第30話-持久戦
ターレスの前に立ちはだかったとはいえ、相手は普通のゴブリンである。
突然の増援に気を取られはしたものの、一度攻撃に移ってしまえば問題はない。
蓮が鞭を振るうと、再び十匹のゴブリンがまとめて倒れていく。
「よし……!」
これで再びターレスまで攻撃が届く。
そう思った直後、今度はロアが勢いよくターレスへと飛びかかった。
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ロアの攻撃!
ターレスにミス!
ダメージを与えられない!
ターレスはにやついている。
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「うわ~……なんだコイツ、ムカつく……」
まるでロアを馬鹿にしているかのような反応に、蓮が顔をしかめる。
すると――。
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ターレスは口笛を吹いた。
ゴブリン×10が現れた。
ゴブリン達がREN999達の前に立ちはだかった。
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(おいおい……なんだよこれ。またかよ……)
蓮はターレスへと攻撃を合わせようとする。
だが、先ほどと同じ。
前方にゴブリンがいるせいで、ターレスを攻撃対象に選ぶことができない。
「はぁ……」
仕方なく、再びゴブリンへと鞭を振るう。
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REN999の攻撃!
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先ほどと同様、十匹のゴブリンが一掃される。
これで、またターレスを狙える。
しかし――。
そこから先も、同じような戦闘が何度となく繰り返された。
ターレスが口笛を吹く。
ゴブリンが十匹現れる。
蓮がゴブリンを一掃する。
前衛がいなくなったところで、ようやくターレスへ攻撃できる。
そして、再び口笛――。
「…………」
ダメージは受けている。
決して楽な戦闘ではない。
それなのに、不思議と苦戦しているという感覚も薄かった。
目の前のゴブリン十匹は、蓮にとってすでに敵ではない。
一度鞭を振るえば、それだけで全滅する。
だが――。
(このままじゃ、キリがないな……)
倒しても、倒しても。
ターレスへ満足に攻撃できない。
そんな状況に、蓮も明らかに苛立ち始めていた。
そして、時折ロアの攻撃がターレスに当たると――。
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ロアの攻撃!
ターレスに1のダメージ!
ターレスはロアを睨みつけた。
ロアは怯えている。
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「またかよ……」
ターレスはロアを睨みつけると、そのまま弓を構える。
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ターレスの【二本撃ち】!
ターレスはロアを狙った!
【守りの盾――かばう】
REN999に34のダメージ!
REN999に33のダメージ!
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「ぐっ……!」
当然、その攻撃は【かばう】によって蓮が引き受けることになる。
HPに余裕があれば、そのままターレスを攻撃する。
余裕がなければ、ポーション(中)で回復する。
そして、またゴブリンが現れる。
倒す。
ターレスを攻撃する。
ロアが攻撃する。
ターレスが反撃する。
回復する。
またゴブリンが現れる。
「…………」
一向に終わりが見えない。
(これ……マジでいつまで続くんだ?)
蓮が攻撃を続ければ、少しずつではあるがターレスのHPを削ることはできる。
だが、蓮が持っている回復アイテムにも限りがある。
特に頼りになるポーション(中)は、ポロンからもらった十本しかない。
そんな無駄とも思えるような攻防が、何度となく繰り返された。
そして――。
(……あと三本)
ポーション(中)の残りが三本になった時。
それまで延々と続いていた膠着状態が、唐突に崩れた。
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ターレスは口笛を吹いた。
SPが足りない。
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「…………えっ?」
一瞬、蓮の動きが止まる。
(えっ……マジで?)
ゴブリンが――現れない。
それまで何度倒しても蓮の前へ現れていた十匹のゴブリンが、今回は一匹も現れなかった。
ターレスの前には、何もいない。
「お、おお……!」
蓮はすかさずターレスへと攻撃を仕掛ける。
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REN999の攻撃!
ターレスに21のダメージ!
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攻撃が通る。
そして今度は、ターレスが弓を構えた。
(来るか……!)
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ターレスは【二本撃ち】を発動しようとした。
SPが足りない。
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「…………」
蓮はしばらく無言でターレスを見つめた。
(何だコイツ……頭悪いな)
さっきまでの苛立ちが嘘のように消えていく。
口笛も使えない。
二本撃ちも使えない。
SPを使い果たしたターレスから、あれほど厄介だった攻撃手段が一気に失われていた。
「よし……これならいける!」
もちろん、通常攻撃まで弱くなったわけではない。
一発一発のダメージは相変わらず大きい。
それでも、ゴブリンに攻撃を邪魔されることなく、ターレスだけを狙い続けられる。
そうなれば、先ほどまでとは話が違った。
蓮は攻撃する。
ターレスも弓を放つ。
HPが減れば、ポーションを使う。
そして、また攻撃する。
互いのHPを削り合うような戦いが続いていった。
ポーション(中)が残り二本。
一本。
そして――ゼロ。
それでも戦闘は終わらない。
「まだかよ……!」
今度は通常のポーションを使いながら、蓮はターレスへの攻撃を続ける。
一本。
また一本。
確実に回復アイテムが減っていく。
それでも、ターレスのHPもまた確実に削れていた。
そして――。
ポーション(中)は全て使い切った。
通常のポーションも、残り五本。
そんなところまで追い込まれた時。
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REN999の攻撃!
ターレスに20のダメージ!
ターレスを倒した!
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「…………」
蓮はしばらく、その場に立ち尽くしていた。
そして、倒れたターレスを確認してから、大きく息を吐く。
「ふぅぅぅ……やっと倒した……」
長かった。
本当に長かった。
だが――。
蓮はついに、ターレスとの長い戦いに勝利した。
2026年9月4日 11~12時更新で、
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