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アセット・フロンティア・オンライン  作者: 床間信生
第1章【砂に黄金、泥に蓮】

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第60話-蓮、象の牙を見るがまだその大なるを知らない

【試練の装備】についての説明が終わったところで、五人は一度話し合いを切り上げ、まずは運営へ許可を取ってみようということになった。


というのも、今回の闘技場について蓮が提案した【経験値を懸ける賭け】は、オリバですら聞いたことのない未知の領域である。


現段階でいくら詳しく話し合ったところで、そもそも運営から許可が下りなければ意味がない。


審査が通らなかった場合は、オリバが考案した方法を中心に闘技場を運営していくことになるかもしれない。


ならば、これ以上細かな部分を決めるよりも、まずは動いてみる。


今後の方向性をはっきりさせるためにも、それが先決だという結論になったのだ。


話し合いが終わった後、蓮は以前ポロンから頼まれていたモンスターの心を渡した。


「あ~、そうだ。これ、お駄賃ねぇ~」


「えっ?」


ポロンから渡されたのは――200,000G。


「に、20万G!?」


蓮がモンスターの心を購入するために使った金額は、全部合わせても34,000Gほどである。


それが200,000Gになって返ってきた。


「いやいや、さすがに貰いすぎですよ!」


「あ~、大丈夫大丈夫~。オークションで同じものを集めようとしたら、200,000Gじゃ全然足りないからねぇ~」


「でも……」


「それに合成アイテムにすれば、これくらい払っても十分利益は出るから~。遠慮しないで受け取っていいよぉ~」


そこまで言われても、蓮としては簡単には受け取りづらい。


「RENちゃん、遠慮はいらんて。貰っておいて構わんよ」


オクにまでそう言われ、蓮は少し考える。


「……じゃあ、ありがたく貰います」


結局、少し躊躇しながらも200,000Gを受け取ることにした。


(……やっぱり上位陣の金銭感覚っておかしいよな)


34,000Gが200,000Gになったことに若干の恐ろしさを感じつつも、蓮はありがたく受け取っておくことにした。


その後、そろそろ今日のログインを終えようと、蓮が皆に挨拶をした直後だった。


「RENさん。一つだけいいですか?」


「はい?」


呼び止めたのはオリバだった。


「今回RENさんが考えた【経験値を懸ける賭け】についてですが、少し注意しておいた方がいいと思います」


「注意……ですか?」


「はい。少なくとも私の周辺では、同じようなことを考えたという話を聞いたことがありません」


「そうなんですか?」


「もちろん、私のプレイ環境や情報収集能力に問題があって、単純に私が知らないだけという可能性もあります」


オリバはそこで一度言葉を切る。


「ですが――もしかすると、かなり画期的なアイデアである可能性もあります」


「画期的……」


蓮は思わず聞き返した。


自分としては、オクのスキルを見たことから思いついただけのアイデアだった。


それをオリバからそこまで評価されるとは思っていなかったのだ。


「こういった新しいアイデアというのは、それ自体が情報として価値を持つ場合があります。ですから通常であれば、できるだけ部外者には情報を出さず、まずはクランメンバーだけで話し合った方がいいでしょう」


「でも……そうなると、分からないことがあった時にオリバさんへ相談できなくなりませんか?」


「必要なことだけ聞けばいいんですよ」


「必要なことだけ?」


「はい。何も、考えていることをすべて相手に話す必要はありません。知りたい部分だけを切り取って質問すればいいんです」


「あー……なるほど」


言われてみれば、その通りなのかもしれない。


「……あれ?」


そこで蓮は一つのことに気づいた。


「それって、オリバさんにもですか?」


「もちろんです」


オリバは何でもないことのように答えた。


「私も部外者ですからね」


「……なんか、オリバさんって親切ですね。こういうことって、あまり言わない方がオリバさんにとってはいい気がするんですけど」


「確かにそうですね。ですが、私はRENさんが闘技場を開くまで、真剣にアドバイスもすると言いましたからね。今の忠告もその一つですよ」


「なるほど……」


オリバの言葉に納得し、蓮は笑顔を見せた。


その後、明日から本格的に蓮の育成へ入ろうかという話になった。


しかし、そのためにはまだレベル上げが完了していないポロンではなく、大根にも参加してもらった方がいいらしい。


そこで本人に確認を取ったところ、大根の都合がつくのは明後日からということだった。


「でしたら、明日はオークションを見ておくといいですよ」


「オークションですか?」


「はい。RENさんは、まだじっくり見たことがないんですよね?」


「そうですね。ほとんどないです」


「今後は利用する機会も増えるでしょうから、一度時間をかけて見ておいた方がいいと思います。どのようなものが、どれくらいの値段で取引されているのか。それを知っておくだけでも違いますからね」


「なるほど……」


確かに、これまで蓮はオークションについてほとんど知らない。


モンスターの心一つを取っても、ポロンの話では店で買うのとオークションで買うのとでは大きく値段が違うようだ。


今後もAFOを続けていくのであれば、一度くらい時間をかけて見ておいた方がいいだろう。


幸い、明日は特に予定もない。


「分かりました。じゃあ明日はオークションを見てみます」


こうして、闘技場についての長い話し合いを終えた蓮は、明日一日を使ってオークションをじっくり見て回ることにした。

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