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モス

学校に戻った僕たちは、保健室から基底世界に転移した。

ケット・Dと合流した後、僕たちは今回も校庭にワームホールを見つけた。


ワームホールから現れたバグは2匹。


巨大な蛾のバグだった。


鱗粉に覆われた四枚の翅。

それぞれの翅には、ぎょろりとした目玉の模様。

高速で飛び回るのは蠅のバグと一緒だけど、蛾のバグは飛び回るだけじゃなくて、翅を羽ばたかせて上空から鱗粉を撒き散らしてくるらしい。


「鱗粉が来るぞ! 2人とも気をつけろ!」


ケット・Dが直前に教えてくれたけれど、時すでに遅し。

僕たちはまともに鱗粉を食らっていた。


気持ちが悪い。

吐き気がする。


おかしいと思って僕は自分のステータスを確認してみた。


  ――――――――――――――――

  名前          時枝彩輝

  ――――――――――――――――

  LV             2

  属性             善

  ――――――――――――――――

  分類          ユーザー

  性別             男

  年齢            17

  ――――――――――――――――

  電池           99%

  状態             毒

  ――――――――――――――――

  アプリ           2 ›

  ――――――――――――――――


鱗粉を吸い込んだせいで、毒に冒されてしまったらしい。

僕は自分が穢されてしまった思いがした。

目玉のある翅のひらひらさせて、あざ笑うかのように上空を飛び回るバグを、僕はじっと睨みつけるようにして見上げた。


そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。


ただ、蠅のバグよりも巨体である分、安峰さんが眠らせるのは簡単だったらしい。

2匹のバグが墜落する。


雑魚が。


それを見届けた僕は、安心してしまったせいか吐き気を抑えられなくなって、ワームホールの中にロールバックしてしまった。


「うええ」


マイナーワームが迷惑そうに振り向いて鳴く。


「キエロ――キエロ――」


まるで僕に文句を言っているみたいだ。


「時枝。あんた、大丈夫?」


安峰さんがちょっと笑いながら僕に言う。


「わかんない」


僕が答えると、安峰さんは僕のステータスを確認して言った。


「毒? さっきの鱗粉のせい?」

「そうみたい」


というか、安峰さんは毒に冒されなかったのか。


「ねえ、ケット・D。毒って自然に治るものなの?」


安峰さんがケット・Dに聞いてくれている。


「ああ。一時的な状態異常だから、ほっとけば治るぞ」


ケット・Dの言葉通り、僕の状態異常はすぐに治った。

もっとも、その頃には僕の電池は1秒ごとに1%、計10%が失われて、ロールバックするものもすっかりなくなってしまったけれど。


「治ったみたい。ありがとう」


安峰さんは背中をさすってくれていた安峰さんに僕はお礼を言った。

2025/02/01:誤記、毒の効果、表現の修正

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