↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不服、神様……僕に声掛けなかったよね?  作者: 海月まったり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/23

第七話 もしも

挿絵(By みてみん)

 しばらく……波の音だけが聞こえていた。


 神様は、アザラシを見ていた。


「……不服かい?」


「うん」


 即答だった。


「でもね」


 アザラシは顔を上げる。


「僕が干支になれたかどうかは、今となってはどうでもいいんだ」


「……どうでもいい?」


「うん」


 神様は少し驚いた。


「じゃあ、何が不服なんだい?」


「僕に聞かなかったこと」


「……」


「僕が参加したかったかどうかも聞かずに」


 アザラシは海を見る。


「勝手に決めたよね」


 神様は黙った。


「……そうだね」


「僕が陸で遅いから」


「うん」


「恥をかくかもしれないから」


「そう」


「だから、呼ばなかった」


「……うん」


 アザラシは少し考えた。


「じゃあ、聞くけど」


「何かな?」


「もし僕が参加してたら」


「どうなってた?」


 神様は答えなかった。


「……分からない」


「だよね」


 アザラシは頷いた。


「神様にも分からないんだ」


「……結果は、やってみなければ分からない」


「そうだよね」


 アザラシは静かに笑った。


「じゃあ、なんで決めたの?」


 神様は言葉を失った。


「僕が勝つかもしれない」


「……」


「負けるかもしれない」


「……」


「途中で疲れて寝るかもしれない」


「それは……ありそうだね」


「でも」


 アザラシは神様を見上げた。


「それを決めるのは、僕じゃない?」


 神様は何も言えなかった。


「僕が参加して」


「うん」


「僕が這って」


「うん」


「僕が負ける」


「……」


「それなら、僕も納得するよ」


 アザラシは海を見る。


「だって、やりきったって言えるから」


 波が静かに寄せてくる。


「でも」


 アザラシは再び空を見る。


「最初からやらせてもらえなかったら」


「僕は、ずっと分からないままだよ」


 神様は黙っていた。


 その言葉を否定することができなかった。


「……君は」


「何?」


「本当に、それだけのためにここまで来たのかい?」


「うん」


「私を探して?」


「うん」


「ずっと地面を這って?」


「うん」


「……」


 神様は少しだけ笑った。


「それが君らしさなんだね」


「どういう意味?」


「いや」


 神様は空を見上げた。


「なんでもないよ」


 そして。


 アザラシは静かに言った。


「僕は、まだ納得してない」


 神様は答えた。


「……そう」


 海は静かだった。


 けれど、二人の話はまだ終わっていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。