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アセット・フロンティア・オンライン  作者: 床間信生
第1章【砂に黄金、泥に蓮】

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第65話-袖振り合うも多生の縁

蓮はクランへ戻ると、さっそくオクに相談を持ちかけた。


だが、その返答は意外にもあっさりとしたものだった。


「別にそんな焦らんでもええよ」


「えっ?」


「審査の結果が出るまで、あと一週間くらいかかるみたいやからなぁ」


現在、闘技場についてはいくつかの案を運営へ確認している最中だ。


特に【経験値を懸ける賭け】については、そもそも認められるのかどうかすら分からない。


その結果次第では、闘技場の仕組みそのものを変更する必要が出てくる可能性もある。


「今の段階で色々やっても、審査の結果次第で無駄になるかもしれんやろ? せやから、今はそんな積極的に動かんでもええと思っとるよ」


「あー……なるほど」


言われてみれば、その通りだった。


蓮は闘技場のオープンに向けて何かしなければと少し焦っていたが、肝心の運営からの返答が来ていない以上、現段階では最終的な判断のしようがない。


だからといって、一週間何もせずに待っていられるかといえば、それもまた別の話だ。


そんな蓮の性格を多少なりとも理解しているのか、オクは言葉を続ける。


「せやからRENちゃんは、今のうちにレベル上げでも金策でも、好きにやっとってええよ。こっちも審査が通ってからやないと、本格的には動けんしな」


「分かりました」


そういうことなら、蓮としてもやることはある。


レベルも上げたい。


Gも稼ぎたい。


できることなら、その両方を同時に進めたい。


そんなことを考えた結果――。


蓮は再びギルドへとやって来ていた。


「何かいいのないかなぁ……」


ギルドで受けられる案件を、上から順番に眺めていく。


討伐、採取、護衛。


報酬も難易度も様々だ。


今までの蓮なら、報酬よりも自分に達成できそうかどうかを優先して選んでいただろう。


だが、今は少し違う。


レベル上げにつながるか。


報酬としてGを稼げるか。


できれば、その両方を同時に満たせるものがいい。


そんな都合のいい案件がないものかと、蓮は片っ端から内容を確認していく。


そして――。


「……ん?」


しばらく案件を眺めていた蓮の目が、一件の依頼で止まった。


━━━━━━━━━━━━━


【協力要請】


依頼者:???


職業:見習い採掘師


南の山にある鉱山で、ゴーレムが大量に出現したため採掘がストップしています。


人手が足りないので、協力してくれる方を募集します。


報酬:応相談


必要条件:なし


━━━━━━━━━━━━━


「協力要請……?」


蓮が引っかかったのは、その見慣れない言葉だった。


通常、ギルドに並んでいる案件は【討伐】や【採取】、【開拓】などの項目に分かれているはずだ。


それなのに、この案件だけは【協力要請】となっている。


(こんなのあったっけ?)


そこで蓮は、あることを思い出した。


ポロンと初めて出会った時の案件だ。


あの時も、確か普通の案件とは違って【同行者募集】となっていたはず。


そして、あの案件を出していたのはポロンだった。


つまり、NPCではなくPLAYERがギルドを通して募集を出していたことになる。


蓮はもう一度、目の前の案件へ視線を戻す。


依頼者の名前は【???】。


だが、その下には職業が表示されている。


【見習い採掘師】


「もしかして……これってPLAYERか?」


見習い採掘師。


見習いということは、おそらくランクⅠの職業だろう。


「……ちょっと気になるな」


報酬は【応相談】。


いくらGを稼げるのかも分からない。


ゴーレムがどれほど強いのかも分からない。


それでも蓮は、その見慣れない【協力要請】という案件から、なかなか目を離すことができなかった。


「……とりあえず、話だけでも聞いてみるか」


そう決めた蓮は、そのままギルドの受付へと向かい、案件についての取り次ぎをお願いする。


「REN999様、かしこまりました。こちらの案件でございますね。では、少々お待ちください」


「あっ……はい」


そう返事をしながらも、蓮は少しだけ違和感を覚えた。


ポロンの案件の時とは、受付の対応が違う。


あの時は受付で手続きを済ませた後、しばらく時間を置いてからポロン本人から連絡が来たはずだ。


だが今回は、その場で椅子に座って待つように促された。


(近くにいるのかな?)


そんなことを考えながら待つこと数分。


「あのー……REN999さんでしょうか?」


「はい?」


突然、後ろから声をかけられる。


同時に肩を軽く叩かれ、蓮は振り返った。


「…………あれ?」


そこにいた人物には、見覚えがあった。


といっても、知り合いではない。


つい先ほど。


モルスの店へ入ろうとした時に、入れ替わるように店から出てきた――あのPLAYERだった。

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