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第31話 襲撃


 ギルドの扉を開ける。


 


 外の空気が、明らかに変わっていた。


 


「……なんだこれ」


 


 ヒロは足を止める。


 


 通りの先。


 


 煙が上がっている。


 


 人の叫び声。


 


 逃げる足音。


 


 


「魔物だ!!」


 


「西から来てるぞ!!」


 


 


 怒号が飛び交う。


 


 


「……来たな」


 


 


 ヒロは小さく呟いた。


 


 


「ヒロ」


 


 


 ユナの手が、強く袖を掴む。


 


 


「……分かってる」


 


 


 短く答える。


 


 


 そのまま、走り出した。


 


 


 通りを抜ける。


 


 


 視界が開ける。


 


 


 ——いた。


 


 


 黒い獣。


 


 


 建物の一部が、すでに崩れている。


 


 


 冒険者が数人、囲んでいるが——


 


 


「効かねえ!?」


 


「硬すぎる!!」


 


 


 刃が通らない。


 


 


 その瞬間。


 


 


 獣の口が開く。




 挿絵(By みてみん)


 


「——遅延付与……」


 


 


 低い声。


 


 


「《スロウ》」


 


 


 空気が、歪む。


 


 


「っ……!」


 


 


 周囲の動きが止まる。


 


 


「ぐ……っ、動け……!」


 


 


 冒険者たちの足が鈍る。


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


「分かってる!」


 


 


 ヒロは踏み込む。


 


 


 迷いはなかった。


 


 


 


 獣が振り向く。


 


 


 目が合う。


 


 


 


「——っ!」


 


 


 突進。


 


 


 速い。


 


 


 だが——


 


 


(見える)


 


 


 ヒロは横にずれる。


 


 


 紙一重。


 


 


 すれ違いざまに、斬る。


 


 


 浅い。


 


 


「……やっぱ硬えな」


 


 


 


「ヒロ、スロウ効いてるよ!!」


 


 


 ユナの声。


 


 


 


「分かってる」


 


 


 ヒロは答える。


 


 


「でも、動ける」


 


 


 


「普通じゃない!!」


 


 


 


「今はいいだろ!」


 


 


 


 言い切る。


 


 


 足を止めない。


 


 


 


「いいネ」


 


 


 ミカが前に出る。


 


 


 


「ミーもやるヨ」


 


 


 


 指を構える。


 


 


 


「Bang!!」


 


 


 


 爆発。


 


 


 


 直撃。


 


 


 


 建物の壁ごと、吹き飛ぶ。


 


 


 


「うおっ!?」


 


 


 


「巻き込むな!!」


 


 


 


「問題ナイ!」


 


 


 


「あるわ!!」


 


 


 


 煙が晴れる。


 


 


 


 ——無傷。


 


 


 


「……やっぱりネ」


 


 


 


 ミカが目を細める。


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 獣が消えた。


 


 


 


 


(……来る)


 


 


 


 


 ヒロは振り向く。


 


 


 


 


 間に合う。


 


 


 


 


 腕で受ける。


 


 


 


 


「——っ!!」


 


 


 


 


 衝撃。


 


 


 


 


 体が吹き飛ぶ。


 


 


 


 


 地面を転がる。


 


 


 


 


「ヒロ!!」


 


 


 


 


 ユナの叫び。


 


 


 


 


 止まる。


 


 


 


 


 起き上がる。


 


 


 


 


「……いってえな」


 


 


 


 


 腕を軽く振る。


 


 


 


 


 動く。


 


 


 


 


「……マジ?」


 


 


 


 


 ミカが呟く。


 


 


 


 


「それ耐えるネ……?」


 


 


 


 


「耐えたっていうか……」


 


 


 


 


 ヒロは肩を回す。


 


 


 


 


「まあ、動ける」


 


 


 


 


「意味わからないネ」


 


 


 


 


 


 獣が、再び構える。


 


 


 


 


 次は——速い。


 


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


 


 


 ユナが魔法を展開する。


 


 


 


 


 拘束。


 


 


 


 


 一瞬、止まる。


 


 


 


 


「今!!」


 


 


 


 


「おう!」


 


 


 


 


 ヒロは踏み込む。


 


 


 


 


 懐に入る。


 


 


 


 


 至近距離。


 


 


 


 


 刃を突き立てる。


 


 


 


 


 ——止まる。


 


 


 


 


「……っ、硬え!」


 


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 獣の目が光る。


 


 


 


 


 腕が振り上がる。


 


 


 


 


(……来る)


 


 


 


 


 避ける。


 


 


 


 


 間に合わない。


 


 


 


 


「——ヒロ!!」


 


 


 


 


 


 衝撃。


 


 


 


 


 視界が揺れる。


 


 


 


 


 地面に叩きつけられる。


 


 


 


 


「……っ」


 


 


 


 


 呼吸が詰まる。


 


 


 


 


 体が動かない。


 


 


 


 


 


 ——だが。


 


 


 


 


(……まだ動く)


 


 


 


 


 指が動く。


 


 


 


 


 足が動く。


 


 


 


 


 起き上がる。


 


 


 


 


「……しぶといネ」


 


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 


 


 獣が、わずかに後退する。


 


 


 


 


 そして——


 


 


 


 


 視線を外した。


 


 


 


 


「……?」


 


 


 


 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 


 跳ぶ。


 


 


 


 


 建物の上へ。


 


 


 


 


 そのまま——離脱。


 


 


 


 


「……逃げた?」


 


 


 


 


「違うネ」


 


 


 


 


 ミカが言う。


 


 


 


 


「まだ終わってないデス」


 


 


 


 


 


 静寂が戻る。


 


 


 


 


 崩れた街。


 


 


 


 


 倒れた人。


 


 


 


 


 荒れた地面。


 


 


 


 


 


「……くそ」


 


 


 


 


 ヒロは小さく吐き捨てた。


 


 


 


 


 


 さっきまでとは違う。


 


 


 


 


 はっきりと分かる。


 


 


 


 


 


(……これは)


 


 


 


 


 


 見過ごせるものじゃない。


 


 


 


 


 


 ゆっくりと立ち上がる。


 


 


 


 


 


 拳を握る。


 


 


 


 


 


「……次は」


 


 


 


 


 


 森の奥を見る。


 


 


 


 


 


「逃がさねえ」


 


 


 


 


 


 今度は——


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