第25話-ゴブリンウォーリアー
ゴブリンLv.10との戦闘を終え、自身のHPを回復させた蓮は、念のため周囲の状況を確認してからゴブリンの巣穴をくぐっていった。
巣の中へ入った瞬間、画面が切り替わる。
「暗いな……」
そう感じはしたものの、不思議と周囲の様子は確認できる。
壁や天井を見回してみても、たいまつなどの光源らしきものは見当たらない。
(なんで見えるんだ?)
若干の疑問を覚えた蓮だったが、
(まあ……ゲームだからかな)
深く考えることをやめ、そのまま先へと進んでいく。
巣穴の中は一本道になっており、今のところ分かれ道などはない。
しばらく進んでいくと、その先に少し開けた場所が見えてきた。
「ん?」
蓮は足を止め、通路の陰から広場の様子を確認する。
そこには、ゴブリンらしき三つの影があった。
(今度はちゃんと周りも見ておかないとな……)
先ほどのような凡ミスは、もう繰り返したくない。
蓮は一度後方を振り返り、周囲に別のゴブリンがいないことを確認してから、再び広場へと視線を戻した。
少し距離があるため、三つの影が何なのかまではハッキリとは分からない。
しかし、そのうち二つは時折すれ違う影と比べても明らかに大きい。
(あの二匹は、さっきのゴブリンLv.10と同じかな?)
蓮はそのまま少しの間、広場の様子を観察する。
やがて、広場を行き来していた他の影が見えなくなった。
(今ならいける)
いつまた後ろから奇襲されるか分からない。
そう考えた蓮は気持ちを切り替え、ロアとともに三つの影へ向かって近づいていく。
数歩ほど進んだところで、向こうもこちらの存在に気づいたのだろう。
三つの影のうち、二つが蓮たちへ向かって動き出した。
そして――。
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ゴブリン Lv.10×2が現れた。
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(よし、予想通り。まずはこいつらからだな)
先ほども倒した相手だ。
時間はかかるが、冷静に対処すれば問題ない。
そう判断した蓮は、すぐに鞭を振るった。
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REN999の攻撃!
ゴブリン Lv.10Aに24のダメージ!
ゴブリン Lv.10Bに22のダメージ!
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やはり一度の攻撃では倒れてくれない。
だが、それも織り込み済みだ。
(大丈夫。時間はかかるけど、丁寧にやれば問題ない)
先ほどの戦闘を思い出しながら、蓮は冷静に対処していく。
そのはずだった。
直後、予想していなかった表示が蓮の目の前に現れる。
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ゴブリンウォーリアー Lv.10が戦闘に加わった。
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(えっ……ゴブリンウォーリアー? なにそれ……)
蓮は慌てて新たに加わった敵へと視線を向ける。
(って、こいつ……斧持ってないか?)
通常のゴブリンが持っているのは、棍棒のような粗末な太い木だ。
しかし、後から戦闘に加わったゴブリンウォーリアーは明らかに違う。
手にしているのは、全長が自身の半分ほどもある大きな斧だった。
「なんかヤバそうなの出てきたな……」
一瞬、蓮の中に緊張が走る。
しかし、その間にも二匹のゴブリンLv.10から攻撃を受けた。
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ゴブリン Lv.10の攻撃!
REN999に1のダメージ!
ゴブリン Lv.10の攻撃!
REN999に1のダメージ!
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表示されたダメージは、やはり1。
(……まあ、大丈夫か)
斧を持っているとはいえ、相手はゴブリンだ。
それに、もたもたしている間にも攻撃は受け続ける。
まずは目の前にいる二匹を倒してしまおう。
そう考えた蓮は、再び二匹のゴブリンLv.10へ鞭を振るった。
だが、その直後――。
自分の判断を後悔させる出来事が起こった。
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ゴブリンウォーリアー Lv.10の攻撃!
REN999に10のダメージ!
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「えっ……嘘だろ!? ダメージ1じゃないのかよ……」
今までゴブリンから受けるダメージなど、大して気にも留めていなかった。
だが、今回はそうもいかない。
1ダメージであれば、どの敵から倒すかなど大した問題ではない。
しかし、10ダメージとなれば話は別だ。
当然、ダメージの大きい敵を放置すれば、その分だけ蓮のHPも削られていく。
(だったら、こいつを先に倒す!)
蓮はすぐに攻撃対象をゴブリンウォーリアーへ変更しようとする。
しかし――。
「あれ?」
選べない。
何度操作しても、攻撃対象として選択できるのは二匹のゴブリンLv.10だけだった。
(あれ……できない? なんで? なんで?)
もう一度試す。
それでも結果は変わらない。
「あー……もう……」
蓮の焦りをよそに、ゴブリンウォーリアーは再び大きな斧を構えていた。




