第二話 証言
アザラシは考えていた。
どうすれば、自分がレースに参加できなかった理由を知ることができるのか。
答えは、すぐに出た。
「……本人に聞けばいいよね」
神様に聞けばいい。
それが一番早い。
しかし。
「神様って、どこにいるんだろう?」
そこまでは考えていなかった。
アザラシはしばらく海を眺めた。
そして、思い出す。
自分と同じ(?)ように、干支になれなかった動物達がいる。
イタチ。
そして、猫。
ならば。
「……話を聞いてみよう」
アザラシは海を出た。
まず向かったのは、イタチのところだった。
「少し聞きたいんだけど」
「何?」
「君は、神様から声を掛けられたんだよね?」
「うん」
「本当に?」
「本当に」
「間違いなく?」
「三回も確認する?」
「念のため」
アザラシは頷いた。
「じゃあ、君は神様に選ばれたんだ」
「いや、干支にはなってないけどね」
「そこは関係ない」
アザラシは真剣な顔で言った。
「声が掛かったかどうかが重要なんだ」
「……そう?」
イタチは少し首を傾げた。
アザラシは続ける。
「レースにも参加したんだよね?」
「うん」
「そして、自分より後ろを走っていた動物に順番を譲った」
「そう」
「つまり、自分の意思で干支の座を逃した」
「言い方がひどくない?」
「そうかな?」
「まあ、いいけど……」
「ありがとう。よく分かったよ」
「何が?」
「君は、ちゃんと呼ばれていた」
「そこ?」
次に向かったのは、猫のところだった。
「君にも聞きたいことがあるんだ」
「何?」
「神様から声を掛けられた?」
「掛けられたよ」
「本当に?」
「うん」
「結果は?」
「子(鼠)に別の日に変わったって教えられた」
「つまり?」
「レースには参加できなかったんだ」
「……なるほど」
アザラシは静かに頷いた。
「君も、ちゃんと呼ばれていた」
「うん?」
猫が首を傾げる。
「何か問題でもあるの?」
「ある」
即答だった。
「僕は呼ばれていない」
「……」
猫は少し考えた。
「それは……」
「不公平だと思わない?」
「まあ……」
「だよね」
「でも、どうして今さら?」
「理由を知りたいんだ」
アザラシは真剣な顔で答えた。
沈黙。
そして。
「……決めた」
アザラシは空を見上げた。
「神様に直接聞く」
「どうやって?」
「まだ分からない」
「……」
「でも、聞く」
アザラシの目には、迷いがなかった。
「なぜ、僕は声を掛けられなかったのかを」
アザラシは動き出す。
目的地は決まった。
神様のところへ行く。
ただし――
「……神様って、どこにいるんだろう?」
まだ、それだけが分からなかった。




