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第68話 対策


 拠点。


 


 テーブルを囲む。


 


 


「フォカロール相手に、一番厄介なのは」


 


 


 ジュリアスが口を開く。


 


 


 


「見えないことだ」


 


 


 


「だな」


 


 


 


 ヒロが頷く。


 


 


 


 


「風自体は速い」


 


 


 


 ダビデが続ける。


 


 


 


「だが、本当に危険なのは」


 


 


 


()()()()()()()()()()()ことだ」


 


 


 


 


「盾では防げないのか?」


 


 


 


 ヒロが聞く。


 


 


 


 


「防げる」


 


 


 


 ダビデが答える。


 


 


 


 


「だが、完全じゃない」


 


 


 


 


 背負っている大盾を軽く叩く。


 


 


 


 


「俺の盾は対魔加工済みだ」


 


 


 


「それでも、数発受ければ終わる」


 


 


 


 


「しかも角度によっては抜かれる」


 


 


 


 


「……厄介ネ」


 


 


 


 ミカが腕を組む。


 


 


 


 


「前回は」


 


 


 


 ジュリアスが言う。


 


 


 


 


「シャルルの複数バフ込みで、なんとか耐えた」


 


 


 


 


「防御強化」


 


 


 


「速度上昇」


 


 


 


「感覚強化」


 


 


 


 


「全部重ねがけして、ようやくだ」


 


 


 


 


「かなり無茶したよ」


 


 


 


 ドロスが肩をすくめる。


 


 


 


 


「その状態でも、何人も死んだ」


 


 


 


 


 空気が重くなる。


 


 


 


 


「バフってそんな違うのか?」


 


 


 


 ヒロが聞く。


 


 


 


 


「試す?」


 


 


 


 シャルルが優しく笑う。


 


 


 


 


 手をかざす。


 


 


 


 


『アクセル』


 


 


 


 


 淡い光。


 


 


 


 


 ミカとマキを包む。


 


 


挿絵(By みてみん)


 



 


「……おお?」


 


 


 


 


 マキが目を見開く。


 


 


 


 


「軽いッス!」


 


 


 


 


「身体、動きやすいネ」


 


 


 


 


 ミカも軽く跳ぶ。


 


 


 


 


「ヒロは?」


 


 


 


 


「……ん?」


 


 


 


 


 ヒロだけ、変化なし。


 


 


 


 


「……何も変わってない」


 


 


 


 


「やっぱりネ」


 


 


 


 


 ミカが苦笑する。


 


 


 


 


「ヒロ、バフ効かないヨ」


 


 


 


 


「便利なのか不便なのか分かんねえな……」


 


 


 


 


「……なら」


 


 


 


 


 ヒロが少し考える。


 


 


 


 


「俺が受ければいいんじゃないか?」


 


 


 


 


 一瞬。


 


 


 


 


 空気が止まる。


 


 


 


 


「は?」


 


 


 


 ユナが固まる。


 


 


 


 


「いや、だって」


 


 


 


 ヒロが普通に続ける。


 


 


 


 


「俺、切れても死なないっぽいし」


 


 


 


 


「前も耐えたろ」


 


 


 


 


「だから——」


 


 


 


 


「ダメ」


 


 


 


 


 即答。


 


 


 


 


 ユナだった。


 


 


 


 


「絶対ダメ」


 


 


 


 


 声が強い。


 


 


 


 


「いやでも、効率的には——」


 


 


 


 


「ダメ!」


 


 


 


 


 机を叩く。


 


 


 


 


「そんな戦い方、おかしい!」


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 ヒロが少し驚く。


 


 


 


 


 


「ミーも反対ネ」


 


 


 


 ミカが珍しく真面目な顔をする。


 


 


 


 


「今回たまたま耐えただけかもしれないヨ?」


 


 


 


 


「次はバラバラかもネ」


 


 


 


 


「縁起でもねえな……」


 


 


 


 


「縁起の問題じゃないッス!」


 


 


 


 


 マキまで乗ってくる。


 


 


 


 


「普通なら真っ二つなんスよ!?」


 


 


 


 


 脳裏をよぎる。


 







 血だらけの背中。








 一歩間違えば死んでいた。








(あれを、またやらせるわけにはいかないッス)









「ヒロさん、自分の感覚おかしいッス!」


 


 


 


 


「そんな言われる……?」


 


 


 


 


 ヒロが困惑する。


 


 


 


 


 


「……合理的」


 


 


 


 


 ぽつり。


 


 


 


 


 エバだった。


 


 


 


 


「ヒロなら耐える可能性、高い」


 


 


 


 


「だから前に出るのは正しい」


 


 


 


 


「エバ!?」


 


 


 


 


 ユナが振り向く。


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


 エバは続ける。


 


 


 


 


「ユナ、嫌そう」


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 ユナが詰まる。


 


 


 


 


「だから、ダメ?」


 


 


 


 


「……そう」


 


 


 


 


 ユナが小さく答える。


 


 


 


 


「……分かった」


 


 


 


 


 エバはそれ以上言わなかった。


 


 


 


 


 


「とにかく」


 


 


 


 ジュリアスが仕切り直す。


 


 


 


 


「まずは()()()()()()()()ことだ」


 


 


 


 


()けるのか?」


 


 


 


 


「理想はな」


 


 


 


 


「だが、一朝一夕(いっちょういっせき)では無理だ」


 


 


 


 


 


「ドロス」


 


 


 


 


「はいはい」


 


 


 


 


 ドロスが前に出る。


 


 


 


 


 指先を軽く動かす。


 


 


 


 


 ——ヒュン


 


 


 


 


 小さな風刃(ふうじん)


 


 


 


 


 木箱が切断される。


 


 


 


 


「まずは感覚を掴みなさい」


 


 


 


 


「見るんじゃなくて、()()を読む感じ」


 


 


 


 


「できるかは知らないけどね」









 ドロスが肩をすくめる。








 ヒロが集中する。


 


 


 


 


 風。


 


 


 


 


 空気。


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 一瞬だけ。


 


 


 


 


 流れが——見えた。


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 無意識に動く。


 


 


 


 


 避ける。


 


 


 


 


「……今の」


 


 


 


 


 マキが目を細める。


 


 


 


 


「見えたッスか?」


 


 


 


 


「……たまたまだ」


 


 


 


 


 ヒロが答える。


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 自分でも分かっていた。


 


 


 


 


 今。


 


 


 


 


 ほんの少しだけ。


 


 


 


 


 ()()()

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