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その聖女に近づいてはなりません  作者: 白雲八鈴


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7/12

第7話 それは意味がないことです

 

「はぁ、こんな楽しい祭りの日に何なのでしょうね」


 私は一撃で動かなくなった巨大なヘビを見ました。岸に頭部と胴体の一部があり残りは川の中に漂っています。


 はい、ラフェシエンの剣の一撃で、倒されたのです。

 あのこれ増援は必要ないという話ですよね? 何のために教会に戻ろうと言われたのでしょうか?


 その巨大なヘビに手をかざします。


「『イルヴェール』」


 このままあっても、邪魔なだけなので、浄化して消滅させます。

 本当であれば、原因究明をすべきということなのでしょうが、王都の中心で魔物が出現したなど、なかったことにすべき案件です。


 ですが、ここ数年このようなことが年に何度か王都内で起きているのも事実。


「はぁ、身を隠すのがお上手なので、やはり足取りはたどれませんか」


 私は巨大なヘビが消えたあとにある黒いモヤが出ている空間を見ます。

 一度開いて閉じた空間の歪みをです。


「主よ。浄化の光を『シャルアマーベル』」


 この空間の歪みを作り出した者がいるはずなのです。ですが、その足取りは全く以てわからないのです。ここは浄化したので、もう当分の間が歪などでないでしょうが。


「フィエーラ様。やはり、この一体だけですね」


 他の魔物がいないのか辺りを見回っていたラフェシエンが戻ってきました。

 恐らく、王都を混乱に陥れるのは巨大なヘビ一体で十分だと考えたのでしょう。


「ヒュドラを一体と言っていいのかわかりませんが」


 ええ、頭部が四つある巨大なヘビです。

 その昔、いち都市を一夜にして滅ぼしたという伝説があるのです。

 なので、この巨大なヘビだけで十分王都を混乱に陥れることができるのです。


 それを一撃で仕留めるラフェシエンが異常なのか、たまたま歪から出てきたばかりでヒュドラの体勢が整っていなかったのかはわかりませんが、なにも被害がなくことがすみました。


 私はよかったと思いつつ空を見上げます。

 もう、日が暮れてしまいました。

 赤く染まった空にため息がこぼれ出ます。


「はぁ、もう少し楽しみたかったですが、戻りましょう」


 日が沈めば、淡く光を放つ怪しい物体に私がなってしまいますので、時間切れです。


「フィエーラ様。もし、触れることを許していただけるのであれば、全てのしがらみから解放することができますよ」


 ラフェシエンがとんでもないことを口にしました。

 それは神の加護を失うということです。


「ラフェシエン様。それは意味がないことです」


 私も、そしてラフェシエンもです。


「そうですね。では、夜になる前に戻りましょう。フィエーラ様」


 こうして、私の祭りの散策が終わってしまったのでした。

 邪魔が入らなければ、もっと楽しめましたのに。


 でも、何事もなくてよかったと、目を細めて赤く染まる空を見上げたのでした。



 一月後。


「神聖女フィエーラ様。ご報告がございます」


 聖女の日課を繰り返す私に、報告があると部屋を訪ねて来たものを見ます。


 青色の騎士の隊服を身に着けた女性騎士です。

 この者は神聖女である私の護衛騎士なのですがどうされたのでしょう?

 因みに、大司教に護衛は絶対に女性がいいとわがままを言って、数が少ない女性騎士をあてがってもらったのです。


「なにかしら?」

「はっ! この度結婚することになり、退役することになりました!」

「……そう、それはおめでたいわね」


 やはり、結婚の報告でしたか。

 この前の祭りのあと、ウキウキと恋人の話をしていると思っていましたら、いつかはと思っていましたが、早かったですね。


「いつ、お辞めになるのですか?」

「本日付でございます」


 急ですね。もう少し事前に報告してくれるとかできなかったのでしょうか?

 まぁ、されたからと言って、私には何もできませんが。


「そう、後任は決まっているのかしら?」

「申し訳ございません。何分急でしたので、決まっていないようです」


 あ、予定にはなかったということですか。


「なにかあったのかしら?」

「はい、実は結婚相手のご両親が暮らす町が魔物に襲われ、すぐにでも結婚をという話になったのです」


 ……町が魔物に襲われたのですか?

 大抵の町には強固な防壁が築かれているので、そこまでの犠牲は発生しないはずです。


 しかしそれでも町に被害が出たとなると、普通の魔物ではなかったということでしょうか?


 町の防衛は、担当の騎士団にまかされていますので、聖女である私にはわからないことです。


「そう、これから大変だと思うけど頑張ってね」


 私はそう言葉をかけることしかできません。

 家を守るために結婚をする。そのような話はよく耳にしますから。

 女性騎士は深々と頭を下げて私の部屋を出ていきました。


 次の護衛騎士も話しやすい人がいいのですけど。


 ん? そう言えば、三日後に南方の辺境の浄化石を浄化する任務があてがわれていたはずです。


 同行する聖女五人のうちの一人に……これだと私の護衛騎士は仮という感じでしょうか。

 はぁ、聖騎士は堅苦しいから嫌ですわ。

 他の騎士団の女性騎士がいいと念押しの直談判をしにいきましょう。


 私は大司教に直談判をするために部屋をでたのでした。



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