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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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72/102

第72話 考えるな


 ——ヒュォッ!!


 


 風がぶつかる。


 


 


 相殺(そうさい)


 


 


 フォカロールの風が霧散(むさん)する。


 


 


 


「……っ!?」


 


 


 マキが目を見開く。


 


 


 


 ユナも。


 


 


 


 ミカも。


 


 


 


 全員、一瞬止まった。


 


 


 


 


「今の……」


 


 


 


 ヒロ自身が、一番困惑していた。


 


 


 


 


 無意識だった。


 


 


 


 


 考える前に。


 


 


 


 


 身体が動いた。


 


 


 


 


「……またネ」


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 


「ヒロ、なんか掴みかけてるヨ」


 


 


 


 


「いや、意味分かんねえって……」


 


 


 


 ヒロが手を見る。


 


 


 


 


 感覚だけは残っている。


 


 


 


 


 風。


 


 


 


 


 流れ。


 


 


 


 


 押し返す感覚。


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 霧の奥。


 


 


 


 


 フォカロールが止まっていた。


 


 


 


 


 こちらを見ている。


 


 


 


 


 空気が揺れる。


 


 


 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


 


 今までより速い。


 


 


 


 


「っ!?」


 


 


 


 


 ユナが反応する。


 


 


 


 


『フィールド!』


 


 


 


 


 展開。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 衝撃が重い。


 


 


 


 


「くっ……!」


 


 


 


 


 フィールドが大きく軋む。


 


 


 


 


「威力上がってるヨ!」


 


 


 


 


 ミカが叫ぶ。


 


 


 


 


「本気になったッス……!」


 


 


 


 


 マキが顔を強張(こわば)らせる。


 


 


 


 


 フォカロール。


 


 


 


 


 空気が、変わった。


 


 


 


 


 今までは。


 


 


 


 


 ただ排除するような攻撃だった。


 


 


 


 


 だが今は違う。


 


 


 


 


 殺すために。


 


 


 


 


 確実に(つぶ)しにきている。


 


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


 


 


 ミカが叫ぶ。


 


 


 


 


「もう一回ネ!」


 


 


 


 


「……っ!」


 


 


 


 


 ヒロが手を払う。


 


 


 


 


 だが——出ない。


 


 


 


 


「くそっ……!」


 


 


 


 


 もう一度。


 


 


 


 


 出ない。


 


 


 


 


「なんで出ねえんだよ……!」


 


 


 


 


 焦る。


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


 


 風刃。


 


 


 


 


 ユナへ。


 


 


 


 


「っ……!」


 


 


 


 


 フィールド。


 


 


 


 


 受け止める。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 バキィッ!!


 


 


 


 


「きゃっ……!」


 


 


 


 


 ユナの身体が揺れる。


 


 


 


 


 限界が近い。


 


 


 


 


「ユナ!」


 


 


 


 


 ヒロが前へ出る。


 


 


 


 


 出ろ。


 


 


 


 


 風。


 


 


 


 


 出ろ。


 


 


 


 


 出ろ。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 意識した瞬間——霧散(むさん)する。


 


 


 


 


 感覚が消える。


 


 


 


 


「……違うネ」


 


 


 


 


 ミカが呟く。


 


 


 


 


「考えすぎヨ」


 


 


 


 


「は……?」


 


 


 


 


「ヒロ、いつも無意識ネ」


 


 


 


 


「考えてない時の方が変な動きするヨ」


 


 


 


 


「褒めてんのかそれ……!」


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 フォカロールの風。


 


 


 


 


 今度は——ミカ。


 


 


 


 


「っ!」


 


 


 


 


 回避が遅れる。


 


 


 


 


 直撃コース。


 


 


 


 


 その時。


 


 


 


 


 ヒロの身体が動いた。


 


 


 


 


 考える前に。


 


 


 


 


 守らなきゃと。


 


 


 


 


 そう思った瞬間。


 


 


 


 


 手が払われる。


 


 


 


 


 ——ヒュォッ!!


 


 


 


 


 風。


 


 


 


 


 今度は明確だった。


 


 


 


 


 フォカロールの(やいば)を裂く。


 


 


 


 


 相殺(そうさい)


 


 挿絵(By みてみん)



 


 


「……!」


 


 


 


 


 ヒロ自身が止まる。


 


 


 


 


 今の感覚。


 


 


 


 


 分かった。


 


 


 


 


「……考えない」


 


 


 


 


 ぽつりと呟く。


 


 


 


 


「……?」


 


 


 


 


 マキが聞き返す。


 


 


 


 


「意識するとダメだ」


 


 


 


 


「自然に動いた時だけ……」


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 フォカロール。


 


 


 


 


 空気が大きく歪む。


 


 


 


 


「来るヨ!」


 


 


 


 


 ミカが叫ぶ。


 


 


 


 


 今までで最大。


 


 


 


 


 巨大な風圧。


 


 


 


 


 霧すら裂ける。


 


 


 


 


 ヒロが前へ出る。


 


 


 


 


 もう。


 


 


 


 


 考えなかった。


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 


 守る。


 


 


 


 


 その意思だけ。


 


 


 


 


 手を払う。


 


 


 


 


 ——ゴォッ!!


 


 


 


 


 風が衝突する。


 


 


 


 


 霧が吹き飛ぶ。


 


 


 


 


 視界が開ける。


 


 


 


 


 そして。


 


 


 


 


 初めて。


 


 


 


 


 フォカロールの姿が——完全に見えた。

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