第89話-ホウキ星との話し合いの結果
ホウキ星との話し合いの結果、報酬に関しては以下の通りとなった。
・銅塊に関しては、ホウキ星がすべて入手する。
・銅塊以外のアイテム類に関しては、店頭販売価格を基準にGへ換算し、その半額を蓮が受け取る。
・最初の討伐が終わった時点で、ホウキ星が蓮を【鉱物同好会】のクラン長に紹介する。
・蓮が用意した消費アイテムを使用した場合、そのアイテムの店頭販売価格の半額をホウキ星が負担する。
以上の四つである。
最後の消費アイテムに関する取り決めについては、少しばかり交渉が難航した。
というのも、蓮は最初、戦闘で使用する消費アイテムの費用を必要経費として全額負担してもらえないかと持ちかけていたのだ。
しかし、それを聞いたホウキ星は難色を示してしまった。
(……まあ、そうなるよな……)
恐らくだが、ホウキ星がこれまでブロンズゴーレムに勝てなかったというのも、このあたりに原因があるのではないかと蓮は考えていた。
戦闘に勝つためには、相応の準備が必要になる。
しかし、準備にGをかけすぎれば、たとえ勝利できたとしても採算が合わなくなる可能性がある。
ましてや、ホウキ星自身はまだランクⅠである。
それほど多くのGを用意できるわけでもないのだろう。
(……ここで粘っても、あまり意味はなさそうだな……)
そう判断した蓮は、交渉を長引かせるよりも妥協点を探すことにした。
そこで、消費アイテムの費用を半分ずつ負担するという案を提示したところ、ホウキ星もそれならばと了承してくれたのだ。
ただし、蓮には一つ考えていることがあった。
いくらホウキ星が半額を負担してくれるとはいえ、蓮自身も残りの半額を負担しなければならない。
だからといって、ギルドや店で売られている回復アイテムを、馬鹿正直に購入するつもりはなかった。
ギルドで販売されているポーションは、一番安いものでも一個100Gほどする。
その半額となれば50G。
戦闘中に何個も使用することになれば、それなりの出費になる。
しかも、今回の依頼では十分な報酬が得られる保証もない。
下手をすれば、回復アイテムの費用だけで赤字になってしまう可能性すらあるのだ。
(……だったら、安く手に入れればいいだけの話なんだよな……)
そこで蓮が思いついたのが、ポロンだった。
蓮はホウキ星との話し合いの途中、彼には内緒でポロンへ連絡を入れていた。
内容は単純なものである。
ポーションなどの回復アイテムを、できるだけ安く譲ってもらえないかという相談だった。
すると、連絡を送ってからほとんど間を置かずに返事が届いた。
その内容は、蓮の予想を大きく上回るものだった。
『ポーションなら一個10Gでいいよ~。ポーション(中)は20Gにしておくね~』
(……安っ!)
蓮は思わず驚いてしまった。
ギルドで購入する場合、通常のポーションは一個100G、ポーション(中)は一個200Gほどする。
それを、どちらも店頭販売価格の十分の一で譲ってくれるというのだ。
相変わらず軽い調子の返信ではあったが、蓮にとっては非常にありがたい申し出だった。
(……いや、これは助かるな……)
そして蓮は、今回ホウキ星と取り決めた条件を思い返した。
消費アイテムを使用した場合、その店頭販売価格の半額をホウキ星が負担する。
つまり、通常のポーションであれば、一個使用するごとに50Gが支払われることになる。
しかし、ポロンからの仕入れ価格は10Gだ。
差し引き40G。
ポーション(中)であれば、店頭販売価格200Gの半額である100Gが支払われる。
こちらの仕入れ価格は20Gなので、差し引き80Gとなる。
(……なるほど。ポーションを使うだけでも、多少は利益になるわけか……)
もちろん、これはあくまで今回の契約に基づいた計算である。
戦闘で使用する回復アイテムを安く調達できれば、その分だけ蓮の実質的な負担が減り、場合によっては差益まで生まれるというわけだ。
とはいえ、蓮としてもむやみやたらに回復アイテムを使うつもりはなかった。
いくら使用することで差益が生まれるとはいえ、必要のない場面で使っていては、ホウキ星の負担ばかりが増えてしまう。
それに、今回の目的はあくまでブロンズゴーレムを討伐することであって、ポーションを消費することではない。
基本的には、戦闘中にどうしても回復が必要になった場合だけ使用するつもりだった。
戦闘が終わった後については、多少面倒でも各自の拠点へ戻り、HPやSPを全快させればいい。
そうすれば、無駄な消費を抑えながら次の戦闘に備えることができる。
(……まあ、これなら多少は何とかなるかな……)
蓮はそんなことを考えながら、今回の依頼に必要な準備を頭の中で整理していた。
もちろん、ポロンとのやり取りについては、ホウキ星には内緒である。
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