第四話 神様への道
神様の居場所が分からない。
アザラシは海辺で考えていた。
「……困ったな」
ずっと同じことを考えている。
神様に会いたい。
聞きたいことがある。
なぜ、自分には声を掛けなかったのか。
しかし。
「……どこにいるんだろう?」
分からない。
アザラシは少し考えた。
「……そうだ」
まだ、聞いていない動物がいる。
イタチと猫。
二匹とも、神様から声は掛けられていた。
アザラシは、まずイタチのところへ向かった。
「ちょっと聞きたいんだけど」
「また??」
「うん」
「今度は何?」
「神様って、どこにいるの?」
イタチは少し考えた。
「……知らない」
「そう」
「でも、神様と話したことはあるよ」
アザラシの目が少し開く。
「本当に?」
「うん」
「どこで?」
「空から声がした」
「空?」
「そう」
アザラシは空を見上げた。
青い空が広がっている。
「神様……空にいるの?」
「たぶん」
「たぶん?」
「神様の姿を見たわけじゃないから」
「そっか」
アザラシは考える。
「じゃあ、猫にも聞いてみる」
次に向かったのは、猫のところだった。
「聞きたいことがある」
「何?」
「神様って、どこにいるの?」
「知らないよ」
「そう」
「でも、神様の声なら聞いたことがある」
「どこで?」
「空から」
「……やっぱり?」
「やっぱり?」
「いや、こっちの話」
アザラシは空を見上げた。
神様は空から声を掛ける。
イタチも同じことを言っていた。
「……じゃあ、空に向かって話せばいいのかな」
「どうだろう」
「神様ー!」
アザラシが空に向かって叫ぶ。
返事はない。
「……」
「……」
「……居留守かな??」
「そんな簡単に返事するわけないでしょ」
「そう?」
アザラシは首を傾げた。
「神様なんだから、僕の声くらい聞こえると思ったんだけど」
「ずいぶん自信あるね」
「僕だからね」
「……うーん」
「何?」
「いや、何でもない」
アザラシは再び空を見る。
神様は空から声を掛けるらしい。
ならば。
「……空へ行けばいいのかな」
「どうやって?」
「分からない」
「……」
「でも、行けば会えるでしょ」
アザラシは真剣だった。
根拠はない。
しかし、迷いもない。
「神様に聞きたいことがある」
それだけだった。
海を見る。
陸を見る。
そして、もう一度空を見る。
「……行こう」
アザラシはゆっくりと。
地面を這う。
ズリ。
ズリ。
ズリ。
神様を探す旅が始まった。
ただし。
まだ神様がどこにいるのかは、分かっていない。
そして――
アザラシはまだ知らなかった。
神様はアザラシ存在に最初から知っていたことを。




