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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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97/102

第97話 不本意


 森を進む。


 


 


 静かだった。


 


 


 


 鳥の声もない。


 


 


 


 風も弱い。


 


 


 


 妙な静けさ。


 


 


 


「嫌な感じッスね」


 


 


 


 マキが周囲を見回す。


 


 


 


「同感ネ」


 


 


 


 ミカも眉をひそめた。


 


 


 


 ユナは黙っている。


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 警戒だけは解いていなかった。


 


 


 


「……いる」


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 エバだった。


 


 


 


「前」


 


 


 


「待ってる」


 


 


 


 その直後だった。


 


 


 


 ドォン。


 


 


 


 重い音。


 


 


 


 地面が揺れる。


 


 


 


「っ!」


 


 


 


 全員が足を止めた。


 


 


 


 前方。


 


 


 


 森が途切れている。


 


 


 


 岩場。


 


 


 


 その上。


 


 


 


 一人の男が座っていた。


 


 


 


 巨大な身体。


 


 


 


 獣のような瞳。


 


 


 


 腕を組み。


 


 


 


 こちらを見ている。


 


 


 


「……モラクス」


 


 


 


 ヒロが呟く。


 


 


 


 男が鼻を鳴らした。


 


 


 


「遅ぇな」


 


 


 


 低い声。


 


 


 


 それだけで。


 


 


 


 空気が重くなる。


 


 


 


「待ってたネ?」


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 モラクスは鼻で笑った。


 


 


 


「違うなぁ」


 


 


 


「暇だっただけだ」


 


 


 


 そう言いながら。


 


 


 


 立ち上がる。


 


 


 


 岩が(きし)んだ。


 


 


 


 ヒロ達を見下ろす。


 


 


 


 まるで。


 


 


 


 品定めするみたいに。


 


 


 


「……」


 


 


 


 ユナが(わず)かに眉をひそめる。


 


 


 


 変わっていない。


 


 


 


 見えている数字は。


 


 


 


 前と同じはずだった。


 


 


 


 それなのに。


 


 


 


 嫌な圧だけが増している。


 


 


 


「またアンタネ」


 


 


 


 ミカが爪を鳴らした。


 


 


 


 楽しそうに。


 


 


 


 モラクスが笑う。


 


 


 


 獰猛(どうもう)に。


 


 


 


「そうだ」


 


 


 


 ヒロが前へ出る。


 


 


 


「何の用だ」


 


 


 


 モラクスは少し考えた。


 


 


 


 そして。


 


 


 


「気に入らねぇ」


 


 


 


 短い言葉。


 


 


 


 マキが顔をしかめる。


 


 


 


「理不尽すぎるッス……」


 


 


 


 モラクスは構わない。


 


 


 


「理由は知らねぇ」


 


 


 


「でも腹が立つ」


 


 


 


 その視線。


 


 


 


 ヒロへ向く。


 


 


 


「特にな」


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 空気が張り詰めた。


 


 


 


「何でだよ」


 


 


 


 ヒロが眉をひそめる。


 


 


 


 モラクスは笑う。


 


 


 


「知らねぇ」


 


 


 


「だから確かめる」


 


 


 


 その手が腰へ伸びた。


 


 


 


 ギィィィン。


 


 


 


 金属音。


 


 


 


 二本の大剣。


 


 


 


 抜かれる。


 


 


 


「前は素手だった」


 


 


 


 モラクスが言う。


 


 


 


「今回は使う」


 


 


 


 その言葉だけで十分だった。


 


 


 


 ヒロの目が細くなる。


 


 


 


「嫌な予感しかしないッス……」


 


 


 


 マキが呟く。


 


 


 


 モラクスは答えない。


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 剣を肩へ担ぐ。


 


 


 


「来い」


 


 


 


 一歩。


 


 


 


 踏み出す。


 


 


 


 ドォン。


 


 


 


 地面が沈んだ。


 


 


 


 巨大な魔力が(あふ)れる。


 


 


 


 森全体が震えた。

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