第22話-かばう
「よし。これならいけそうだな」
レベル2になったロアのステータス画面を閉じ、蓮は再び歩き始めた。
たった一度レベルが上がっただけ。
ロアの成長は確かに弱い。
それでも、モルスから聞いた鞭の情報は確かなものだった。
最初はすべて1だった能力が2になったのを見ると、ちゃんと育っているのだという実感が湧いてくる。
「この調子でどんどん上げていくか」
(そのうち、一発くらいなら耐えられるようになるかもしれないしな)
「ワン!」
蓮の言葉に応えるように、ロアが元気よく鳴いた。
もっとも――。
先ほどの戦闘では、守りの盾の性能をほとんど確認できていない。
三体のゴブリンが現れたものの、鞭の一撃ですべて倒してしまったからだ。
(【かばう】もまだ試せてないんだよな……)
ロアを守るために手に入れた【守りの盾】。
装備しているだけで効果を発揮すると聞いてはいるものの、実際にロアへ攻撃が向かわなければ確認のしようがない。
「まあ、そのうち分かるか」
そう考えながらフィールドの奥へ進んでいく。
そして、数分後。
再び周囲の音楽が変化した。
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【ゴブリンが五体現れた】
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「……増えたな」
(多いな……)
蓮はロアをちらりと見る。
ロアも一応は身構えているのか、どことなく緊張しているように見えなくもない。
役に立つかどうかは置いておいて、とりあえず元気だけはもらえた気がする。
蓮は気を取り直し、正面に並ぶゴブリンたちへ向き直った。
「よし……いくぞ!」
ゴブリンたちより先にゲージが溜まり、蓮は【戦う】を選択する。
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【REN999の攻撃】
【ゴブリンAに13のダメージ】
【ゴブリンAを倒した】
【ゴブリンBに11のダメージ】
【ゴブリンBを倒した】
【ゴブリンCに9のダメージ】
【ゴブリンCを倒した】
【ゴブリンDに7のダメージ】
【ゴブリンEに5のダメージ】
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三体がその場に倒れる。
一瞬安心した蓮だったが、すぐにその表情が崩れた。
「おいおい……初戦は7で倒せてただろ」
7のダメージを受けたゴブリンDが、まだ立っている。
(ちっ……乱数ってやつかよ。これだからゲームは……)
そんなことを考えている間にも、残ったゴブリンたちのゲージはみるみる溜まっていく。
そして――。
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【ゴブリンDの攻撃】
【ゴブリンDはロアを狙った】
【守りの盾――かばう】
【REN999がロアへの攻撃を引き受けた】
【REN999に1のダメージ】
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「おおっ!」
次の瞬間、蓮の身体が意思とは関係なくロアの前へと動いた。
(これが【かばう】か!)
そして、表示されたダメージは――1。
(しかも1!? 全然痛くない!)
先ほどまでの焦りが、一瞬にしてどこかへ消えていく。
これならロアが狙われても問題ない。
冷静さを取り戻した蓮は、残った二体のゴブリンも順番に倒していった。
効果を実際に確認するまでは、モルスのことをどこか胡散臭いプレイヤーだと思っていた。
だが、この戦闘でその評価も少し変わった。
(ちゃんと使える装備だったんだな……)
そして、蓮を喜ばせたものがもう一つ。
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【REN999たちは、それぞれ28の経験値を獲得した】
【REN999のレベルが3に上がった】
【ロアのレベルが3に上がった】
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「おっ! また上がった!」
「ワン!」
蓮の声に合わせるように、ロアも嬉しそうに鳴く。
鞭で複数の敵を攻撃できる。
倒しきれなかったとしても、【守りの盾】がロアへの攻撃を引き受けてくれる。
そして敵の数が増えれば、それだけ一度の戦闘で得られる経験値も増える。
(これなら……いける)
ここに来てようやく、蓮の中でロアを育てる方法が形になり始めていた。
(そういえば、明日から土日で休みなんだよな……)
モルスの話では、数日もあれば職業ランクⅠの最大レベル――レベル10までは上げられるらしい。
蓮は足元のロアへ目を向ける。
「…………。」
「ワン?」
(よし。せっかく休みなんだし……いっちょう頑張ってみるか)
こうして蓮は、土日の二日間を使ってロアと共にレベル10を目指すことにした。




