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55/97

第55話 再突入


 拠点。


 


 装置の前。


 


 


「……これで行く」


 


 


 ヒロが言う。


 


 


 


 そのとき。


 


 


 


 エバが、すっと隣に寄る。


 


 


 


「……ついてく」


 


 


 


「ダメだ」


 


 


 


 即答だった。


 


 


 


「ここから先は危ない」


 


 


 


「レベルが違う」


 


 


 


「……問題ない」


 


 


 


「問題ある!」


 


 


 


 ヒロが少しだけ強く言う。


 


 


 


「マジで死ぬぞ」


 


 


 


「……」


 


 


 


 エバは黙る。


 


 


 


 だが——離れない。


 


 


 


「……言うこと聞くんだ……」


 


 


 


「……否定」


 


 


 


 短く、はっきり。


 


 


 


「……はぁ」


 


 


 


 ヒロがため息をつく。


 


 


 


(こいつ……)


 


 


 


「……ユナ」


 


 


 


「うん」


 


 


 


「エバのこと頼む」


 


 


 


「フィールドで守ってやってくれ」


 


 


 


「……分かった」


 


 


 


 ユナが頷く。


 


 


 


 エバの手を軽く引く。


 


 


 


「離れないで」


 


 


 


「……うん」


 


 


 


 


 そのタイミングで。


 


 


 


 


「ヒロさん!」


 


 


 


 


 マキが駆けてくる。


 


 


 


 


「準備できたッス!」


 


 


 


 


「用は済んだか」


 


 


 


 


「はいッス!」


 


 


 


 


 


「行くぞ」


 


 


 


 


 全員、装置へ。


 


 


 


 


 光が走る。


 


 


 


 


 視界が揺れる。


 


 


 


 


 


 ——次の瞬間。


 


 


 


 


 


 霧の森、奥。


 


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 


 空気が重い。


 


 


 


 


 


 


 視界に入るのは——


 


 


 


 


 


 


 魔物の死体。


 


 


 


 


 


 


 数が異常だ。


 


 


 


 


 


 


「……これ全部」


 


 


 


 


 


 


 マキが息を呑む。


 


 


 


 


 


 


 


 少し先。


 


 


 


 


 


 


 


 負傷した冒険者たちが戻ってくる。


 


 


 


 


 


 


 


「おい!」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが声をかける。


 


 


 


 


 


 


 


「大丈夫か!」


 


 


 


 


 


 


 


 


「……ああ」


 


 


 


 


 


 


 


 男が苦く笑う。


 


 


 


 


 


 


 


「なんとか、な」


 


 


 


 


 


 


 


 


「奥は?」


 


 


 


 


 


 


 


 


「……地獄だ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 それだけ言って、去っていく。


 


 


 


 


 


 


 


 


「……来るネ」


 


 


 


 


 


 


 


 ミカが前を見る。


 


 


 


 


 


 


 


 


 霧の奥。


 


 


 


 


 


 


 


 低い唸り声。


 


 


 


 


 


 


 


 


 影が揺れる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 一体。


 


 


 


 


 


 


 


 二体。


 


 


 


 


 


 


 


 三体——


 


 


 


 


 


 


 


 


 ケルベロス。


 


 


 


 


 


 


 


 


「……三体も!?」


 


 


 


 


 


 


 


 マキが思わず声を上げる。


 


 


 


 


 


 


 


「一気に来るかよ……!」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが剣を構える。


 


 


 


 


 


 


 


 


「ミカ!」


 


 


 


 


 


 


 


「任せるネ」


 


 


 


 


 


 


 


 


 ミカが前へ出る。


 


 


 


 


 


 


 


 手をかざす。


 


 


 


 


 


 


 


 


『バッキュン! バッキュン! バッキュン!』


 


 


 


挿絵(By みてみん)



 


 


 


 


 連続で光線が走る。


 


 


 


 


 


 


 


 一発目。


 


 


 


 


 


 


 


 左のケルベロスの頭部を貫く。


 


 


 


 


 


 


 


 そのまま崩れ落ちる。


 


 


 


 


 


 


 


 二発目。


 


 


 


 


 


 


 


 中央の個体の胴体を撃ち抜く。


 


 


 


 


 


 


 


 深く貫通するが——まだ動く。


 


 


 


 


 


 


 


 三発目。


 


 


 


 


 


 


 


 右の個体の肩口を抉る。


 


 


 


 


 


 


 


 バランスを崩す。


 


 


 


 


 


 


 


 


「残ってる!」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが踏み込む。


 


 


 


 


 


 


 


 中央の個体へ。


 


 


 


 


 


 


 


 剣を振る。


 


 


 


 


 


 


 


 首筋を断つ。


 


 


 


 


 


 


 


 崩れる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 もう一体。


 


 


 


 


 


 


 


 脚を引きずりながら向かってくる。


 


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが間合いを詰める。


 


 


 


 


 


 


 


 斬る。


 


 


 


 


 


 


 


 完全に沈む。


 


 


 


 


 


 


 


 


 静寂。


 


 


 


 


 


 


 


 


「……急に強すぎだろ……」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが呟く。


 


 


 


 


 


 


 


 


「ノー、ノー。元々これがミーの実力ネ」


 


 


 


 


 


 


 


 ミカが肩をすくめる。


 


 


 


 


 


 


 


 


「ミー、一つ分かったことありマス」


 


 


 


 


 


 


 


 


「何が」


 


 


 


 


 


 


 


 


「ここの魔物、即死効かないネ」


 


 


 


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 


 


 


 


「だから即死モードやめて」


 


 


 


 


 


 


 


 


「通常モードにしたネ」


 


 


 


 


 


 


 


 


「いや、なんでだよ」


 


 


 


 


 


 


 


 


「だって」


 


 


 


 


 


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 


 


 


 


 


「一撃で倒すの、かっこいいネ?」


 


 


 


 


 


 


 


 


「……お前な」


 


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが呆れる。


 


 


 


 


 


 


 


 


「もっと褒めてもいいですヨ?」


 


 


 


 


 


 


 


 ミカが得意げに笑う。


 


 


 


 


 


 


 


 


「はいはい」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが軽く流す。


 


 


 


 


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


 


 


 


 


 奥の霧。


 


 


 


 


 


 


 


 


 そこから漂う気配は。


 


 


 


 


 


 


 


 


 まだ終わりじゃないと——


 


 


 


 


 


 


 


 


 静かに告げていた。

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