第24話-Lv.10
「ん~~……まいったなぁ~……」
【ゴブリンの巣の殲滅】を受注した蓮は、拠点で準備を整えた後、ゴブリンのいるフィールドへと足を運んでいた。
目的地はもちろん、ゴブリンの巣だ。
途中で何度かゴブリンとの戦闘になったものの、今の蓮とロアにとっては特に問題になるような相手ではなかった。
道順についても【開拓士の目】を使用したことで迷うことはなく、無事にゴブリンの巣までたどり着くことができた。
では、なぜ蓮がこんな場所で立ち止まっているのか。
その理由は――巣の入口を見張る二匹のゴブリンにあった。
おそらく、巣の番人のような役割なのだろう。
問題なのは、その二匹がいつものゴブリンではないということだ。
巣を発見したときから、蓮にはそのシルエットが明らかに普段のゴブリンより大きく見えていた。
そこで蓮が【開拓士の目】を使い、二匹にカーソルを合わせてみると――。
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ゴブリン Lv.10
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どちらにも、そう表示された。
「レベル10……」
蓮は思わず呟く。
どうせならステータスの詳細まで知りたいところだったが、残念ながらそこまでは表示されない。
【開拓士の目】のRankが低いからなのか、それとも元々そういうスキルなのか。
蓮には分からなかった。
とにかく、中途半端に相手の情報を知ってしまったことで、逆に動きづらくなってしまったのだ。
(俺と同じレベル10が二匹か……)
今まで戦ってきたゴブリンとは、明らかに違う。
だからといって、ここまで来て引き返すつもりもない。
蓮は巣から少し離れた位置で、どう攻めるべきか考えていた。
(もしかして、ポロンさんが回復薬を多めにくれた理由って、こういうことだったのかな……)
そんなふうに考えが逸れた、そのときだった。
「ギャギャッ!」
「え?」
突然、背後から大きな鳴き声が聞こえてきた。
慌てて振り返る。
そこには――いつものゴブリンが三匹。
「うそだろ!?」
次の瞬間、視界が戦闘画面へと切り替わった。
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ゴブリン×3が現れた。
REN999達は不意をつかれた。
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「こんなときに!」
しかも、まずいことはそれだけではなかった。
「ギャアアッ!」
巣の入口から、さらに二つの声が響く。
「……え?」
蓮が恐る恐る視線を戻すと、先ほどまで入口を見張っていた二匹が、こちらへ向かって走ってきていた。
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ゴブリン Lv.10×2が戦闘に加わった。
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「マジかよ!?」
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ゴブリンAの攻撃!
REN999に1のダメージ!
ゴブリンBの攻撃!
REN999に1のダメージ!
ゴブリンCの攻撃!
REN999に1のダメージ!
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(よし! こいつらは問題ない!)
不意をつかれたとはいえ、いつものゴブリンはいつものゴブリンでしかない。
表示されたダメージを見て、蓮はすぐに冷静さを取り戻した。
「まずはこいつらから!」
蓮は三匹のゴブリンへ向けて鞭を振るう。
今の蓮にとって、通常のゴブリンはもはや敵ではない。
三匹を問題なく倒し、残る二匹――ゴブリンLv.10との戦闘に集中する。
そして、先に動いたのはゴブリンだった。
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ゴブリン Lv.10Aの攻撃!
REN999に1のダメージ!
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「……あれ?」
蓮は思わず間の抜けた声を漏らした。
(レベル10でも1?)
戦う前はあれほど警戒していたというのに、いざ攻撃を受けてみれば、いつものゴブリンと変わらない。
もちろん、それが【守りの盾】のおかげだということは蓮にも分かっている。
(レベル10って言っても、守りの盾があれば大丈夫そうだな)
緊張が少しだけ解ける。
「じゃあ、今度はこちらからだな」
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REN999の攻撃!
ゴブリン Lv.10Aに24のダメージ!
ゴブリン Lv.10Bに22のダメージ!
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「よし――って、あれ?」
ゴブリンは倒れない。
それどころか、まだ十分に戦えると言わんばかりにこちらを睨みつけている。
(硬っ……。嘘だろ……)
今までのゴブリンなら、鞭の一撃を受ければそれで終わりだった。
しかし、目の前にいるゴブリンは違う。
同じゴブリンとは思えないほど、明らかにHPが高い。
「なるほど……レベル10って、そういうことか」
とはいえ、こちらは何度攻撃を受けても蓮へのダメージは1のまま。
ロアへ向けられた攻撃も【かばう】によって蓮が受け止め、そのまま戦闘を続けていく。
そして、さらに四度ほど攻撃を加えたところで――。
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ゴブリン Lv.10×2を倒した。
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「ふーっ……」
戦闘が終わり、蓮は大きく息を吐いた。
「強いかどうかは分からなかったけど……しぶといヤツではあったなぁ~……」
結局、【守りの盾】のおかげで受けたダメージはほとんどない。
それでも、今まで戦ってきたゴブリンとは明らかに違っていた。
これがレベルによる差なのだろう。
「入口でこれか……」
蓮は改めてゴブリンの巣へと視線を向ける。
ここから先に何が待っているのかは分からない。
だからこそ、油断するつもりもなかった。
本格的に巣の中へ入る前に、蓮は念のためポーションを一つ取り出す。
そして減っていたHPを回復させると、隣にいるロアへと視線を向けた。
「よし……行くぞ、ロア」
「ワン!」
蓮とロアは、ついにゴブリンの巣へと足を踏み入れた。




