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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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83/107

第83話 搬送区画


 霧の森。


 


 


 黒い魔物の残骸が崩れ落ちる。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 空気の重さは消えなかった。


 


 


 


「……何だったんだ、アレ」


 


 


 


 ヒロが息を吐く。


 


 


 


「普通の魔物じゃないネ」


 


 


 


 ミカが爪についた黒い液体を払う。


 


 


 


「気持ち悪いッス……」


 


 


 


 マキが顔をしかめた。


 


 


 


 その横で。


 


 


 


 レインだけが無言だった。


 


 


 


 倒れた魔物をじっと見ている。


 


 


 


「おい」


 


 


 


 ヒロが声をかける。


 


 


 


「アンタ何か知ってるだろ」


 


 


 


「……さあ」


 


 


 


 レインは軽く笑う。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 その目は笑っていなかった。


 


 


 


「行くぞ」


 


 


 


 ヒロが前を見る。


 


 


 


 霧の奥。


 


 


 


 黒い箱が見えた方向へ。


 


 


 


 


 しばらく進む。


 


 


 


 


 すると。


 


 


 


 


「……あれ」


 


 


 


 


 マキが息を呑んだ。


 


 


 


 


 開けた場所。


 


 


 


 


 そこには。


 


 


 


 


 巨大な黒い箱が並んでいた。


 


 


 


 


 一つや二つではない。


 


 


 


 


 何十と。


 



 



 


 


「何だよ、これ……」


 


 


 


 


 ヒロが目を細める。


 


 


 


 


 箱には鎖。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 妙な紋様(もんよう)


 


 


 


 


 脈打つように赤黒く光っている。


 


 


 


 


「……嫌な感じ」


 


 


 


 


 エバがヒロの服を掴む。


 


 


 


 


「近づきたくない」


 


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


 


「止まれ」


 


 


 


 


 レインが低く言った。


 


 


 


 


 軽い声じゃなかった。


 


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 


 全員の空気が変わる。


 


 


 


 


「誰か来る」


 


 


 


 


 直後。


 


 


 


 


 鎧の音。


 


 


 


 


 黒鎧の魔族達だった。


 


 


 


 


 五人。


 


 


 


 


 何かを運んでいる。


 


 


 


 


 黒い布に覆われた荷物。


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 ヒロが目を細める。


 


 


 


 


 人型だった。


 


 


 


 


「急げ」


 


 


 


 


 黒鎧の一人が言う。


 


 


 


 


「消耗が想定より早い」


 


 


 


 


「補充が必要だ」


 


 


 


 


「次は?」


 


 


 


 


「村側も候補だ」


 


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 


 ヒロの表情が変わる。


 


 


 


 


「村……?」


 


 


 


 


 ラナ達の顔が浮かぶ。


 


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


 


 奥。


 


 


 


 


 霧の向こうから。


 


 


 


 


 ゆっくりと影が現れた。


 


 


 


 


 ライオンの頭。


 


 


 


 


 長い外套(がいとう)


 


 


 


 


 杖。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 嫌になるほど落ち着いた声。


 


 


 


 


進捗(しんちょく)が遅いな」


 


 


 


 


 黒鎧達が一斉に頭を下げる。


 


 


 


 


「ブエル様!」


 


 


 


 


 ヒロが目を細める。


 


 


 


 


 魔力。


 


 


 


 


 強い。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 モラクスとは違う。


 


 


 


 


 冷たい。


 


 


 


 


 ブエルは黒い箱を見回す。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


「モラクスのような脳筋共は理解せんが」


 


 


 


 


「第四位階たる私が管理している以上」


 


 


 


 


「不完全は許さん」


 


 


 


 


 淡々と呟く。


 


 


 


 


 その言葉に。


 


 


 


 


 レインの目がわずかに細くなる。


 


 


 


 


「……そんなはずない」


 


 


 


 


 誰にも聞こえないくらい小さく。


 


 


 


 


 レインが呟いた。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 ブエルが反応した。


 


 


 


 


「誰だ」


 


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 


 空気が張り詰める。


 


 


 


 


「っ……!」


 


 


 


 


 ヒロが構える。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 レインが前へ出た。


 


 


 


 


 いつもの軽い笑み。


 


 


 


 


「通りすがりだよ」


 


 


 


 


 ブエルの視線が向く。


 


 


 


 


 数秒。


 


 


 


 


 沈黙。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


「……妙だな」


 


 


 


 


 ブエルの目が細くなる。


 


 


 


 


「貴様」


 


 


 


 


「妙に空虚(くうきょ)だ」


 


 


 


 


 初めてだった。


 


 


 


 


 レインの笑みが。


 


 


 


 


 ほんの少しだけ固まったのは。

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