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アセット・フロンティア・オンライン  作者: 床間信生
第1章【砂に黄金、泥に蓮】

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第68話-瓢箪から駒

「そういえばホウキ星さん、さっきギルドの近くにある武器屋に寄っていましたよね? あのとき、何を買っていたんですか?」


「はい……買っていたというか……。実は相談に乗ってもらっていたんです」


「相談ですか?」


「できるだけGをかけずに何とかする方法はないかと思いまして……。それならギルドに案件を出して、協力してくれる人を探してみたらどうか、という話になったんです」


(なるほど。それを俺が見つけたってわけか)


おそらく、ホウキ星がギルドに案件を出してから、それほど時間は経っていないのだろう。


蓮は、たまたまその直後に案件を見つけたというわけだ。


「ちなみに、案件を出す以外には、どんな方法があるって言われたんですか?」


「えっと……王道の方法としては、防御力を高めて、回復手段を十分に用意することですね。あとは、できるだけ攻撃力も確保した方がいいって言われました」


(……ん?)


その話を聞いて、蓮は少し引っかかるものを感じた。


モルスが自分にした助言と、ホウキ星にした助言が違うのだ。


蓮が以前モルスに相談したときは、【契約】というスキルを使った装備の提供を持ちかけられた。


だが、今の話を聞く限り、ホウキ星には契約装備の話をしていないらしい。


(……なんでだ?)


「どうかしましたか?」


蓮の表情が変わったことに気づいたのか、ホウキ星が覗き込むように顔を見てくる。


「いや、別に何でもないですけど……。ちなみに、ブロンズゴーレムって一度も倒したことはないんですか?」


「そうですね。ある程度ダメージを与えることはできるんですが、最後まで倒せたことはないです」


(HPを削りきれないってことか……。倒す前にこっちのHPが尽きるなら、やっぱり回復手段が足りないのかな……)


蓮はここで、以前こなしたゴブリンの巣の殲滅イベントを思い出す。


あのとき、蓮は確かに巣の殲滅に成功した。


だが、それはポロンからもらった回復薬の存在が大きかったことを覚えている。


回復薬がなければ、途中でHPが尽きていたかもしれない。


「ブロンズゴーレムって、一度に1体しか出てこないんですか?」


「いえ、複数体出てくることもあります」


(……ですよね)


ランクⅠのPLAYERでも立ち入ることができる鉱山だ。


もしブロンズゴーレムが1体ずつしか出現しないのであれば、ランクⅡになった蓮とホウキ星の二人で、何とか倒せるかもしれない。


一度倒すたびに拠点へ戻り、回復してから再び挑戦する。


それを繰り返せば、時間はかかっても銅塊を集められるのではないか。


そんな考えも一瞬頭をよぎった。


だが、蓮は知っている。


この『アセット・フロンティア・オンライン』というゲームが、そう簡単に物事を進めさせてくれるほど生易しくないことを。


「そうなると、ブロンズゴーレムのHPとかステータスを知りたいですよね」


「ステータスですか? HPはおそらく400〜500の間くらいじゃないかって、クランの人が言ってましたよ」


「あっ……そうなんですか」


クランの人、という言葉に蓮は少しだけ安心した。


先ほど、ホウキ星は今のクランを抜けたいと言っていた。


そのため、もしかするとクラン内で情報を教えてもらえないような状況なのではないかと、一瞬考えていたのだ。


だが、少なくともブロンズゴーレムについての情報は共有されているらしい。


もっとも、それだけでクラン内の事情が分かるわけではないのだが。


(それにしても、HPが400〜500か……)


しかも、そんなモンスターが複数体出現することもあるという。


(……もしかして、ゴブリンの巣の殲滅より難しいんじゃないか?)


ここまで話を聞く前は、とりあえず鉱山へ行って、一度戦ってみればいいと考えていた。


ブロンズゴーレムが1体だけなら、ランクⅡになった自分でも何とかなるかもしれない。


だが、実際には何体出てくるかも分からない。


気軽に一戦だけ試してみよう、というわけにもいかなさそうだ。


「あと、やっぱり回復手段ですよね……。こっちが何とかなれば、試してみようかなとも思えるんですけど……」


蓮がそう言ったのには、もう一つ理由がある。


ホウキ星からの報酬が、まだはっきりしていないことだ。


例えば、今回の依頼を達成した際に100万Gもらえるというのであれば、蓮も自分で回復薬を買い込んで挑戦するという判断ができる。


だが、実際にはホウキ星の手持ちのGにも余裕がないらしい。


報酬がどうなるのか分からない以上、どれだけの費用をかけていいのかも判断できない。


そもそも、蓮自身がGを稼ぐ方法を探している最中なのだ。


依頼を手伝うために大金を使い、結果的に赤字になってしまっては本末転倒である。


だからこそ、どうにも踏ん切りがつかなかった。


「そうですよね。回復アイテムを買い込むとなると、かなりGがかかりますからね」


「そうなんですよね……」


「だったら、いっそ回復スキルを覚えた方がいいのかもしれませんけど……。あれも結構お金がかかりますし……」


「えっ……?」


ホウキ星の言葉に、蓮は思わず反応した。


「ホウキ星さん、回復スキルの入手方法を知ってるんですか?」


「はい。知ってますよ」

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