第28話-初遭遇
思いがけず始まったゴブリンとの戦闘を終えた蓮は、いつまでもグズグズしてはいられないと思い直し、再び奥へと続く通路を進んでいく。
少し進んだところで、右と左に分かれた分岐を発見した。
「うーん……どっちだ?」
チラリとロアの方を見る。
するとロアは、尻尾を振りながらニコニコとした表情でこちらを見ていた。
「…………」
ここで話しかけて、また無駄な戦闘を繰り返したくはない。
蓮は若干困った表情を浮かべながらも、まずは左側のルートへ足を運ぶことにした。
そのまま通路を抜けると、少し開けた小部屋のような場所へと出る。
そして、その中央には二つの木箱が置かれていた。
「宝箱だ!」
思わず大きな声を出した蓮は、すぐにハッとして周囲を見渡す。
「……大丈夫そうだな」
先ほどのこともあり警戒したものの、ゴブリンが現れる気配はない。
戦闘の心配はなさそうだと判断した蓮は、すぐさま木箱へ近づき、まずは右側の宝箱を開けた。
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【中衛スキルの元】を発見しました。
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(えっ……【中衛スキルの元】?)
一瞬、何なのか分からなかった蓮だったが、すぐに先ほどのゴブリンウォーリアーとの戦いが脳裏に浮かんだ。
「あー……こういうことだったのか……」
おそらく、これを使用すれば隊列の中衛位置からでも攻撃できるようになるのだろう。
そう見当をつけた蓮は、若干興味を引かれたものの、今の自分が使うメリットはあまりないと考え、ひとまずアイテムとして持っておくことにした。
続いて、反対側の宝箱を開ける。
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【100G】を発見しました。
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「へー……なるほど。こういうのは10%引かれないんだね……」
宝箱から手に入れた100Gは、そのまま蓮の所持金へと加算されている。
どうやら宝箱から入手したGについては、モルスとの契約対象外らしい。
そのことを実感した蓮は、思わず感心したように頷いた。
「まあ、100Gだけど……もらえるものはもらっておこう」
二つの宝箱を開け終え、部屋の中を軽く見回す。
他には何もなさそうだ。
「よし、戻るか」
蓮は早々に先ほどの分岐へ戻ることにした。
そのまま少し急ぎ足で小部屋の入口近くまで来た、その時――。
「うわっ!」
何かにぶつかった。
(痛っ……なんだ?)
何にぶつかったのか認識する間もなく、蓮の視界が戦闘画面へと切り替わる。
そしてそこで初めて、自分が何と鉢合わせしたのかを知ることになった。
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ゴブリン×3が現れた。
ゴブリンメイジ Lv.10×2が現れた。
REN999達は戦闘の準備が出来ていない。
ゴブリンメイジ Lv.10Aの攻撃!
ゴブリンメイジ Lv.10Aは【ウインドブリーズ】を放った!
REN999に9のダメージ!
【守りの盾――かばう】
REN999に8のダメージ!
ゴブリンメイジ Lv.10Bの攻撃!
ゴブリンメイジ Lv.10Bは【ウインドブリーズ】を放った!
REN999に8のダメージ!
【守りの盾――かばう】
REN999に8のダメージ!
ゴブリンCの攻撃!
REN999に1のダメージ!
ゴブリンAの攻撃!
REN999に1のダメージ!
ゴブリンBの攻撃!
ゴブリンBはロアを狙った!
【守りの盾――かばう】
REN999に1のダメージ!
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「おいおい、これはいくらなんでもいきなり過ぎんだろ……」
出会い頭にゴブリンたちの総攻撃を受けてしまった蓮。
宝箱を見つけた時のテンションなど、一瞬にして吹き飛んでしまった。
しかも、今回はゴブリンメイジLv.10という初めて見るモンスターまで二体いる。
ボロボロながらも灰色のローブをまとい、その手には短い木の杖を携えている。
「いかにも魔法使いって感じだけど……」
などと感想を抱いている余裕はない。
何しろ、戦闘開始直後にいきなり合計36ものダメージを受けてしまったのだ。
ただ、今回はそれが幸いしたのか。
それとも、先ほどの戦闘で隊列についてある程度考えがまとまっていたからなのか。
蓮は迷うことなく、まずは目の前にいるゴブリン三体へ攻撃を合わせた。
何度も倒してきた普通のゴブリンである。
今の蓮にとって、もはや苦戦するような相手ではない。
鞭による攻撃で一気に三体を片づける。
(まずはこれでよし!)
残るのは、二体のゴブリンメイジLv.10。
蓮は初めて味わった魔法攻撃を思い返し、露骨に嫌そうな表情を浮かべた。
(って言っても……これ、魔法ってヤツだよな? ホント……やめてくれよ……)
だが、この時の蓮はまだ気づいていなかった。
ゴブリンメイジが一度【ウインドブリーズ】を放つたびに、なぜ自分が二度もダメージを受けることになったのか。
その原因が――ロアを前衛へと移したことにあるという事実に。




