第34話-職業選択の自由
「それでモルスさん、もう一つ聞きたいことがあるんですけど」
「あん?」
「職業についてなんですけど……」
結構恥ずかしい思いをしながら行った契約装備の解除。
だが、これは蓮にとって単なる前段階に過ぎない。
本題はここからである。
「あー……お前、まだ決めてないのか?」
「はい……」
モルスがチラリとロアを見て、頷く。
どうやら話の内容がおぼろげながらも理解できたのだろう。
「それで、どんな職業が出たんだ?」
「はい……開拓士、盾使い、育成士、召喚士です。正直、情報がなくて……」
蓮はギルドで言われたことを、ほぼそのままモルスに伝えた。
「へー……で、育成士と召喚士で悩んでるってわけか」
「えっ……そうなんですか?」
「お前、そうなんですか? じゃないだろ。その犬コロ見りゃ、誰だってそう思うだろうが」
(やっぱりこの人、四つとも職業のこと知ってるんだろうな)
「そうかもしれませんが、できればそのー……四つともについて知りたいなって思ってて……」
情報は大切。
以前、ポロンが言っていた言葉が蓮の脳裏を横切る。
「そうか……まー、別に俺が知ってる程度のことだったらいいけどな」
「お願いします」
聞くのに何かふっかけられると思っていた蓮は、予想外にモルスが優しく感じた。
「まず、開拓士な。コイツは説明省いていいだろ? 今のお前がそうだろ。イベント進める時には役立つが、戦闘なんかだと全然目立たねぇって奴だ」
「あー……はい。なんとなくそんな気はします」
「次に盾使いな。コイツはランクアップしたら、確かスキルがパリィかシールドバッシュのどちらか選択制になる」
「片方を選べってことですか?」
「そうだ。パリィっていうのは、一定確率で自動発動する回避スキルみたいな奴だな。SPの消費はなしだ。抵抗とかも上がるんだっけかな、確か……。で、シールドバッシュっていうのが、防御しながら防御力基準の攻撃ができるみたいな奴だった気がする」
「防御しながら、防御力基準の攻撃?」
「おう。使用すると防御状態になるのよ。んで、攻撃を食らうと、自分の防御力に応じた攻撃を相手に与えるんだよ。結構便利らしいぜ。ただ、こっちはそこそこの割合でSP消費があるからよ。結構値段張るけど、SP自動回復とかHP自動回復の装備で固める感じかな」
「なんか難しそうですね……」
「そうでもねぇらしいぞ。装備にGやらなんやらかけちまえば、時間はかかるかもしれねぇが、一人で無双できるらしくてな。討伐系メインの奴以外にも、対人好きな奴、盗賊とか、生産職の合間に取っておく奴とかいるらしいぞ」
「なんか物騒なのが聞こえた気がするんですが……」
(盗賊って……盗みありなのか?)
「んで、育成士と召喚士な。コイツらは両方、モンスターを従える準戦闘職とでも言えばいいのか? 本人自体はパッとしねぇけど、複数で戦えるから戦闘もやりやすい感じだな」
「へー……二つの違いって何ですか?」
「一番大きい違いは、モンスターの管理の仕方じゃねぇかな? 育成士はクランとか自分の拠点にモンスターを置いとく。置ける数はランクによって違う。んで、戦闘条件によってモンスターを連れてくって感じだな」
「自分の拠点に?」
蓮は今の拠点にモンスターを置いておくスペースがあるのかを考える。
「召喚士の方は召喚書っていうのがあって、そこにモンスターを登録して利用する感じだ。で、召喚する際にSPが関係あるんじゃなかったかな……」
「育成士は自由に連れていって、召喚士はスキルで呼び出すってことですか?」
「なんかそこら辺、曖昧なんだよな……。で、モンスターがやられちまった場合、育成士はGで復活させて、召喚士はSPで復活させる、みたいな感じだった気がする……」
「それなら召喚士の方が良いですよね」
「ここまでの話だとそうかもな。ただ、召喚士のモンスターは結構制限がつくことが多い」
「例えばどういうことですか?」
「まず、装備品とかだな。育成士の方は専用のアイテムボックスや装備品とか、Gを出せば自由にできる。まー、装備できるできないはあるけどな。召喚士の方は、なんかよく分かんねぇ方法でやるんじゃなかったかな……かなり厳しい条件があったはずだぞ」
「へー……。モルスさんのところにもモンスター用装備ってあるんですか?」
「あるぞ! そこの靴とか爪とかがそうだ。中には普通の装備ができる奴もいるけどな。んで、育成士の見せ場っていうのがレイド戦だ」
「レイド戦って……複数パーティとかで戦う奴ですか?」
「おう、そのレイド戦だ。召喚士は自分のSPの範囲内でやりくりするしかないけど、育成士の場合、範囲内ギリギリまで呼び出したり、やられてもノーリスクで次を呼び寄せたりできるらしい」
「へー……レイド戦ですか……」
育成士と召喚士。
どちらにも利点があり、どちらにも欠点がある。
少なくとも、何も知らずにどれかを選ばなくてよかった。
そう思いながら、蓮は隣にいるロアへと目を向けた。
「……ちなみに、ロアの場合はどうなるんですか?」




