第48話-蓮、苦労を買えずに困る
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【ゴブ太】
種族:ゴブリン/召喚モンスター
ランク:Ⅰ
Lv:1
HP:10
SP:10
攻撃:6
防御:3
命中:4
抵抗:4
STR:6
VIT:1
AGI:5
INT:2
DEX:5
LUK:2
CHA:1
スキル:【叫ぶ】
必要経験値:0/10
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ニールからの説明を受けた後、蓮は【ゴブリンの心】を使用し、ゴブリンを召喚モンスターとして登録した。
ゴブリンの名前は【ゴブ太】。
いかにも適当な名前だが、蓮の中ではロアを進化の軸にすることはすでに決まっている。
そのため、「こいつはとりあえず何でもいいか」という気持ちが、そのまま名前に表れていた。
とはいえ、どうせ育成するのであれば、少しでも強い状態にしてから進化させたいというのが蓮の本音である。
「こいつをLv20まで育てるのか……」
レベル上げの闇について、なんとなくではあるが察し始めた蓮。
「どうすっかなぁ~……」
ゴブ太とロア。
この二体をどうやって育てていくのかを考え、途方に暮れていた。
『REN999様、召喚モンスターの育成についてお困りですか?』
「まー、そりゃーねぇ~……」
ニールの優しい声が響く。
『それでしたら、隣にあるカウンターの方へお願いします』
「隣のカウンター?」
蓮は三階の扉を開けてから、左側のカウンターを順番に訪れている。
最初は召喚対象の登録と削除。
そして先ほどの説明では、その次に【配合】と【分解】について聞いたはずだった。
であれば、次のカウンターが【配合】と【分解】なのだと蓮は思っていた。
(もしかして違うのか?)
そんな疑問を抱きながら、隣のカウンターへ向かう。
「いらっしゃい。召喚モンスターの経験値購入をご希望ですか?」
「はぁ? 経験値購入? えっ……どういうこと?」
いきなり予想外の言葉を投げかけられ、蓮は動揺を隠せなかった。
「こちらでは、ご自分の召喚モンスターの経験値をGで購入することができます。経験値1につき1Gとなります」
蓮の動揺など意にも介さず、男はニコニコとした顔で説明を続ける。
蓮はあまりの衝撃に言葉を失った。
(こんなのって……ありか……?)
「どうしました?」
「あっ……いや……別に……」
「そうですか。では、REN999様が現段階で育成可能な召喚モンスターはこちらになります」
決して強い口調ではない。
それなのに一向にペースを崩さない男。
十中八九、男が単なるNPCであることは蓮にも予想がついている。
だが、それでも明らかに目の前の男にペースを握られていた。
「現段階でREN999様がお取引可能な召喚モンスターは二体になります」
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【ロア】
【ゴブ太】
【やめる】
どちらを選択しますか?
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(きたーーーー……。やっぱりこういうパターンか……)
これまで散々、Gの必要性を説かれてきた蓮だけに、サロンが基本的に無料で利用できるということには違和感を覚えていた。
そして今、その予感が的中した。
一瞬、迷わず【やめる】を選択しようとする。
だが――蓮は思いとどまった。
「んー……」
自分は今、【召喚士】という職業を選んでいる。
今後どうなるかは分からないとしても、少なくともランクⅡの間は【召喚士】でい続けるだろう。
それならば、この経験値購入というものがどういう仕組みなのか、知っておくべきだとも思った。
(とりあえずゴブ太で試してみるかな……)
ロアのことは大切にしていきたい。
そんな気持ちもあって、あくまでお試しだと自分に言い聞かせながら、蓮は【ゴブ太】を選択した。
「ありがとうございます。ゴブ太での購入ですね」
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【ゴブ太】
種族:ゴブリン/召喚モンスター
ランク:Ⅰ
Lv:1
HP:10
SP:10
攻撃:6
防御:3
命中:4
抵抗:4
STR:6
VIT:1
AGI:5
INT:2
DEX:5
LUK:2
CHA:1
スキル:【叫ぶ】
必要経験値:0/10 ▲▽
必要G:0G
【決定】
【キャンセル】
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今までと変わらないステータス画面が表示されたかと思ったが、よく見ると下の方、経験値の辺りが先ほどとは若干違っていた。
(なるほど。▲▽が選択キーってことか)
【決定】と【キャンセル】がある以上、操作しただけでいきなりGが減ることはないだろう。
そう考えた蓮は、とりあえず▲を押し続けていく。
「えっ……なにこれ……」
試しに、必要Gを今の所持金とほぼ同額になる140,000Gまで上げてみた。
すると、ゴブ太のLv表示が14へと変化する。
だが――。
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【ゴブ太】
Lv:14
必要経験値:140,000/163,830 ▲▼
必要G:140,000G
【決定】
【キャンセル】
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「……これでLv14?」
ロアは現在Lv10。
獲得している経験値は5,110。
今持っているGをほぼ全部使ったとしても、ゴブ太とのレベル差はたったの4しかない。
「…………」
蓮は【決定】を押さなかった。
その代わり、別の疑問が湧いてくる。
(じゃあ……Lv20まで上げたら、いくらになるんだ?)
気になってしまった。
そして一度気になってしまえば、確かめずにはいられない。
蓮はさらに▲を押し続ける。
やがて――。
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【ゴブ太】
Lv:20
必要経験値:5,242,870/5,242,870 △▼
必要G:5,242,870G《必要Gが足りません》
【決定】
【キャンセル】
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「…………」
五百二十四万二千八百七十G。
一瞬、桁を見間違えたのかと思った。
だが、何度見直しても表示されている数字は変わらない。
ゴブ太一体をLv1からLv20まで育てるために必要な金額。
それだけで――5,242,870G。
「ランクⅡの進化モンスターを作るのに、確かランクⅠのモンスターが二体必要なんだよな……」
『はい。その通りでございます』
耳心地の良いニールの声。
だが、その返答を聞いた蓮は思わず唾を飲み込んだ。
(二体で……一千万G超え……)
しかも、それで終わりではない。
二体をそこまで育てて、ようやくランクⅡへの【進化】ができるのだ。
オリバは以前、ランクⅡでLv20まで上げるために必要な経験値は一千万を超えると言っていた。
その言葉の意味が、今になって別の形で蓮へとのしかかってくる。
自分自身のレベル上げ。
ロアの育成。
ゴブ太の育成。
そして、その先にある【進化】。
「こんなの……どうしろって言うんだよ……」




