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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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82/98

第82話 東の森


 夜。


 


 


 宿の中は静かだった。


 


 


 


 昼間の空気を引きずっている。


 


 


 


 笑い声も少ない。


 


 


 


 ラナも。


 


 


 


 ゼフも。


 


 


 


 どこか落ち着かない様子だった。


 


 


 


「……気になるな」


 


 


 


 ヒロが窓の外を見る。


 


 


 


 遠く。


 


 


 


 霧の向こうに魔王城の影。


 


 


 


 そして。


 


 


 


 東の森。


 


 


 


(ひつぎ)みたいなの、だったか」


 


 


 


「行く気?」


 


 


 


 ユナが聞く。


 


 


 


「……少しだけな」


 


 


 


「少しで済む気がしないッス」


 


 


 


 マキが即答した。


 


 


 


「でも放置も嫌ネ」


 


 


 


 ミカが真顔で言う。


 


 


 


「なんか気持ち悪いヨ」


 


 


 


 その時。


 


 


 


「なら一緒に行くよ」


 


 


 


 軽い声。


 


 


 


 レインだった。


 


 


 


 壁にもたれながらこちらを見ている。


 


 


 


「アンタも来るのか」


 


 


 


「俺もちょっと気になってる」


 


 


 


 レインが肩をすくめる。


 


 


 


「昨日から空気変だろ?」


 


 


 


「……お前」


 


 


 


 ヒロが目を細める。


 


 


 


「何か知ってるのか?」


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 レインが黙る。


 


 


 


 だが。


 


 


 


「さあ?」


 


 


 


 いつもの軽い笑みに戻った。








「ただの勘」


 


 


 


「信用ならねぇ……」


 


 


 


 ヒロが呟く。


 


 


 


 その横で。


 


 


 


 エバだけが無言でレインを見ていた。


 


 


 


 


 翌朝。


 


 


 


 


 ヒロ達は東の森へ向かっていた。


 


 


 


 


 村から離れるほど。


 


 


 


 


 空気が重い。


 


 


 


 


「……昨日より濃いネ」


 


 


 


 


 ミカが周囲を見る。


 


 


 


 


 霧。


 


 


 


 


 妙に静かだった。


 


 


 


 


「魔物の気配、多すぎるッス……」


 


 


 


 


 マキが警戒する。


 


 


 


 


「多い」


 


 


 


 


 エバがぽつりと呟く。


 


 


 


 


「嫌な感じ、沢山」


 


 


 


 


 ヒロは黙ったまま進む。


 


 


 


 


 すると。


 


 


 


 


「止まれ」


 


 


 


 


 レインが突然言った。


 


 


 


 


「っ?」


 


 


 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 


 ——ドォッ!!


 


 


 


 


 横の木が吹き飛んだ。


 


 


 


 


「なっ!?」


 


 


 


 


 巨大な影。


 


 


 


 


 獣型。


 


 


 


 


 だが普通じゃない。


 


 


 


 


 黒い。


 


 


 


 


 身体の一部が脈打っている。


 


 


 


 


「何だコイツ……!」


 


 


 


 


 ヒロが構える。


 


 


 


 


 魔物が吠える。


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 周囲の木々が揺れた。


 


 


 


 


「まだいるッス!」


 


 


 


 


 複数。


 


 


 


 


 囲まれている。


 


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


 


 


「分かってる!」


 


 


 


 


 風。


 


 


 


 


 流れ。


 


 


 


 


 読む。


 


 


 


 


 手を払う。


 


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


 


 風刃。


 


 


 


 


 先頭の魔物を切り裂く。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 切れた肉が(うごめ)く。


 


 


 


 


 繋がる。


 


 


 


 


「気持ち悪っ……!」


 


 


 


 


 マキが顔をしかめる。


 


 


 


 


「ん?」


 


 


 


 


 ミカが飛び出す。


 


 


 


 


 回転。


 


 


 


 


 加速。


 


 


 


 


「スパイラルッ!!」


 


 


 


 


 爪が黒い肉を抉る。


 


 


 


 


「……核があるネ!」









 ヒロの目が捉える。


 


 


 


 


 赤黒い塊。


 


 


 


 


「そこだ!」


 


 


 


 


 ヒロの風刃。


 


 


 


 


 核を貫く。


 


 


 


 


 ——ギャァァァァッ!!


 


 


 


 


 魔物が崩れ落ちた。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 周囲の気配は減らない。


 


 


 


 


「多すぎるネ!」


 


 


 


 


 ミカが舌打ちする。


 


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


 


 レインが前へ出る。


 


 


 


 


「下がってろ」


 


 


 


 


 軽い声。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 レインの目から。


 


 


 


 


 一瞬だけ感情が消えた。


 


 


 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 


 レインの姿が消えた。


 


 


 


 


「っ!?」


 


 


 


 


 ヒロが目を見開く。


 


 


 


 


 速い。


 


 


 


 


 いや、違う。


 


 


 


 


 途中が見えない。


 


 

 


 


 気づけば。


 


 


 


 


 魔物の群れの中央にいた。


 


 


 


 


「何だそれ……!」


 


 


 


 


 ヒロが息を呑む。


 


 


 


 


 レインは無言だった。


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 


 最短で動く。


 


 


 


 


 無駄なく。


 


 


 


 


 淡々と。


 


 


 


 


 まるで作業みたいに。


 


 


 


 


 魔物を破壊していく。


 


 


 


 


 その姿を。


 


 


 


 


 エバだけがじっと見ていた。


 


 


挿絵(By みてみん)

 


 


「……やっぱり変」


 


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 森の奥。


 


 


 


 


 霧の向こうに。


 


 


 


 


 黒い何かが見えた。


 


 


 


 


 巨大な箱。


 


 


 


 


 霧の向こうで。


 


 


 


 


 不気味に(たたず)んでいた。

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