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アセット・フロンティア・オンライン  作者: 床間信生
第1章【砂に黄金、泥に蓮】

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第86話-蓮、刀を見つける

「実はですね。今回の採掘では、稀に【開発クリスタル】を入手できることがあるんですが……」


「開発クリスタル!?」


【開発クリスタル】。


それは蓮がこのゲームを始めたばかりの頃、ニールから説明を受けたことのあるアイテムだった。


蓮たちPLAYERは、王国に所属し、未開の領地を開拓するために活動する冒険者である。


領地の開拓には、街道の整備や橋の建設、鉱山の調査など、様々な任務が存在する。


そして、それらの任務を達成することで、ギルドから支給される特別な報酬。それが【開発クリスタル】だったはずだ。


もっとも、蓮がこれまでに受けたギルドの依頼は、わずか二回しかない。


一つは、ランクⅠの頃にマルタという女性から受けた、子供の捜索依頼。


もう一つは、ランクⅡへのランクアップを目指して挑戦した、ゴブリンの巣の殲滅依頼である。


そして、そのどちらでも開発クリスタルを手に入れることはできなかった。


そのため、蓮自身は開発クリスタルについて、詳しいことをほとんど知らない。


だが、どうやらホウキ星は、蓮の知らない情報を持っているらしい。


それを知ったことで、蓮の中ではブロンズゴーレム討伐への興味が一段と高まった。


しかし、それと同時に、別の感情も湧き上がってくる。


(……それなら、どうして最初から言わなかったんだろうな……)


「とは言ってもですね。実際に手に入るかどうかは分からないものなんですけど……」


「それは、ギルドから貰える条件が分からないということですか?」


「いえ、交換条件自体ははっきりしています。採掘の際に、稀に【クリスタル(原石)】というアイテムが手に入ることがあるんです。それをギルドに持っていくと、【開発クリスタル】に交換してもらえるんですよ」


(……交換条件ははっきりしている……?)


蓮は思わず眉をひそめた。


(……だったら、なおさら最初から教えてくれてもよかったんじゃないか……?)


そんな蓮の表情の変化に気づいたのか、ホウキ星も少し身構えた様子を見せる。


「あの……誤解しないでくださいね。これ、本当に滅多に手に入らないアイテムみたいなんです。僕自身、一度しか貰ったことがなくて……。確実に手に入るわけじゃないので、報酬としてお話しするのは難しいと思っていたんです」


「なるほど……。でも、確かホウキ星さん、前に話したときは、鉱山で採掘をするとブロンズゴーレムが出現して、まだ一度も勝てていないって言ってましたよね?」


「はい、そうです」


「それなら、どうしてブロンズゴーレムから手に入るアイテムのことを知っているんですか?」


蓮の疑問に、ホウキ星は慌てて首を振った。


「あっ、いえ! 僕が原石を手に入れたのは、ブロンズゴーレムじゃなくて、ストーンゴーレムを倒したときなんです」


「ストーンゴーレム?」


「はい。でも、二百回くらい戦って、ようやく一個手に入った程度でして……。クランの人が言うには、【クリスタル(原石)】は他のゴーレムを倒したときにも、稀に手に入ることがあるらしいんです」


ストーンゴーレム。


蓮はまだ、そのモンスターと戦ったことがない。


そのため、どの程度の強さなのかも分からなかった。


ただ、ランクⅠの頃、レベル10に到達するまでに何百回と戦闘を繰り返してきたことは覚えている。


それでも、開発クリスタルにつながるようなアイテムを手に入れたことは一度もなかった。


(……二百回で一個か……)


もちろん、それだけで正確な入手確率が分かるわけではない。


だが、ホウキ星の話が本当なら、相当に珍しいアイテムなのだろう。


(……確かに、それじゃ報酬として約束するのは難しいよな……。でも……)


蓮は少し考えてから、再び口を開いた。


「それでも、協力をお願いする以上、そういうアイテムが手に入る可能性があるなら、前もって教えてほしかったとは思いますけどね……」


これは蓮にとって、当然の疑問だった。


一緒に戦う以上、得られる経験値や魔石、その他のドロップアイテムについても、協力するかどうかを判断する材料になる。


ましてや、蓮がこれまで一度も手に入れたことのない【開発クリスタル】につながるアイテムである。


たとえ入手できる可能性が低かったとしても、その情報には十分な価値があった。


「はい……。それは、そうなんですけど……」


ホウキ星はどこか言いにくそうに、言葉を濁した。


そして、少し間を置いてから続ける。


「ただ……このクリスタルに関しては、そう単純な話じゃないんです……」

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