表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
90/97

第90話 流動


 黒土が(うごめ)く。


 


 


 巨大な(ひつぎ)みたいに。


 


 


 


 ゆっくり。


 


 


 


 逃げ場を塞いでいく。


 


 


 


「チッ……!」


 


 


 


 ヒロが風を払った。


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


 風刃。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 黒土へ触れた瞬間。


 


 


 


 また止まる。


 


 


 


 空中で固定されるみたいに。


 


 


 


「動くものは止まります」


 


 


 


 メフィストが静かに言った。


 


 


 


「クソが……!」


 


 


 


 ヒロが舌打ちする。


 


 


 


 その時。


 


 


 


 黒土が足元から盛り上がった。


 


 


 


「下ッス!!」


 


 


 


 マキが叫ぶ。


 


 


 


 ——ドォッ!!


 


 


 


 黒い杭。


 


 


 


 無数。


 


 


 


 地面から突き出す。


 


 


 


「っ!」


 


 


 


 ヒロ達が飛び退く。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 一瞬遅れた。


 


 


 


「くっ……!」


 


 


 


 ミカの足首へ黒土が絡みつく。


 


 


 


 そのまま固まる。


 


 


 


「ミカ!」


 


 


 


「邪魔ネッ!!」


 


 


 


 ミカが無理やり回転する。


 


 


 


 ——ギギギギギッ!!


 


 


 


 黒土が削れる。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 止まる。


 


 


 


 スパイラルの回転ごと。


 


 


 


「……出力上昇」


 


 


 


 メフィストが小さく呟いた。


 


 


 


 その目。


 


 


 


 まるで実験結果を見るみたいだった。


 


 


 


「ふざけんなッ!」


 


 


 


 ヒロが飛び込む。


 


 


 


 風を(まと)う。


 


 


 


 加速。


 


 


 


 一直線にメフィストへ。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 ——ゴォン。


 


 


 


 黒土の壁。


 


 


 


 目の前へ出現。


 


 


 


「っ!?」


 


 


 


 ヒロが強引に体を捻る。


 


 


 


 直後。


 


 


 


 壁が閉じた。


 


 


 


 (ひつぎ)みたいに。


 


 


 


「危なっ……!」


 


 


 


 マキが顔を引きつらせる。


 


 


 


「反応速度は高い」


 


 


 


 メフィストは静かだった。


 


 


 


「ですが」


 


 


 


「動きすぎです」


 


 


 


 杖が動く。


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 黒土が波みたいに押し寄せた。


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


 


 ユナが叫ぶ。


 


 


 


 フィールド。


 


 


 


 展開。


 


 


 


 ——バキィッ!!


 


 


 


「っ……!?」


 


 


 


 ユナが目を見開く。


 


 


 


 フィールド表面。


 


 


 


 黒土が張り付いている。


 


 


 


 侵食。


 


 


 


 固定。


 


 


 


「防御まで……!」


 


 


 


「対象変更」


 


 


 


 メフィストの目がユナへ向く。


 


 


 


「支援型」


 


 


 


「優先度上昇」


 


 


 


「気持ち悪いネ……!」


 


 


 


 ミカが舌打ちする。


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


「……そこ」


 


 


 


 エバがぽつりと呟く。


 


 挿絵(By みてみん)



 


「え?」


 


 


 


 ヒロが振り向く。


 


 


 


 エバは黒土を見ていた。


 


 


 


 じっと。


 


 


 


「変」


 


 


 


「そこだけ、止まってない」


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 ヒロの目が動く。


 


 


 


 風。


 


 


 


 流れ。


 


 


 


 読む。


 


 


 


 確かに。


 


 


 


 黒土全体じゃない。


 


 


 


 一点。


 


 


 


 僅かに流れている場所がある。


 


 


 


「そこか……!」


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 メフィストが初めて反応した。


 


 


 


 視線。


 


 


 


 エバへ向く。


 


 


 


「何故見えるのです?」


 


 


 


 初めてだった。


 


 


 


 メフィストの声に。


 


 


 


 わずかな揺れが混じったのは。


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 ヒロが動く。


 


 


 


 風を圧縮。


 


 


 


 一直線。


 


 


 


 流れている一点へ。


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


「っ」


 


 


 


 メフィストの目が細くなる。


 


 


 


 黒土が動く。


 


 


 


 固定。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 風刃は止まらなかった。


 


 


 


 流れを変えている。


 


 


 


 固定される直前。


 


 


 


 僅かに軌道をズラし。


 


 


 


 滑り込む。


 


 


 


 ——バキィッ!!


 


 


 


 黒土の一部が砕けた。


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 空気が止まる。


 


 


 


「……上書き?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ