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Case:2 婚約破棄も何もそもそも・・・

主要人物

・セレス・セヴィニエ=クラファード

公爵令嬢。銀髪薄青眼。


・アレクト・ファルデウス=クロノス

クロノス王国の第一王子。金髪碧眼。


・ルルイエ

一般学部所属の平民。ピンクブラウンの髪に茶色の眼。

学園島というものがこの世界にはある。

文字通り、島一つ丸ごと学園になっており、身分関係なく通え、幼等部から大学院まであり、商業学部が運営する商業施設もあり都市としても機能している。

・芸術学部

・商業学部

・工業学部

・魔術学部

・一般学部

・特別学部

・中央棟

と言った具合に大体別れている。

島には特別な転移装置からか特別なスクロール(招待状)の2パターンでしか入ることが出来ないし、結界が張られているため場所も何処にあるのか誰も知らない。

また、卒業または修了すれば身分証を発行してもらえる為、平民も多くが入学している。貴族においても、貴族用の特別学部に入り、卒業する事が継承権やその後について関わってきたりするので、必死に卒業を狙っている。

独自の通貨、規定(ルール)(校則)、運営を行っており、他国から完全に独立した機関となっている。

ちなみに何歳からでも入学OKな為、一般人が大人になってから身分証や商業などを学ぶ為に入学申請することもよくあるのである。


これはそんな学園島の卒業パーティーで起きた一幕である。



では行ってみよう!



‡ ‡ ‡


「セレス・セヴィニエ=クラファード! 貴様との婚約をこの場で破棄する!」


卒業パーティーで上記のようなことを叫ぶのは、クロノス王国の第一王子━━アレクト・ファルデウス=クロノスだった。


「貴様は公爵令嬢という身分でありながら、ルルイエを陰湿に虐めていたらしいな! そんな奴は次期王妃に相応しくない。よって婚約を破棄し、貴様を我が国から追放してやる!」


ドヤ顔で述べる。


「殿下、わたくしは身に覚えがございません」


冷静に応えるセレスは、こてんとの首を傾げた。


「ルルイエが泣いて訴えてきたのだぞ! なんとも思わないのか?! 嫉妬も過ぎれば醜いものだ」

「なんとも思わないも何も、其方の方━━ルルイエ様?とは今が初対面でございますれば、虐めも何もしようがございません。なにより、わたくしと殿下は婚約しておりませんし嫉妬する理由もごさいません」


扇で口元を隠しつつ、いかにも不本意だと訴える目を向ける。


「そもそも第一王子殿下はなぜここに居られるのでしょう?」


続けた言葉はアレクトの意表を突いた様だった。

分かり易く目を見開き、「何を言ってるんだ?」と言わんばかりの表情を浮かべている。


「殿下は()()していらっしゃらないでしょう? で、あればこの場にいらっしゃるのは何故でしょうか?」


その場の全員が「え?」と、驚いた。

一国の王族が卒業していないのに、卒業パーティーに紛れ込んでいるという事実。そして何より()()出来ていないという事実。


「何を言ってるんだ、貴様は? オレは今日、確かに卒業したのだからこの場に居ても問題ない。それに婚約していないはずが無いだろう? 10年前に顔合わせした時に不本意ながら、婚約を結んだのだから・・・」

「いいえ、殿下は()()ではなく()()したのです。それも帝王学科ではなく、普通科を。故に、クロノス王国の規定に基づき、王位継承権の停止されております。また、わたくしはクロノス王国の次期王妃にと選ばれ、帝王学科を本日卒業しましたので、他の王位継承者との婚約を調整中にございます」


卒業ではなく修了。ここ学園島では、コレに大きな違いがある。

卒業は全課程を学び終えた事を指し、修了はある程度の知識を有すると認められた事を指す。つまり修了とは、一応範囲内は学べたね!くらいのものである。成績の下位の人達の救済処置である(ただし赤点を幾つか取っている場合を除く)。


「修了式は既に終わっておりますので、速やかに帰国するようお達しがあったのでは?」


修了式の後で改めて卒業パーティーが行われる。卒業パーティーは卒業者でないと参加出来ない。

修了者は修了式後に荷物をまとめ次第、帰国する様にお達しが出ていた。

それを無視して卒業パーティーに乗り込んだアレクトとルルイエ。


「更に申し上げるならば、そこのルルイエ様は平民と先程仰っていましたが、どこで接点を持ったのでしょうか? 特別学部は貴族用の学部と記憶しております」

「一般学部でも貴族はいるし、使用人科に彼女は属していた。だから実践授業で会うこともあるだろうが!」

「なるほど、確かに一般科の授業では会う事もあったのですね。しかし、わたくしは帝王学科に属していたので、身元の確かな下級貴族などとしか関わっていませんの。後は商業、芸術、魔術学部等の専門学部の方達であれば、平民であれ関わっていたかと思いますが・・・違いますのね」


セレスは扇に向かって嘆息した。

学園島では商業施設を運営するのも授業の一貫と捉え、商業学部の生徒は実際に店を手伝ったり開いたりしている。

芸術学部は将来支援するかもしれない才能ある者の発掘の為、魔術学部は貴族平民関係なく在籍している。

一般学部の使用人科は下級使用人と上級使用人で更に科が別れており、上級貴族の対応は上級使用人科(主に下級貴族)しか任されない。平民は下級使用人科の方に入る為、セレスのような上級貴族の周りには配置されないのだ。

アレクトは王子にも関わらず、何故か(成績的に)特別学部への入学が出来なかったため、平民や下級貴族が入る一般学部に入学した。その時点で継承権は停止されていたのだが、それでも卒業出来ていれば、王子としての立場は守れただろう(たぶん)。


「そもそも殿下ともお会いする事の叶わぬ距離なれば、殿下と其方のルルイエ様が親しくしていようと知りようがございません」


コレは嘘。

自分付きの侍女(上級使用人科)に聞けば知り得た事。でも、知る必要がなかった。婚約者でもないので。


しんと静まり返った会場に拡声器(マイク)を持った男性の声が響いた。特別学部の主任教師である。


「残念ですが、アレクト殿下とルルイエ様は卒業パーティーに乱入し、場を騒がせた事により修了取り消しの上、退学扱いになります」


そう宣言すると、彼らの持っていた、修了証明証か光となって消えた。

更に強制退場された。行先はおそらくクロノス王国の王宮。国王陛下の元だろう。


「皆さん、この度は卒業パーティーに乱入者を許してしまい申し訳ない」


教師が頭を下げる。


「これが学園島での最後のパーティーになる。ハプニングはあったが、これから楽しんで欲しい。物理的に会えなくなる者や立場的に接することができなくなる者も居るだろう。だからこの最後の学生の時を少しでも楽しんでくれると我々は嬉しく思う」


そう言い終えると、楽団が音楽を奏で始め、パーティーは元通りに再開する。

誰も婚約破棄などという茶番劇など忘れたように、ある者は惜しむように、またある者は未来に希望を膨らませ、それぞれが思い思いに友人達や好敵手、主従など関係を持った人々と会話を交わす。



‡ ‡ ‡


セレスはこの後、第二王子と婚約を交わした。

第二王子は第一王子と誕生日が数ヶ月しか変わらないので、一緒に卒業していた。王弟殿下(8歳年上)と第二王子殿下でどちらが婚約者になるのか水面下での争いはあった様だが、それは別のお話。制したのは第二王子だっただけの事。

だが、彼女達は仲が良く子宝にも恵まれて、大変ながら幸せな人生を送ったとだけ記載しておこうと思う。

読んでいただきありがとうございます。


学園都市とか流行っていた時がありましたね。とか思いながら、書いてみました。

相変わらず文章力がないですが、暇つぶし程度になっていれば幸いです。ありがとうございました。

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