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異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


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103/106

第103話 1200


 砕けたフィールドの破片が舞う。


 


 


 誰も動けなかった。


 


 


 


 モラクスが笑う。


 


 


 


 巨大なツノ。


 


 


 


 巨大な身体。


 


 


 


 圧倒的な魔力。


 


 


 


 一歩。


 


 


 


 踏み出す。


 


 


 


 ——ドォン。


 


 


 


 地面が沈んだ。


 


 


 


「っ!」


 


 


 


 ヒロが風を(まと)う。


 


 


 


 加速。


 


 


 


 風刃。


 


 


 


 ——ヒュンッ!!


 


 


 


 だが。


 


 


 


 届かない。


 


 


 


 モラクスが腕を振る。


 


 


 


 それだけ。


 


 


 


 ——ドゴォォォン!!


 


 


 


 衝撃。


 


 


 


 ヒロが吹き飛んだ。


 


 


 


「ヒロ!」


 


 


 


 ユナが叫ぶ。


 


 


 


 その横。


 


 


 


 ミカが立ち上がる。


 


 


 


 血を(ぬぐ)う。


 


 


 


「まだネ」


 


 


 


 笑う。


 


 


 


 いつも通りに。


 


 


 


「ミーは二本あるヨ」


 


 


 


 両爪を構える。


 


 


 


「だから×2ネ!」


 


 


 


 マキが嫌な顔をした。


 


 


 


「まさか……」


 


 


 


 ミカは構わない。


 


 


 


 地面を蹴る。


 


 


 


 ——ドォン!!


 


 


 


 跳ぶ。


 


 


 


 高く。


 


 


 


 さらに高く。


 


 


 


「いつもの二倍高く飛ぶヨ!」


 


 


 


「理屈がおかしいッス!!」


 


 


 


 空中。


 


 


 


 ミカが回転を始める。


 


 


 


 ギュン。


 


 


 


 ギュン。


 


 


 


 ギュン。


 


 


 


 速度が上がる。


 


 


 


 モラクスが見上げる。


 


 


 


 その目が細くなる。


 


 


 


「最後ネ!!いつもの三倍回るヨ!!」


 


 


 


 ——ギュォォォォォォッ!!


 


 


 


 超高速回転。


 


 


 


 空気が悲鳴を上げた。


 


 


 


「だから×3ネ!!」


 


 


 


 ミカは笑う。


 


 


 


 満面の笑みで。


 


 


 


「100×2×2×3!」


 


 


 


 両爪が交差した。


 


 


 


「これで1200ネェェェェッ!!」


 


 


 


 突撃。


 


 


 


 一直線。


 


 


 


 モラクスの顔面へ。


 


 


 


「ハッ」


 


 


 


 モラクスが笑った。


 


 


 


「面白ぇ」


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 身体を(ひね)る。


 


 


 


 回避。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 完全ではない。


 


 


 


 ——バギィィィィッ!!


 


 


 


 轟音。


 


 


 


 片方のツノが砕け散った。


 


 


 


「なっ!?」


 


 


 


 ヒロが目を見開く。


 


 


 


 ユナも。


 


 


 


 マキも。


 


 


 


 固まった。


 


 


 


 ミカが着地する。


 


 


 


 荒い息。


 


 


 


 それでも。


 


 


 


 笑う。


 


 


 


「どうネ」



 



 


 静寂。


 


 


 


 そして。


 


 


 


 モラクスが笑った。


 


 


 


 今までで一番。


 


 


 


 楽しそうに。


 


 


 


「いい」


 


 


 


 一歩。


 


 


 


 踏み出す。


 


 


 


 消える。


 


 


 


「え?」



 

 


 


 次の瞬間。


 


 


 


 ——ドシュッ。


 


 


 


 残った黒いツノが。


 


 


 


 ミカの胸を貫いていた。


 


 


 


 時間が止まる。


 


 


 


「……ミカ?」


 


 


 


 ヒロが呟く。


 


 


 


 ミカは答えない。


 


 


 


 動かない。


 


 


 


 ピクリとも。

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