表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/43

第42話 リスタート


 カチッ


 


 小さな音。


 


 


「——動くな!!」


 


 


 ヒロが叫ぶ。


 


 


 だが。


 


 


 一瞬、遅い。


 


 


 


 霧の中。


 


 


 何かが反応する。


 


 


 


 空気が、歪む。


 


 


 


「……え?」


 


 


 ユナの声。


 


 


 


 次の瞬間——


 


 


 


 見えない何かが、走る。


 


 


 


 一直線。


 


 


 


 ヒロの横を、通り抜けて——


 


 


 


 


 ユナに、触れた。


 


 


 


 


「——っ」


 


 


 


 


 音が、消える。


 


 


 


 


 ユナの体が、崩れる。


 


 


 


 


 ゆっくりと。


 


 


 


 


 力を失って、倒れる。


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 理解が追いつかない。


 


 


 


 


 


 血。


 


 


 


 


 遅れて、広がる。


 


 


 


 


 


「ユナ——!!」


 


 


 


 


 叫ぶ。


 


 


 


 


 


 手を伸ばす。


 


 


 


 


 


 届かない。


 


 


 


 


 


 止まらない。


 


 


 


 


 


 何もかもが——


 


 


 


 


 


 間に合わない。


 


 


 


 


 


 


 ——その瞬間。


 


 


 


 


 


 


 息を吸う。


 


 


 


 


 


 


 目が、開く。


 


 


 


 


 


 


 光。


 


 


 


 


 


 


 目の前に——


 


 


 


 


 


 


 ユナがいた。


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


 数秒、動けない。


 


 


 


 


 


 


(……は?)


 


 


 


 


 


 


 さっきの光景が、残っている。


 


 


 


 


 


 


 倒れる。


 


 


 


 


 


 


 血。


 


 


 


 


 


 


 声。


 


 


 


 


 


 


 


「……ヒロ?」


 


 


 


 


 


 


 ユナが、不思議そうにこちらを見る。


 


 


 


 


 


 


 


「……っ!」


 


 


 


 


 


 


 考えるより先に。


 


 


 


 


 


 


 体が動いた。


 


 


 


 


 


 


 抱き寄せる。


 


 


 


挿絵(By みてみん)


 


 


 


「——っ……!」


 


 


 


 


 


 


 強く。


 


 


 


 


 


 


 離さないように。


 


 


 


 


 


 


 


「え、ちょ……ヒロ?」


 


 


 


 


 


 


「……無事、か……?」


 


 


 


 


 


 


 声が、少しだけ震えていた。


 


 


 


 


 


 


 


「え?う、うん……?」


 


 


 


 


 


 


 ユナは戸惑う。


 


 


 


 


 


 


 


 だが——


 


 


 


 


 


 


 その表情は、すぐに変わった。


 


 


 


 


 


 


 


「……ヒロ」


 


 


 


 


 


 


 小さく呟く。


 


 


 


 


 


 


 


「……覚えてるの?」


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


 ヒロは答えない。


 


 


 


 


 


 


 答えられない。


 


 


 


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 


 


 


 さっきの感覚だけが残っている。


 


 


 


 


 


 


 


「……分かんねえ」


 


 


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


 


 


 少しだけ、力を込める。


 


 


 


 


 


 


「……死んだだろ、今」


 


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


 ユナが、黙る。


 


 


 


 


 


 


 


 否定しない。


 


 


 


 


 


 


 


 その沈黙が——


 


 


 


 


 


 


 何よりの答えだった。


 


 


 


 


 


 


 


「……また、そこからなんだ」


 


 


 


 


 


 


 ぽつりと。


 


 


 


 


 


 


 ユナが呟く。


 


 


 


 


 


 


 


「……何回目か、分かる?」


 


 


 


 


 


 


 


「……は?」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロが顔を上げる。


 


 


 


 


 


 


 


 意味が分からない。


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 


 


 その言葉は、重かった。


 


 


 


 


 


 


 


 そのとき。


 


 


 


 


 


 


 


「……今の」


 


 


 


 


 


 


 


 横から声。


 


 


 


 


 


 


 


 エバだった。


 


 


 


 


 


 


 


「……少しだけ、残ってる」


 


 


 


 


 


 


 


「……何がだ?」


 


 


 


 


 


 


 


「……分からない」


 


 


 


 


 


 


 


 だが。


 


 


 


 


 


 


 


「……でも、さっきと違う」


 


 


 


 


 


 


 


 そう言った。


 


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロはゆっくりと息を吐く。


 


 


 


 


 


 


 


(……夢じゃない)


 


 


 


 


 


 


 


(でも、説明もつかない)


 


 


 


 


 


 


 


 頭が追いつかない。


 


 


 


 


 


 


 


 けれど——


 


 


 


 


 


 


 


 やることは一つだった。


 


 


 


 


 


 


 


「……行くぞ」


 


 


 


 


 


 


 


 短く言う。


 


 


 


 


 


 


 


「……いいの?」


 


 


 


 


 


 


 


 ユナが聞く。


 


 


 


 


 


 


 


「また同じになるかもしれないよ」


 


 


 


 


 


 


 


「……なら」


 


 


 


 


 


 


 


 ヒロは前を見る。


 


 


 


 


 


 


 


「同じにしなきゃいい」


 


 


 


 


 


 


 


 それだけだった。


 


 


 


 


 


 


 


 霧の中へ。


 


 


 


 


 


 


 


 もう一度——踏み込む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ