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バッテリーの使い方

意識が戻った時、僕が最初に見たのは新宅さんの顔だった。


「新宅さん。来てくれたんですね――」

「ええ」


新宅さんの隣りには中三川さんが座っていて、心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。

安峰さんは立ってスマホを構えていて、いつでも〈スリープ〉で斜木を眠らせる体勢だ。

その斜木は少し離れた位置で背を向けて立っている。女子3人に僕に近付くことを許されなかったのだろう。


僕が右手に握るスマホの上に、新宅さんのバキバキのスマホが重なっている。

ワイヤレス充電の要領で僕に電池を分けてくれているらしい。

それが〈バッテリー〉の使用方法なのだろう。


画面の中央には電池の画像が表示されていて、その四隅には内向きの矢印のアニメーションが表示されている。

電池の残量を示すバーの色は黄色。

すると、映っているのは僕の電池だろう。


やがて、それが緑色に変わった。

切り裂かれて血まみれだったはずの僕のブレザーまで元に戻っている。

これなら斜木に弁償を迫る必要はなさそうだ。


起き上がろうとした僕を新宅さんが止めた。


「あ、まだ横になっていてください。帰りの電車もあると思いますので」


その追加の充電も終わって、ようやく僕は起き上がることを許された。


「おかげで助かりました」

「またお役に立てて嬉しいです」

「時枝、説明してよ」


安峰さんがスマホを構えたままで言った。


「いったい、何が起きてこうなったのか」

「わかった。でも、何から話せばいいんだろうか――」


僕が逡巡している間に、満を持した様子で腕を組んだ斜木がこちらを向いた。


「俺から説明しよう――」


語り始めようとした斜木に、安峰さんが「あんたには聞いてない」と冷たく言い放つ。

それで、また斜木はくるりと背を向けてしまう。


「僕よりも斜木から説明してもらった方がいいかもしれない。僕の主観で話そうとすると長くなりそうだ。斜木と戦うのはこれが3回目だからね。それぞれの回での経験が、今回の意思決定に繋がっている。おまけに斜木の行動については、僕の憶測で話さないといけない。斜木の主観で話してもらえれば、少なくともさっき安峰さんに眠らされるまでは1本道になっているはずだ」


僕がそう言うと、安峰さんは納得してくれたようだった。


「わかった。時枝がそう言うなら――」


斜木は再びくるりと向き直り、そして語り始めた。

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