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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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77/101

第77話 笑う魔族


 翌朝。


 


 


 ヒロは目を覚ました。


 


 


 


 見慣れない天井。


 


 


 


 一瞬、どこか分からなくなる。


 


 


 


 そして。


 


 


 


「……近っ」


 


 


 


 すぐ隣。


 


 


 


 エバがいた。


 


 


 


 じーっとヒロを見ている。


 


 


 


「……起きた」


 


 


 


「起きたけど……いつもいつの間にだよ」


 


 


 


「……?」


 


 


 


 エバ本人には自覚がなさそうだった。


 


 


 


「起きた?」


 


 


 


 すぐ近くからユナの声。


 


 


 


 振り向くと。


 


 


 


 ユナが椅子に座ってこちらを見ていた。


 


 


 


「ああ」


 


 


 


「体調は?」


 


 


 


「だいぶマシ」


 


 


 


 ユナが少し安心したように息を吐く。


 


 


 


 その時。


 


 


 


「起きたネ?」


 


 


 


 ミカが椅子に座っていた。


 


 


 


 朝から普通に肉を食べている。


 


 


 


「朝から肉食ってるのかよ……」


 


 


 


「美味しいヨ?」


 


 


 


 串肉を差し出してくる。


 


 


 


「いや、朝からは重い……」


 


 


 


「軟弱ネ」


 


 


 


「うるせぇ」


 


 


 


 そんなやり取りをしていると。


 


 


 


「ヒロさん」


 


 


 


 マキが部屋へ入ってくる。


 


 


 


「少し村見て回ってみるッスか?」


 


 


 


「……いいのか?」


 


 


 


「逆に気になるッス」


 


 


 


 確かに。


 


 


 


 ここは異様だった。


 


 


 


 魔界。


 


 


 


 なのに。


 


 


 


 普通すぎる。


 


 


 


 


 外へ出る。


 


 


 


 


 畑仕事をしている者。


 


 


 


 


 洗濯をしている者。


 


 


 


 


 店を開いている者。


 


 


 


 


 そのどれもが。


 


 


 


 


 人間と変わらなかった。


 


 


 


 


「おーい!」


 


 


 


 


 ニノが走ってくる。


 


 


 


 


「案内してやる!」


 


 


 


 


「いや、お前昨日の子供か」


 


 


 


 


「子供じゃない!」


 


 


 


 


「もう九十七歳だ!」


 


 


 


 


「えっ」


 


 


 


 


 ヒロが固まる。


 


 


 


 


「魔族基準だとまだ子供ネ」


 


 


 


 


 ミカがフォローする。


 


 


 


 


「ややこしいな……」


 


 


 


 


 ニノは得意げだった。


 


 


 


 


「こっち鍛冶屋!」


 


 


 


 


 案内されるまま進む。


 


 


 


 


 そこには。


 


 


 


 


 巨大な腕を持つ魔族がいた。


 


 


 


 


 無口そうな男。


 


 


 


 


「ガルド!」


 


 


 


 


 ニノが呼ぶ。


 


 


 


 


 男がちらりと視線を向ける。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 ミカの爪を見た。


 


 


 


 


「……ほう」


 


 


 


 


 近づく。


 


 


 


 


 無骨(ぶこつ)な指で軽く触れる。


 


 


 


 


「歪んでるな」


 


 


 


 


「回転負荷か?」


 


 


 


 


「もっと回したいネ」


 


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 


「なら補強がいる」


 


 


 


 


「今のままじゃそのうち砕けるぞ」


 


 


 


 


「マジか」


 


 


 


 


 ヒロが呟く。


 


 


 


 


「スパイラルドライブ、かなり無茶してるネ」


 


 


 


 


 ミカ本人は妙に楽しそうだった。


 


 


 


 


「もっと速くできそうヨ」


 


 


 


 


「やめろ、嫌な予感しかしねぇ」


 


 


 


 


 その横で。


 


 


 


 


 エバは黙ったまま周囲を見ていた。


 


 


 


 


 畑。


 


 


 


 


 子供。


 


 


 


 


 笑い声。


 


 


 


 


「……笑ってる」


 


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 


「ん?」


 


 


 


 


 ヒロが振り向く。


 


 


 


 


「魔族も、笑う」


 


 


 


 


「……まあ、生きてるしな」


 


 


 


 


「……そう」


 


 


 


 


 エバは少しだけ考え込む。


 


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


 


 ——ゴォン。


 


 


 


 


 低い鐘の音。


 


 


 


 


 空気が変わる。


 


 


 


 


 村人達の表情が曇った。


 


 


 


 


「……またか」


 


 


 


 


 ラナが小さく呟く。


 


 


 


 


「何の音だ?」


 


 


 


 


 ヒロが聞く。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 誰もすぐには答えなかった。


 


 


 


 


 やがて。


 


 


 


 


 村の入口側。


 


 


 


 


 黒い鎧の魔族が現れる。


 


 


 


 


「モラクス様」


 


 


 


 


 低い声。


 


 


 


 


「城より呼び出しです」


 


 


 


 


 空気がさらに重くなる。


 


 


 


 


「……ちっ」


 


 


 


 


 モラクスが舌打ちした。


 


 


 


 


「またかよ」


 


 


 


 


「急ぎとのことです」


 


 


 


 


「知るか」


 


 


 


 


 そう言いながらも。


 


 


 


 


 モラクスは立ち上がる。


 


 


 


 


 その顔には。


 


 


 


 


 昨日までの楽しげな笑みはなかった。


 


 


 


 


「最近、つまんねぇことばっかしやがる」


 


 


 


 


 ぼそりと呟く。


 


 


 


 


 ヒロが見る。


 


 


 


 


「……城で何が起きてる」


 


 


 


 


「知らねぇ方がいい」


 


 


 


 


 モラクスが短く返す。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 ヒロ達を見る。


 


 


 


 


「死ぬなよ」


 


 


 


 


「まだ遊び足りねぇ」


 


 


 


 


 それだけ言って。


 


 


 


 


 モラクスは去っていく。


 


 


 


 


 静寂(せいじゃく)


 


 


 


 


 その時だった。


 


 


 


 


 エバが。


 


 


 


 


 遠くの城を見る。


 


 


 


 


「……嫌な感じする」


 


 


 


 


 初めてだった。


 


 


 


 


 エバが。


 


 


 


 


 ()という言葉を使ったのは。

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