第70話-足下から鳩が立つ
ホウキ星が自分の鉱山を持ちたいという話を聞いたところで、蓮は一度話を切り上げることにした。
蓮としては、【白の神殿】でのお布施について、一度【秘密の花園】のメンバーに相談し、詳しい情報を仕入れておきたかったのだ。
ギルドの受付に戻った蓮は、ホウキ星に後日連絡することを伝えて別れた。
その後、メニュー画面からクランメンバーのログイン状況を確認する。
平日の夜も遅い時間になっていたため、誰かがログインしているか少し心配だったが、幸いにもポロンはまだログインしているようだった。
蓮は急いでクランへ戻り、ポロンを探すことにした。
「ポロンさん、というわけなんですが、どうでしょうか?」
クランに戻ってポロンを見つけた蓮は、早速【白の神殿】についての話を聞いてもらった。
「そうだねぇ~。確かに【白の神殿】のお布施は、今後のことも考えてやっておくのはいいかもねぇ~」
「ですよね。今なら10万Gは問題なく出せる範囲なので、明日にでもやっておこうと思うんですが」
ポロンの反応も悪くはないようだ。
蓮はこれからの行動について相談しながら、彼女の反応を確認する。
「確か【白の神殿】では、【ホワイトピジョンの心】っていうアイテムが売ってるはずなんだよねぇ~。それを召喚対象として登録できれば、回復系のモンスターになるんじゃないかなぁ~」
「へぇ……【ホワイトピジョンの心】ですか」
ポロンから新たな情報を得られたことで、蓮の気分が少し高揚する。
回復系のモンスターを召喚できるとなれば、パーティ構成の幅がぐっと広がるからだ。
何より、自分で回復スキルを使わずに済むというのは、SPの制限を受ける【召喚士】にとってありがたい。
「でもねぇ~……。最初はランクⅠのLv1でしょ? それだと、役に立つようになるまでしばらくかかるんじゃないかなぁ~……」
「それについては大丈夫です。ちゃんと考えているので」
珍しく蓮が力強く答えると、ポロンは少し驚いたように目を見開いた。
蓮には、一つ考えがあった。
以前訪れた召喚士サロンでは、召喚モンスターの経験値を購入できたはずだ。
それを利用すれば、ランクⅠLv1のモンスターでも、ある程度まで育てられるのではないかと考えている。
ホウキ星の話では、ブロンズゴーレムにある程度のダメージを与えることはできるらしい。
つまり、まったく戦闘にならないというわけではないのだ。
であれば、回復系のモンスターをランクⅠLv10まで育てることができれば、何とかなるかもしれない。
ランクⅠLv1からLv10までに必要な経験値は、合計5,110EXP。
召喚士サロンで経験値を購入するなら、5,000Gと少しで済む計算になる。
そのくらいであれば、今の蓮にはまったく問題のない金額だ。
もっとも、実際にどの程度の回復能力を持っているのかは、まだ分からない。
だが、少なくとも育成に時間がかかるという問題については、解決できる見込みがあった。
「へぇ~……。じゃあ、そこは問題ないとしてぇ~。どんなモンスターなのか、ある程度調べてから行った方がいいと思うんだけどぉ~」
「えっ……どういうことですか?」
ポロンから教えてもらったのは、【ホワイトピジョンの心】というアイテムの存在と、その入手場所だけだ。
それだけの情報から、モンスターの詳細を調べる方法があるのだろうか。
「あのねぇ~。RENさんは【召喚士】でしょ? だったら、オークションで【ホワイトピジョン】が出品されていれば、ステータスを確認できるんじゃないかなぁ~」
「あっ……そうか。確かにステータスは見られますね」
「でしょ~? オークションって、別に買ったり売ったりしなくてもいいんだからねぇ~。私もアイテムの詳細を調べるためだけに利用することがあるよ~」
「なるほど……確かにそうですね」
自分よりもPLAYERとしての経験が豊富なポロンに、蓮は素直に感心した。
オークションといえば、これまではアイテムを売買するための場所という認識が強かった。
だが、出品されているアイテムやモンスターの情報を調べるだけでも利用できる。
考えてみれば当たり前のことなのだが、蓮はそこまで思いつかなかったのだ。
そんな蓮の反応が嬉しかったのか、ポロンは少し照れくさそうにしながらも、どこか得意げな表情を浮かべている。
その様子がおかしくて、蓮も思わず笑みをこぼした。




