表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
48/97

第48話 限界線


 霧の中。


 


 (うな)り声が、二つ。


 


 


「……嘘だろ」


 


 


 ヒロが低く呟く。


 


 


 視界の奥。


 


 


 ケルベロスが——二体。


 


 


 


「ヒロ……」


 


 


 ユナの声がわずかに揺れる。


 


 


 


「これ……無理」


 


 


 


「……だな」


 


 


 ヒロは即答した。


 


 


 


(押せてたのは一体だからだ)


 


 


(これは別だ)


 


 


 


 一体目が動く。


 


 


 もう一体も——連動するように動く。


 


 


 


「来るネ!」


 


 


 ミカが叫ぶ。


 


 


 


 二方向から同時。


 


 


 


「チッ……!」


 


 


 ヒロが踏み込む。


 


 


 


 一体を受ける。


 


 


 


 だが——


 


 


 


 もう一体が横から来る。


 


 


 


「ヒロ!!」


 


 


 


 ユナの声。


 


 


 


『フィールド!』


 


 


 


 光が展開される。


 


 


 


 衝撃。


 


 


 


 ギリギリで防ぐ。


 


 


 


「……っ!」


 


 


 


 ユナの体が揺れる。


 


 


 


 


「大丈夫か!」


 


 


 


 


「……うん……でも」


 


 


 


 


「きつい……」


 


 


 


 


(長くはもたねえな)


 


 


 


 


 ヒロは剣を構える。


 


 


 


 


「ミカ!」


 


 


 


 


「分かってるネ!」


 


 


 


 


『Bang!!』


 


 


 


 


 爆発が一体に直撃する。


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


「……削れてるけど!」


 


 


 


 


「押し切れないネ!」


 


 


 


 


 


 もう一体が突っ込む。


 


 


 


 


 ヒロが受ける。


 


 


 


 


 重い。


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 剣で受け止める。


 


 


 


 


 だが、押される。


 


 


 


 


 


「ヒロさん!」


 


 


 


 


 


 マキの声。


 


 


 


 


 


「後ろ、来てるッス!」


 


 


 


 


 


「分かってる!」


 


 


 


 


 


(囲まれる)


 


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 


 ——カチッ


 


 


 


 


 


 どこかで音が鳴る。


 


 


 


 


 


 見えない。


 


 


 


 


 


(どこだ)


 


 


 


 


 


 


「……ヒロ」


 


 


 


 


 


「……これ以上は、無理」


 


 


 


 


 


 ユナの声。


 


 


 


 


 


「……ああ」


 


 


 


 


 


(守れない)


 


 


 


 


 


 


「……一回引く」


 


 


 


 


 


 


「ここまで来て……!?」


 


 


 


 


 


 マキが驚く。


 


 


 


 


 


 


「だからだ」


 


 


 


 


 


 


「これ以上は賭けになる」


 


 


 


 


 


 


「それはやらない」


 


 


 


 


 


 


 


「……戻るぞ!」


 


 


 


 


 


 


「了解ネ!」


 


 


 


 


 


 


「……うん!」


 


 


 


 


 


 


「了解ッス!」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが後ろに下がる。


 


 


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


 


 


 ケルベロスは追ってくる。


 


 


 


 


 


 


「チッ……!」


 


 


 


 


 


 


 距離が詰まる。


 


 


 


 


 


 


 


 振り返る。


 


 


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 


 


 足元。


 


 


 


 


 


 


 何かが——見えた気がした。


 


 


 


 


 


 


(……ここ)


 


 


 


 


 


 


 考えるより先に。


 


 


 


 


 


 


 踏み込む。


 


 


 


 


 


 


 ——カチッ


 


 


 


 


 


 


 トラップが発動する。


 


 


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


 


 


 ヒロの姿が、()き消える。


 


 


 


 


 


 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 


 


 


 ケルベロスの(ふところ)


 


 


 


 


 


 


「——っ!?」


 


 


 


 


 


 


 距離が、消えていた。


 


 


 


 


 


 


 


 剣が——振り抜かれる。


 


 


 


 


 


 


 


「——!!」


 


 


 


 


 


 


 閃光のような一撃。


 


 


 


 


 


 


 


 一体が、断ち切られる。


 


 


 


 

挿絵(By みてみん)

 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 


 


 ヒロ自身が止まる。


 


 


 


 


 


 


(今……)


 


 


 


 


 


 


 分からない。


 


 


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


 


 


 もう一体が来る。


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロは考えない。


 


 


 


 


 


 


 体が動く。


 


 


 


 


 


 


 踏み込む。


 


 


 


 


 


 


 また、距離が消える。


 


 


 


 


 


 


 


 剣。


 


 


 


 


 


 


 


「——っ!!」


 


 


 


 


 


 


 振り抜く。


 


 


 


 


 


 


 


 二体目が、崩れる。


 


 


 


 


 


 


 


 静寂(せいじゃく)


 


 


 


 


 


 


 


「……え」


 


 


 


 


 


 


 マキが呟く。


 


 


 


 


 


 


 


「今の……何ッスか」


 


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


 ヒロは答えない。


 


 


 


 


 


 


 


(……なんだ、今の)


 


 


 


 


 


 


 それだけが、残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ