで少し、落ち着いた。


 城を出た。朝の魔界は静かだった。露店はまだ開いてない。兵士たちが巡回してる。


「急ぎますか」とほのかが聞いた。


「急ぎすぎると相手を刺激します。普通に歩きましょう」


「偵察なら向こうも戦う気はないと思う?」


「サクラが来てるなら、ない。別の人間なら、わかりません」


「サクラさんかどうか、どうわかるんですか」


「霧に入ったらわかります」


「カノンって、なんか勘がいいよね」


「深く考えないので、見えるものだけ見てるからかもしれません」


 アスタロトが「訓練とは別の種類の力だ」と言った。


「どういう意味ですか」


「訓練で身につく力と、生まれつきの力がある。お前の場合、後者が強い」


「そうですかね」


「そうだ。リナはどちらかというと訓練の積み上げ型だった。お前は別の種類だ」


「どちらがいいですか」


「どちらも必要だ。一種類だけでは足りない」


 ほのかが「私は訓練型かな」と言った。


「そうだと思います」


「カノンみたいな勘のよさ、欲しいけど」


「ほのかには他のものがあります」


「何が」


「一番大事なとき、笑えること」


 ほのかが少し固まった。


「え」


「リナに笑って降参したじゃないですか。ああいうことができる人間は、あんまりいないですよ」


「……あれ、恥ずかしかったんだけど」


「それでもできたのがいいんです」


 ほのかがまた歩き始めた。


「カノンって、たまにいいこと言うよね」


「そうですか」


「深く考えないのに、なんか刺さる」


「わかりません」


「まあ、いっか」


 境界が見えてきた。霧の地帯だ。


 ここは昼間でも薄暗い。魔界の暗さと人間界の光が混ざった、中途半端な明るさだ。


 地面は少し湿ってる。草が生えてる。魔界の草と人間界の草が混ざって、どちらでもない植物になってる。


「面白い場所ですね」とほのかが言った。


「そうですね」


「どっちでもない」


「どちらでもないですね」


「なんか、私たちみたい」


 私は少し考えた。


「そうかもしれないですね。魔王軍でも、IMIでもない」


「そうそう。どっちかに決めなくていいんだな、って最近思う」


「どっちでもなくていいですよ」


「IMIにいた頃は、どっちかに決めないといけない気がしてた。人間か魔物か、正義か敵か」


「ここはどっちでもないですよね」


「うん。リリスちゃんもそうじゃん。魔王だけど、敵でもない」


「そうですね」


 アスタロトが「霧に入る前に止まれ」と言った。


 三人が止まった。


 霧の中に、気配があった。


「人間ですか」と私が聞いた。


「そうだ。少人数。武器を持っているが、構えていない」


「戦う気はなさそうですね」


「そう判断する」


 少し間があった。


 霧の中から、一人が出てきた。


 サクラだった。


 双剣を腰に下げて、変身してなかった。戦いの格好じゃない。


 ✦


 境界付近は、魔界と人間界の間にある薄い霧の地帯だ。


 どちらでもない場所。普段は魔物も人間も近づかない。


 今日は違った。


 霧の中に、五人の人影があった。


 私たちが近づくと、人影も止まった。


 しばらく、霧の中で両者が向かい合った。


「止まれ」とアスタロトが言った。


 人影が止まった。一人が前に出た。


 サクラだった。


 双剣を腰に下げて、変身してなかった。戦いの格好じゃない。


「神無カノン」


「サクラさん」


「久しぶりですね。二ヶ月ぶりくらいですか」


「そうですね」


「元気そうで何よりです」


「サクラさんも元気そうですね」


「まあまあです」


 サクラが周りを見た。


「今日は戦いに来たわけじゃないです」


「何しに来たんですか」


「偵察です。ただし、公式の任務ではない」


 アスタロトが槍を構えたまま言った。


「公式ではない偵察とは何だ」


「私個人が、状況を確認したかっただけです」


「状況というのは」


「こちらに来た魔法少女たちが、どういう環境にいるか。生きているか。強制されていないか」


 私は少し間を置いた。


「見に来てくれたんですか」


「確認しに来ました。違います」


「ニュアンスの違いがわかりません」


 サクラが少し間を置いた。


「……見に来ました」


「ありがとうございます」


「礼は結構です。確認したら帰ります」


「中に来ますか」


「来ません。ここで見るだけでいいです」


 サクラが私たちを見た。カノン、アスタロト、ほのか。


「みんな、元気そうですね」


「元気ですよ」


「ほのかも」


「元気だよ」とほのかが言った。「というかサクラさん、あんたも単独行動が多いよね」


「任務外の行動ですから」


「IMIにバレたらまずくない?」


「……まずいですね」


「なんでやるの」


 サクラが少し間を置いた。


「気になるので」


「何が」


「みんなのことが」


 ほのかが「あー」と言った。


「サクラさんってそういう人だよね。感情出さないくせに、行動に出る」


「そういう言い方は」


「事実じゃん。最初に来たとき『元気でいてください』って言って帰ったじゃん」


 サクラが少し黙った。


「……そうですね」


「いい人だよ、サクラさんは」


「評価は結構です」


 後ろにいた四人が、少し肩の力を抜いた気がした。


 サクラが連れてきた四人も、最初は緊張した顔をしてたけど、今は普通に立ってる。


「後ろの四人も、IMIの人たちですか」とほのかが聞いた。


「そうです」


「みんな戦いたそうじゃないですね」


「個人的に来たので、戦う気のある者は連れてきていません」


「そんな自由にメンバー選べるんですか」


「実力があれば、ある程度は」


「なるほど」


 アスタロトが槍を少し下げた。


「……IMIに戻って、報告するか」


「戦力は確認しました。ただし、詳細の報告はしません」


「なぜだ」


「必要ないと判断したからです」


「……それは上の命令に反するのでは」


「反します。ただし、判断は私がします」


 アスタロトが少し考えた。


「……この地帯に来た理由は、確認作業だということにしておく」


「ありがとうございます」


「礼は結構だ」


 二人が少し似た言い方をした。私は少し笑えた。


 ✦


 サクラが帰る前に、少し話した。


「一つ聞いていいですか」


「なんですか」


「リナのことを知っていますか。今、どういう状況か」


 サクラが少し間を置いた。


「ルナリナのことですか」


「そうです。妹のレナがここにいます。姉のことが心配で」


「知っています。ただし、私が知っていることを話すと、私の立場が危うくなります」


「話さなくていいです。ただ、大丈夫かどうかだけ」


 サクラが少し黙った。


「大丈夫ではない、と思います」


「そうですか」


「ただし、まだ手を打てる状況ではある、とも思います」


「どういう意味ですか」


「それ以上は言えません。申し訳ないですが」


 私はしばらく黙った。


「わかりました。ありがとうございます」


「礼は」


「結構じゃないです。ありがとうございます」


 サクラが少し間を置いた。


「あなたは、本当に変わらないですね」


「そうですか」


「最初から、ずっと同じです」


「変わる必要がないので」


「羨ましい」


 ほのかが横で「それ私も思う」とつぶやいた。


「ほのかも」


「うん。カノンって、ずっとカノンなんだよね。どこいっても何があっても」


「そういうもんじゃないですか」


「そうじゃない人の方が多い」


 サクラが後ろの四人に合図した。


「帰ります」


「はい」


「また来るかもしれません」


「来てください」


「来ても追い返しませんか」


「サクラさんは追い返しません」


「なぜですか」


「サクラさんなので」


 サクラが少し表情を動かした。笑ったかどうかはわからなかったけど、何かが動いた。


「元気でいてください」


「います」


 サクラが霧の中に消えた。


 後ろに続いた四人が、消える前に少し振り返った。


 全員、普通の顔だった。怖い顔でも、怒った顔でもない。


 ただ確認するような、静かな顔だった。


 全員が消えた。


 霧がまた静かになった。


 ほのかが「また言った」と言った。


「また言いましたね」


「元気でいてください、が口癖なんかな」


「そうかもしれません」


「あの四人も、ちゃんとした人たちだったな」


「そうでしたね」


「誰も戦う気なかったし、変な動きもしなかった」


「サクラさんが連れてくる人ですから」


「サクラさんを信頼してる人たちなんだろうな。だから来られる」


「そうですね」


 アスタロトが「いい人間だな」と言った。


「そうですね」


「敵でなくなる日が来るかもしれない」


「来ると思います」


「根拠は」


「サクラさんなので」


 アスタロトがため息をついた。


「お前の根拠は、いつも人名だな」


「人を見てるので」


「まあ、それでいいか」


 霧が少し晴れてきた。暗紫色の空が見えた。


 ほのかが空を見上げた。


「なんか、いい朝だったな」


「戦いがなかったので」


「そうじゃなくて。サクラさんと話せて。あの人のこと、もっと知りたい気がする」


「いつかこっちに来るかもしれませんよ」


「来てほしいな。うちに来てほしい人が、まだいるじゃん」


「そうですね」


 ほのかが歩き始めた。


「帰ろ。ベルゼバブのお茶が飲みたい」


「毎日飲んでますよね」


「毎日飲んでいい。おいしいから」


 レイと同じ理由だった。


 ✦


 城に戻ったら、全員が待ってた。


 ベルフェゴールも食堂にいた。珍しかった。


「帰ったか」


「帰りました」


「戦いになったか」


「なりませんでした」


「誰が来た」


「サクラという人です。個人的に来たと言っていました」


 ベルフェゴールが少し考えた。


「前回も単独で来た隊長か」


「そうです」


「…規則正しいな、その人間は」


「そうですね。来るときは一人か少人数で、戦う気はなく、確認して帰ります」


「扱いに困るタイプだ」


「敵でも味方でもない、ということですか」


「今は、そうだ。ただし、こちらに有益な情報を持ってきた可能性がある。リナのことを言ったんだろう」


「はい。まだ手を打てる状況だと」


「それが事実なら、IMIの調整はまだ始まっていないか、始まったばかりだ」


「そうだと思います」


「セキネに連絡しろ。今日の情報を伝えて、確認してもらえ」


「わかりました」


 レナが「カノンさん」と言った。


「はい」


「サクラさん、また来ますかね」


「来ると思います」


「その時、会えますか」


「中まで来てもらえるか交渉してみますよ」


 レナが少し笑った。


「ありがとうございます」


 リリスがレナの手を引いた。


「……レナ、なに?」


「お姉ちゃんのことを考えてました」


「……おねえちゃん、だいじょうぶ?」


「そうだといいですけど」


「……だいじょうぶだよ」


「なんでわかるんですか」


 リリスが少し考えた。


「……かのんが、だいじょうぶって言うから」


「カノンさんが言ったから大丈夫なんですか」


「……うん。かのんがいうのは、だいじょうぶなやつ」


 レナが少し笑った。


「リリスちゃんも言うんですね、そういうこと」


「……うん」


「ありがとうございます、リリスちゃん」


「……うん」


 リリスがレナの手をぎゅっと握った。


 ベルフェゴールがその光景を見て、何も言わなかった。


 でも椅子を持つ手が、少し緩んだ気がした。


「大丈夫でしたか」


「大丈夫ですよ」


「戦いになりましたか」


「なりませんでした。偵察の人たちと少し話して終わりました」


「IMIの人ですか」


「そうです。サクラという人が来ました」


 レナが少し間を置いた。


「サクラさんって、カノンさんの知り合いですよね」


「そうです」


「何を話したんですか」


「色々と。あと、リナのことを少し聞きました」


 レナの顔が少し変わった。


「お姉ちゃんのこと」


「大丈夫ではないかもしれないけど、まだ手を打てる状況だと思うと言ってました」


「どういう意味ですか」


「詳しくはわかりません。でも、終わってはいない、ということだと思います」


 レナが少し俯いた。


「そうですか」


「うん」


「大丈夫、って思っていいですか」


「思っていいですよ」


「根拠ないですよね」


「少しあります。サクラさんが言ってたので」


「サクラさんを信じていいんですか」


「信じていいと思います」


 レナが少し間を置いた。


「わかりました。信じます。カノンさんが言うなら、信じます」


「それで十分ですよ」


 レナが少し笑った。泣きそうな目で、でも笑った。


「カノンさんって、なんか不思議ですよね」


「そうですか」


「根拠が薄くても、信じさせてしまう。なんでなんだろう」


「深く考えないからかもしれません」


「それが強みですよね、たぶん」


 ほのかが「それ私も思う」と言った。


「考えすぎないから、大丈夫って言える。考えすぎる人間には難しいんですよ、あれ」


「そうですかね」


「そうだよ。リナもそうだったじゃん。考えすぎて、止まってた。カノンは考えない分、動ける」


「褒めてますか」


「褒めてる、たぶん」


 リリスが私の袖を引いた。


「……かえってきた」


「帰ってきました」


「……よかった」


「よかったです」


「……かのん、いたい?」


「いたくないですよ」


「……よかった」


 リリスが私の手を握った。小さい手で、ぎゅっと。


 大丈夫だ、と思った。こういう手が、ここにある。それだけで、大丈夫だ。


 ✦


 夜、ベルフェゴールに報告した。


「サクラが来ました」


「IMI第三部隊の隊長か」


「そうです。個人的に確認しに来たと言っていました。公式の任務ではないと」


「詳細は報告しないと」


「そう言っていました」


 ベルフェゴールが少し考えた。


「その人間、動きが読めないな」


「いい人だと思います」


「いい人かどうかは関係ない。こちらにとって信用できるかどうかが重要だ」


「信用できると思います」


「根拠は」


「最初に来たとき、操作されていないかを確認してから戦おうとしました。それだけで十分です」


「甘い」


「甘くていいですよ」


「甘さは戦略の穴になる」


「でも、甘さがないと信頼は生まれないので」


 ベルフェゴールが少し間を置いた。


「お前の言うことは、合理的なのか感情的なのか、わからない時がある」


「両方だと思います」


「まあ、結果がよければいい」


「ありがとうございます」


「感謝しなくていい」


「でも」


「わかった、受け取る。早く続きを話せ」


 私は少し笑った。


「リナのことについて、サクラが『まだ手を打てる』と言いました」


「意味があるとすれば、IMIが最終的な調整をまだ行っていない可能性がある」


「そうだと思います。サクラは詳しくは言えないと言っていましたが、終わってはいないと」


「……セキネという男は、まだ動いているか」


「調べてもらっています。返信は『調べてみる』という一言だけですが」


「続けて連絡を取れ。状況が変わったら知らせてくれるはずだ」


「わかりました」


 ベルフェゴールがしばらく地図を見た。


「境界付近の拠点について、今日の偵察で何かわかったか」


「サクラが来たのは拠点の近くではありませんでした。直接の関係はないかもしれません」


「サクラはその拠点について何か言ったか」


「何も言いませんでした」


「……知っている可能性はある。ただし、言えない立場なのかもしれない」


「そうだと思います」


「しばらく様子を見る。こちらから動く必要はない」


「わかりました」


「おやすみ」


「おやすみなさい」


 ベルフェゴールが椅子を持って廊下を歩いていった。


 今日もそうか、と思いながら私も部屋に戻った。


 廊下でレナに会った。


「眠れないですか」


「少し。お姉ちゃんのことを考えてて」


「そうですか」


「サクラさんが言ってた、まだ手を打てる、って言葉が頭に残ってて」


「うん」


「いい意味に取っていいですか」


「いい意味に取っていいですよ」


「根拠は」


「サクラさんが言ったので」


「それだけで根拠になるんですか」


「なります。嘘をつく人じゃないので」


 レナが少し笑った。


「カノンさんって、人を信じるのが速いですよね」


「深く考えないので」


「それが羨ましいです。私はどうしても考えすぎてしまうから」


「考えすぎてもいいですよ。考えてから動ける人は、確かです」


「そうですかね」


「リナもそうじゃないですか。考えて、確認して、それから動く。だから信頼できます」


 レナが少し間を置いた。


「お姉ちゃんのことを、そんなふうに言ってくれる人、あんまりいないんです」


「そうですか」


「IMIでは、感情がないとか、冷たいとか言う人が多くて」


「感情はありますよ。レナのことを話すとき、全然違う声になります」


「……そうですよね」


「おやすみなさい。明日もいい日になりますよ」


「根拠は」


「今日がよかったので」


 レナが笑った。


「おやすみなさい、カノンさん」


 レナが部屋に戻っていった。


 私もリリスのところに戻った。


 リリスが眠ってた。穏やかな顔だった。


 今日は境界まで行って、サクラと話して、レナとほのかと色々話して、ベルフェゴールに報告した。


 大きな戦いはなかった。


 でも何かが、少し動いてる気がした。


「……かのん」


 リリスが眠りながら言った。


「います」


「……きょう、どうだった?」


「色々ありましたよ」


「……いい色々?」


「いい色々でした。サクラさんという人に会いました」


「……いいひと?」


「いい人ですよ」


「……こんどあいたい」


「いつか来るかもしれません」


「……きたら、いれてあげる」


「ありがとうございます」


「……うん」


 リリスが眠った。今日は五秒だった。


 窓の外の暗紫色の空。星みたいな光が浮かんでた。


 サクラが「まだ手を打てる」と言った。セキネさんが動いてる。


 少しずつ、何かが動いてる。


 でも今夜は、ここにいる。リリスが眠ってる。


 それだけで十分だった。


次回「セキネさんからの報告」


 ——三日後、セキネさんから少し長めのメッセージが来た。

ここまで読んでくれてありがとうございます。


今回は「境界線」というタイトルそのままの回でした。

場所としての境界だけじゃなくて、立場とか関係とか、そういう曖昧なところの話です。


IMIでも魔王軍でもない場所で、普通に会話して、普通に帰っていく。

それだけなんだけど、たぶんそれが一番珍しいことなんですよね。

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