表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
69/97

第69話 流れ


 訓練場。


 


 ヒュン。


 


 


 風刃(ふうじん)


 


 


 ヒロが身をひねる。


 


 


 ギリギリで()ける。


 


 


 


「おお……」


 


 


 マキが感心した声を漏らす。


 


 


 


「さっきより反応良くなってるッス」


 


 


 


「……なんとなくな」


 


 


 


 ヒロが自分の手を見る。


 


 


 


 


「来る前に」


 


 


 


「空気が動く感じがする」


 


 


 


 


「それを()()()って言うネ」


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 


「でもまだ遅いヨ」


 


 


 


「分かってる」


 


 


 


 ヒロも苦笑する。


 


 


 


 


 フォカロールの風。


 


 


 


 


 あれは、もっと速い。


 


 


 


 


 今のままでは届かない。


 


 


 


 


「じゃあ次」


 


 


 


 ドロスが軽く指を振る。


 


 


 


 


 風が生まれる。


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 ヒロの身体が、勝手に動いた。


 


 


 


 


 手を払う。


 


 


 


 


 ——ヒュッ


 


 


 


 


 小さな風。


 


 


 


 


 空気が揺れる。


 


 


 


 


「……え?」


 


 


 


 


 マキが固まる。


 


 


 


 


「今……」


 


 


 


 


「風……?」


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 ヒロ自身も止まる。


 


 


 


 


 自分の手を見る。


 


 


 


 


 今のは。


 


 


 


 


 なんだった。


 


 


 


 


「……似てるネ」


 


 


 


 


 ミカが目を細める。


 


 


 


 


「ドロスの風と」


 


 


 


 


「いや、俺そんなのできねえぞ?」


 


 


 


 


「でも出たッスよ!?」


 


 


 


 


 マキがツッコむ。


 


 


 


 


「偶然じゃない?」


 


 


 


 


 ヒロが困ったように言う。


 


 


 


 


「偶然で風出ないヨ」


 


 


 


 


 ミカが即答する。


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 ユナが黙ってヒロを見る。


 


 


 


 


 違和感。


 


 


 


 


 まただ。


 


 


 


 


 魔法名。


 


 


 


 


 風の流れ。


 


 


 


 


 そして今。


 


 


 


 


 少しずつ。


 


 


 


 


 ヒロが、この世界の何かに適応している。


 


 


 


 


「……問題ない」


 


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 


 エバだった。


 


 


 


 


「ヒロなら不思議じゃない」


 


 


 


 


「不思議じゃないってなんだよ……」


 


 


 


 


 ヒロがツッコむ。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 エバだけは。


 


 


 


 


 妙に納得した顔をしていた。


 


 


 


 


「まあいいヨ」


 


 


 


 


 ミカが爪を構える。


 


 


 


 


「ヒロもミーも」


 


 


 


 


「強くなればいいネ」


 


 


 


 


「単純だな」


 


 


 


 


「単純が一番ヨ」


 


 


 


 


 そう言って。


 


 


 


 


 ミカが踏み込む。


 


 


 


 


 回転。


 


 


 


 


 加速。


 


 


 


 


「スパイラルドライブ!」


 


 


 


 


 一直線。


 


 


 


 


 木人形(きにんぎょう)へ。


 


 


 


 


 貫通。


 


 


 


 


 さらに背後の岩まで(えぐ)る。


 


 


 


 


「おおっ……!」


 


 


 


 


 マキが声を上げる。


 


 


 


 


「前より威力上がってるネ」


 


 


 


 


 ミカが軽く着地する。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


「……まだ足りない」


 


 


 


 


 小さく呟く。


 


 


 


 


 モラクス。


 


 


 


 


 フォカロール。


 


 


 


 


 あの領域には届かない。


 


 


 


 


「もっと回転を上げるネ」


 


 


 


 


「危なくないか?」


 


 


 


 


「危ないヨ?」


 


 


 


 


 ミカが普通に返す。


 


 


 


 


「でも強くなるネ」


 


 


 


 


「お前、そのうち飛びそうだな」


 


 


 


 


「それちょっと面白そうネ」


 


 


 


 


 そんなやり取り。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 全員の頭にあるのは同じだった。


 


 


 


 


 次。


 


 


 


 


 フォカロールと戦う時。


 


 


 


 


 今より強くなっていなければ——


 


 


 


 


 死ぬ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ