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アセット・フロンティア・オンライン  作者: 床間信生
第1章【砂に黄金、泥に蓮】

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第88話-蓮、路傍に道を見つける

「それについては……実は【採掘師】という職業には、採掘に成功するとボーナス経験値が貰える仕組みがあるんです」


「ボーナス経験値?」


「はい。例えば、ランクⅠの鉱山で採掘を行うとしますよね。そのときにストーンゴーレムを倒すと、採掘成功という扱いになって、通常の討伐経験値に加えてボーナス経験値が貰えるんです」


「へぇ……。それって、通常の戦闘で貰える経験値の何倍にもなるんですか?」


蓮は自分がランクⅠだった頃のことを思い出していた。


当時、相手にしていたゴブリンから得られる経験値は、一体につき10EXPほどだった。


それに対して、採掘成功によるボーナス経験値がどの程度加算されるのかは分からない。


(……ボーナスって、そんなにたくさん貰えるものなのか?)


蓮が疑問に思っていると、ホウキ星はさらに説明を続けた。


「それと、他のクランメンバーの人にレベルを上げてもらったりもしましたね」


「レベルを上げてもらう? それってどういうことですか?」


「自分は今ランクⅠなので、一人だとランクⅠの鉱山と、ランクアップのためのブロンズゴーレムがいる鉱山にしか入れないんです」


「はい」


「でも、ランクの高いクランメンバーにお願いして、その人のパーティに入れてもらえば、自分だけでは入れない高ランクの鉱山にも行けるんです。そこで経験値を分けてもらいながら、少しずつレベルを上げていきました」


「……ランクの高いメンバーですか」


蓮はホウキ星の言葉を聞きながら、少し考え込んだ。


(……なるほど。高ランクのPLAYERとパーティを組めば、自分より上のランクの鉱山にも入れるのか……)


蓮自身、ランクⅠの頃は何百体ものゴブリンを相手に、ひたすら戦闘を繰り返していた。


それに対して、ホウキ星は【採掘師】特有のボーナス経験値に加え、クランメンバーの協力によって経験値を獲得していたという。


(……同じレベル10でも、随分と上げ方が違うんだな……)


「でも、それなら、そのままレベル上げに協力してくれた人と一緒に行くというのはダメだったんですか?」


「あー……はい。向こうは、こっちの鉱山にはあまり魅力がないみたいで……」


(……所詮はランクⅡに上がるための鉱山ってことか……)


高ランクのPLAYERからすれば、ブロンズゴーレムのいる鉱山にわざわざ足を運ぶ理由は薄いのだろう。


それならば、ホウキ星が自分に協力を求めてきたことにも納得がいく。


だが、蓮の興味はすでに別のところへ向かい始めていた。


これからホウキ星と挑む予定の鉱山よりも、彼がクランメンバーに連れて行ってもらったという高ランクの鉱山の方が気になっていたのだ。


「ちなみに、なんですけど……その鉱山に俺を紹介してもらうってことはできないですか?」


「RENさん一人で入るってことですか?」


「ええ、まあ……」


「恐らく、それはできないと思います。鉱山を単独で利用するにはクランメンバーにならないとダメらしいので……。あと、ランクの問題もありますし……」


「あっ……それはそうなんですけど……」


蓮は少し考えてから、改めて口を開いた。


「じゃあ、こうしましょう。俺がホウキ星さんの依頼をある程度引き受ける代わりに、そのクランのリーダーっていうんですか? トップの人を紹介してもらうっていうのはどうですか?」


正直なところ、蓮はホウキ星から持ちかけられた依頼に、それほど魅力を感じていなかった。


そもそも、ホウキ星自身がまだランクⅠであることもあり、提示できる報酬が限られているのだろう。


(……多分、ホウキ星さんが考えていた報酬って、一人で採掘することを前提にしているんだろうな……)


原石が手に入れば、クランから三千Gが支払われる。


一人で採掘を行うのであれば、その三千Gをすべて自分のものにできる。


しかし、今回は蓮に協力を依頼している以上、そこから報酬を分けなければならない。


しかも、肝心の原石が手に入る保証すらないのだ。


これ以上、金銭的な報酬について話し合ったところで、大した条件は引き出せないだろう。


そう判断した蓮は、報酬として求めるものをGから人脈へと切り替えたのである。


そして、蓮には今、優先して考えなければならないことがあった。


それは、クラン【秘密の花園】で進めている闘技場の準備である。


以前の話し合いでは、運営からの返答まで一週間ほどかかると言われていた。


あれからすでに二日ほどが経過している。


つまり、蓮の予想では、あと五日ほどで何らかの返答が届くことになる。


(……それまでに、できるだけ準備を進めておきたいんだよな……)


闘技場がどうなるかは、まだ分からない。


だが、運営からの返答をただ待っているだけでは時間がもったいない。


この五日間を使って、できるだけレベルを上げるか、あるいはGを稼いでおきたいと蓮は考えていた。


そのためには、今より効率よく経験値を獲得できる場所か、まとまったGを稼げる場所を探す必要がある。


そこで気になったのが、ホウキ星の話に出てきた高ランクの鉱山だった。


(……高ランクの鉱山か……)


ホウキ星の話が本当なら、そこにはランクⅠの鉱山よりも強いモンスターがいるはずだ。


それなら、得られる経験値も多いかもしれない。


さらに、鉱山という場所である以上、何らかの採掘報酬も期待できる。


もちろん、実際にどの程度の経験値やGが手に入るのかは分からない。


それでも、今の蓮にとっては十分に調べてみる価値がある話だった。


(……三千Gを分けてもらうより、そっちの方がよほど価値があるかもしれないな……)


そして、その鉱山を利用できるクランのリーダーと直接話ができれば、何か新しい情報が手に入る可能性もある。


すぐに鉱山へ入れるようになるとは限らないが、少なくとも交渉する機会は得られるだろう。


蓮はそう考え、ホウキ星に新たな条件を提示したのだった。

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