第62話-蓮、思い知る
蓮はフリーウルフの欄から、まず★が表示されている中で最もレベルの高いものを探す。
そして見つけたのは、Lv30のフリーウルフだった。
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【フリーウルフ】
種族:フリーウルフ/召喚モンスター
ランク:Ⅰ
Lv:30
HP:300
SP:150
攻撃:30
防御:30
命中:30
抵抗:30
STR:30
VIT:30
AGI:30
INT:30
DEX:30
LUK:30
CHA:30
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「あれっ……これって、俺よりステータスよくないか?」
蓮は現在の自分――ランクⅡ【召喚士】Lv1のステータスを思い浮かべる。
STRとVITは30で同じ。
DEXとCHAなら自分の方が上だが、AGI、INT、LUKは目の前のフリーウルフの方が高い。
HPと攻撃こそ同じだが、SP、防御、命中、抵抗に至っては全て負けている。
「ランクⅠだよな、こいつ……」
思わず、もう一度表示を確認する。
だが、何度見ても【ランクⅠ】と書かれている。
ここで蓮は、サロンでニールから聞いた言葉を思い出す。
『召喚モンスターの最大レベルは、召喚士様の現在のランクによって変化いたします』
(ということは、このフリーウルフは少なくともランクⅢ以上の召喚士が育てたモンスターか……)
そこまで考えたところで、蓮はある違和感に気づいた。
(……あれ? でもこれって……)
蓮は現在、ランクⅡ【召喚士】である。
そのため、自分でランクⅠの召喚モンスターを育てられるのはLv20までだ。
だが、目の前に表示されているフリーウルフはLv30。
それなのに――。
画面の下には、しっかりと【決定】の項目が表示されていた。
「もしかして……自分より高いランクの召喚士が育てた召喚モンスターでも、手に入れることはできるのか?」
当然、今の蓮には答えが分からない。
だが、目の前には【決定】と表示されている。
ならば押してみれば何か分かるかもしれない。
蓮はそのまま【決定】を選択した。
直後――。
【購入金額:5,000,000,000G】
【資金が不足しています】
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
思わず、素っ頓狂な声が出た。
「なにこれ……ごっ……五十億……?」
もう一度、桁を数える。
一、十、百、千、万――。
何度数えても変わらない。
五十億G。
「どうなってんだよ、このゲーム……」
蓮は、とりあえず心を落ち着かせる。
そして少し冷静になったところで、これまで召喚士サロンでニールたちから聞いた説明を、一つずつ思い返してみた。
召喚モンスターや召喚アイテムを召喚するためには、サロンでの登録が必要。
召喚モンスターに装備させられるアイテムは、そのモンスター自身のランク以下。
召喚する際には、対象のランクに応じてSPに制限を受ける。
召喚モンスターを自分で育成できる最大レベルは、【召喚士】自身のランクによって変わる。
そして、同ランクかつLv10以上の召喚モンスター二体を使えば、【進化】によって一つ上のランクの召喚モンスターを生み出すことができる。
そこまで思い返して――。
「あっ……そういうことか」
ようやく蓮は気づいた。
「俺が自分で育てられるのはLv20まで。でも、Lv30のモンスターを持っちゃいけないとは言われてない……」
育成できる最大レベルと、所有できる最大レベル。
それは、まったく別の話なのだ。
「だから……オークションか」
ここまで考えて、蓮は昨日オリバから言われた言葉の意味を、ようやく少しだけ理解した。
自分一人で育てられるものだけを見ていては駄目なのだ。
他のPLAYERが育てたものを買う。
逆に、自分が育てたものを他のPLAYERへ売る。
【召喚士】にとってオークションとは、単に物を安く買ったり、高く売ったりするだけの場所ではない。
自分では届かない場所にあるものすら、Gさえあれば手に入れられる場所なのだ。
「……そりゃ、ちゃんと見ておいた方がいいって言うわけだ」
昨日、オリバがわざわざ一日使ってオークションを見ておくよう勧めてきた理由が、蓮にも少しだけ分かった気がした。




