第十八話 覚醒
ズリズリズリズリズリズリ。
アザラシは進んでいた。
「……」
しかし……少しずつ……。
その動きが……。
鈍くなっていた。
ズリズリズリ。
「……」
ズリズリ。
「……」
ズリ。
アザラシは……止まった。
「……疲れた」
後ろでは、辰(龍)が息を切らしている。
「……はぁ……はぁ……」
しかし、辰(龍)はまだ追っていた。
「……止まった?」
辰(龍)が呟く。
アザラシは自分の身体を見る。
「……」
そして、少し考えた。
「……」
横になる。
「……」
辰(龍)が目を細める。
「……何をしている……?」
アザラシはそのまま身体を少し転がした。
コロン。
「……?」
もう一度。
コロン。
そして、アザラシは。
少しだけ前に進んでいた。
「……」
アザラシは……しばらく考えた。
そして。
「……こっちのが楽かも」
コロン。
コロン。
「……!」
辰(龍)の目が見開かれる。
「おい……」
コロン。
コロン。
コロン。
「待て!!」
辰(龍)が叫ぶ。
しかし、アザラシは止まらない。
コロンコロンコロン。
「お前……」
辰(龍)は呆然と見つめる。
「……転がっているのか?」
「うん」
「なぜだ!!」
「這うの、疲れたから」
「……」
辰(龍)は言葉を失った。
アザラシはまた転がる。
コロンコロンコロンコロン。
「……」
辰(龍)は。
その速度を見ていた。
明らかに……さっきより、速い。
「……嘘だろ」
アザラシは……殻を破った。
「……」
コロンコロンコロンコロンコロン。
「……こっちの方が……」
「速いね」
辰(龍)は……その背中を見つめた。
「……」
そして、小さく呟く。
「……またか」
アザラシは、何も気にせず転がり続けた。
コロンコロンコロンコロンコロン。
レースは。
さらに加速していく。




